CDP導入にはいくらかかる?|項目と費用一覧付

この記事では、目的や環境に合わせたCDP選びの参考となるべく、一般的なCDP導入時の各種項目とその費用について書いています。
マーケティング活動における1to1、OMOで顧客体験を向上させるためにCDPの導入を検討されているケースをよくお見受けします。当社UNCOVER TRUTHにも日ごろから、 CDP関連のご相談やご質問を多くいただいております。中でも費用に関するご質問も多くいただきます。
当社では市場にある全てのCDP製品を取り扱っているわけではありませんが、 多くのCDP導入プロジェクトをお手伝いする中で、およその必要費用は掴めておりますので、今回はその情報をお伝えできればと思います。
DXプロジェクトを推進する上で知っておきたい「CDP導入にかかる費用」についてまとめてみました。
目次
CDP導入には複数の費用項目がある
まずは必要となる費用項目について大枠で理解しましょう。
CDPの導入には「要件定義」「業者選定」「初期構築」「運用」等、複数の費用項目があります。運用時に利用する施策実行ツール(MA/接客ツール/BIなど)の種類や数によっても費用は大きく変動するため、この記事では代表的なパターンにおける費用について説明します。
今まで国内で販売されている様々なCDPメーカーや販売代理店から何十回と仕入れた見積もり金額から下記表を作成しました。およその費用感を掴むためにお役に立てればと思います。
CDP導入にかかる費用項目一覧
項目 | 費用感 | 主な内容 |
システム要件定義 ※他にビジネス要件やマーケティング要件を先に策定する必要があります。 | 200~500万円 | ビジネス目標:CDP導入の目的と背景のまとめ システム要件データアセスメント:システム環境の洗い出し、利用データ種類確認、テーブル定義書、システム構成図、データ連携方式定義、連携データの洗い出し、データ統合設計、ER図、機能要件、非機能要件 |
業者選定 | 200万円程度 | RFP作成:要件定義で決定した内容、実行施策方針のまとめ、データ連携要件(基幹システムなどとの連携)、セキュリティ要件、パフォーマンス要件、導入および運用支援要件、予算 コンペ運営:選定比較表管理、メリデメまとめ、リスクまとめ、ビジネス要件との親和性確認、ベンダーのカルチャーフィット確認、質疑応答、追加要件まとめと説明、ベンダー与信確認 |
初期構築 ※MAなどの開発は別途必要です。 | 2,000~3,000万円 ※全体の中でボリュームが多いゾーン。 | プロジェクトマネジメント:マイルストーン、WBS管理、会議体設置(全体進捗、分科会)、決定事項管理、体制の維持・拡張・変更、部門間/外部ベンダー連携管理 CDPシステム開発:環境構築、アカウント権限管理、セキュリティ管理、データチェック(サンプル)、データ統合詳細設計、データ統合作業、データ構造化開発、データマート開発・施策実行ツール連携開発体制の維持・拡張・変更、部門間/外部ベンダー連携管理、データマート開発、データ連携設計/開発 |
ツール利用 | 月額50~150万円 | 導入後のツール利用費用、カスタマーサポート費用 |
運用 | ※運用にかかる費用は体制規模や内製/外注により異なります。 | 運用体制構築:ベンダーサポート体制立ち上げ、担当人員選出、トレーニング、PDCAサイクル設計(施策立案から実行・検証まで)、アカウント権限管理、運用フロー作成、会議体設置 ツール運用:ツール稼働状況管理、成果とROI定期確認、機能・非機能開発要求、追加トレーニング、セキュリティチェック、SQLによるデータ抽出 |
然るべき期間と予算を確保する
上図の項目一覧をご覧いただくと、CDP導入にはたくさんの人と手間がかかることをご理解いただけるかと思います。
CDPメーカー側からは営業時に「導入は簡単です」と伝えられることが多いのですが、買い手である企業側は、事前に然るべき期間と予算を確保しておくことが推奨されます。例えば「〇〇のMAとはAPI連携しています」と説明がある場合でも、連携するための開発は必要になります。ボタン一つで連携できるほどのAPIができている場合は少なく、何かしらの連携開発が発生し、使用中もしくは使用予定のツールとの連携が増えると開発コストはリニアに大きくなります。
CDPはマーケティングにおける基幹システム(司令塔)になります。簡単であることを求めすぎず、本来の目的である求める成果が出せて長年利用できるマーケティングの実行環境を手に入れられるようにしましょう。 そのためには、項目一覧内にある内容をできる限り抜け漏れなく実施していく必要があります。
費用比較の参考に。当社提供サービスと費用
最後に、当社UNCOVER TRUTHで提供しているCDP導入周りのサービスと費用を、費用比較の参考としてお伝えできればと思います。当社の場合は特定のツールを想定していないことや、開発規模も当社のお客さまに多い大手企業さまにおける実績値をベースにしていることをご了承ください。

上図の費用部分に「通常」と「小規模」とありますが「通常」を参考にしてください。こちらが大手CDPメーカーと大手MAメーカーのツール導入を想定した費用感になります。補足として、上図内の上流領域についても少し触れておきます。
GA4(GA4導入支援)
こちらは2022年現在の内容です。Googleの提供する旧GA(universal analytics)のサポート終了に伴い新バージョンであるGA4でweb/appの行動データの取得設計を再構築する機会が急増しています。ユーザーの行動データを正確に把握するためGA4でのデータ取得設計(イベント設定)は今後も顧客理解の促進に重要な役割を果たしていくと想定されます。当社の場合、サーバーサイドクッキーで厳密な取得設計を行うため200万円程度の費用をかけていただくような導入支援を提供しています。
ビジネス要件、マーケティング要件
ターゲットの具体化、顧客体験創出におけるカスタマーサクセスの定義、ビジネスモデル定義などがこれにあたります。一般的に戦略ファームや大手広告代理店のストラテジープランニング部門等がビジネス戦略のパートナーとして採用されているケースが多く見受けられます。
当社の場合は、戦略ファームが提供するような数億円をかけて市場調査や戦略立案をするようなことはしておりません。事業会社が起案する戦略に従って、現状のデータをアセスメント(評価・分析)し、新たな戦略企画が実現可能であるかの根拠を示すなどのご支援をしています。こちらの費用は200万円から500万円程度になります。
※なお価格帯に表記のある「小規模」は、CDPなどのツールをBigQuaryで代替する場合や、一部マイナーなメーカー(独自調査で信頼できるメーカーに限る)のツールを活用した場合に提供したことのある費用感になります。
ここまでお読みいただきありがとうございます。CDP導入は費用もリソースもかかる大きなプロジェクトとなるため、各社慎重に調査や協議を重ねて選定していきます。この記事では、 貴社の目的や環境に合わせたCDP選びの参考となるべく、 一般的なCDP導入時の各種費用項目についてまとめました。今後の皆さまのCDP選定の参考となれば幸いです。
CDP選定について他の視点でも記事を書いていますので、こちらも併せてご覧ください。
別記事:CDPの費用対効果はどう算出するのか?|インフラとしてCDPを考える
別記事:CDPの費用対効果はどう算出するのか?|顧客のセグメント転換で考える
別記事:製品型CDPとクラウドプラットフォーム(GCPやAWS)の主な違い|料金・機能・特徴の比較
この記事を書いた人

- 小畑 陽一
- 株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)
music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)
データ分析や基盤構築、プロダクトの活用などについて、貴社の状況と目的に合わせて幅広くご提案します。
カスタマーデータのマーケティング活用にお困りの際はぜひお声がけください。