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WebサイトのCVRを向上させる超具体的な“追う指標”の設定方法

こんにちは、UNCOVER TRUTHの荒竹です。先日弊社のCAOである小川卓より「Webサイト改善を実現するための「登る山(ゴール)」と「登り方(KPI)」の決め方」 という記事で、“良いWebサイト”を作る、 “Webサイトを改善していく” ためのゴールの決め方とそれに付随するKPIの設定方法についてご説明しました。

こちらの記事の反響が大きく、何人かの読者さんから「UNCOVER TRUTHではどういう風にクライアントの目標値を達成するためのKPIを決めているんですか?」というお声をいただきました。

そこで今回はより具体的に、弊社で行なっている「 CVRを向上させるための“具体的なKPI”と“追うべき指標”を設定する方法 」をフレームワーク、ポイントと共にお伝えしたいと思います!

この記事を読んでほしい人
・「上層部から今期の目標値が下りてきたけど、どこから改善すれば良いかわからない・・・」という方
→ 目標を分解することで、どこから手をつけるべきかが分かります!
・「WebサイトでのCVRをあげたいけれど、どの指標をウォッチしていくべきかわからない」という方
→ フレームワークに当てはめて、追うべき指標がわかります!

ゴールとKPIの定義のおさらい

まず、前回の小川の記事をもとに、WebサイトのゴールとKPIとは何か、おさらいしておきましょう。
Webサイトのゴール とは いつまでに(期間)、なに(指標)を、どれくらい(値)にするかという、Webサイトの目標のことですね。例えば、転職サイトだと 「今年度中(期間)にWebサイト経由でのお申し込み数(指標)を110%(値)に引き上げる」 という感じです。

ゴール(目標)が決まったら、その ゴールを達成するための具体的な戦略=KPI を決めていきます。

弊社ではKPIを “目標KPI”、 “セグメントKPI” と分解して設定し、 “追う指標” を決めて施策を実行していきます。具体的には以下の5ステップで設定していきます。

ではそれぞれのステップの内容を見ていきましょう。

01. 登る山と目標を設定する(目標KPI)

まず、ビジネス目標から落とし込んでどの領域をどれくらいあげるかという目標を設定します。弊社ではこれを 目標KPI と呼んでいます。先ほどと同じく転職サイトの例をあげましょう。
「Webサイト経由での年間の登録者数を昨対比110%にあげる」というゴールに対して、達成するために考えられる手法は大きく分けると

  • 集客を増やす
  • サイトに訪問したユーザーのCVR(登録率)を上げる

のふたつに分解されますよね。この指標と目標値を決めるのが目標KPIです。

指標は上記の通りで今回はCVRになります。目標値はどの程度に設定するのが適切か?というご質問を頂くことが多いのですが、はじめはエイ!ヤー!で設定するしかありませんね(笑)弊社の場合は施策の勝率や改善率の統計を取っていますので、それを参考に達成可能な目標値を設定するようにしています。サイト規模や業態によって大きく変わりますが、初めに設定する目標数値は、 通期目標で改善率105%~120%程度に設定することが多い です。
今回は 「WebサイトのCVRを昨対比110%に伸ばす」 ことを目標KPIに設定する例としてご紹介させていただきます。
※人材企業の例で進めますが、EC事業だと「集客を●%増やす」「CVRを●%あげる」「客単価を●%あげる」などが目標KPIの例となります。ご自身の事業内容に置き換えて考えてみてください。

02. 登る山の現状を可視化する

目標KPIは各組織の目標として落ちてくることが多いと思いますが、今回は前述したように「WebサイトのCVRを昨対比110%に伸ばす」を目標KPIとして話を進めます。

目標が設定できたら、登る山(=今回でいうとWebサイト)の現状を可視化しましょう。まずはGoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスなどのアクセス解析ツールを用いて、流入からCVまでのユーザーの一連の行動を定量的に把握します。
この現状把握の目的は2つあり、

  • 改善対象の決定
  • 態度変容のトリガーとなる行動の特定

です。前者は施策実行計画を立てる際に必須なデータになり、Where(どの面で)とWho(誰に)に分けて把握するとことが重要です。
後者については、プロジェクト化が確定した後、 具体施策の方針を固める際に必要となるデータになります。5Wの中で言うならばWhen(いつ)、What(何を)を明確にするためのプロセスです。このタイミングでマストなデータではありませんが、課題と合わせて打ち手の方針を立てることができますので、併せて可視化することが望ましいと考えています。
それぞれのデータの詳細なイメージについては、以降のSTEPでご紹介します。

03.分解したセグメントの改善インパクトを考慮し、優先順位をつける(セグメントKPI)

Webサイトの全体像が可視化できたら、次は どの導線を改善すべきか を決めます。優先順位を決める際は、 インパクト、意思決定ファネルの位置、実現可能性 の3軸で考えます。具体的には、以下の4つの観点を参考にしてください。

  • ユーザーのボリューム
  • 次のステップへの遷移率や経由CVR
  • ゴールまでの距離の近さ
  • 施策実行の容易さ

上記観点から目標KPIへの影響度合いを測定し、優先順位を決めていきます。下図は主要導線のファネル分析の図となり、どこを改善対象とするか = “Where(面)”を決定する際の最もベーシックな分解手法です。

このデータだと サイトTOPと詳細ページのセッション数(ボリューム)が大きいこと がわかりますね。このうちどちらを優先的に改善するか、というのは ゴールまでの距離が近く次のステップへの遷移率が低い「詳細ページ」 となるというわけです。

また、上述の通り、施策が可能か否かも判断軸としては重要 になります。詳細ページにおいては、求人情報自体の変更は難しいですが、見せ方やその他の導線改善、コンテンツ追加等の実行が容易な施策が十分にあるため、その観点でも優先的に着手する妥当性は高いと判断できます。

上記で改善に優先的に着手するべき面=Whereが明らかになりました。それと掛け合わせて観察したいのが、 Who(誰)を対象とするか です。ユーザーを分解する観点としては、インパクトや施策実行の容易さはもちろんですが、 グループ間でユーザーの心理状態やニーズに違いがあるかどうか がポイントになります。
具体的には下記のような軸で分解しているケースが多いです。

  • ユーザー属性(性別、年代、地域、その他会員情報等)
  • ユーザーステージ(ログイン有無、購入回数、所持ポイント等)
  • サイトの接点やサイト内での行動(流入元、訪問回数、特定コンテンツ/機能接触等)

ユーザーについては、分ければ分けるほどインパクトが小さくなってしまいますので、まずは分けずに全体の最適化から始めるのも良いでしょう。全体の最適化が終わったり、すでにできている場合は、改善箇所(面)と改善対象(誰)を掛け合わせたセグメントKPIを設定することで、より深堀したサイト最適化を行うことができます。

04.セグメントKPIに影響を与える指標を洗い出し、追う指標を設定する

セグメントKPIでどの箇所を改善するかが決まったら、セグメントKPIに影響を与える指標を洗い出します。これが 追う指標 となります。
ここで設定する指標は主に

  • セグメントKPIに直接的に影響を与える指標
  • セグメントKPIに間接的に影響がでる指標

の2種あります。
セグメントKPIに直接的に影響を与える指標は、ユーザーの態度変容のトリガーとなりえる行動に対して設定をするものになります。具体的には

  • 特定のコンテンツや機能の利用率
  • 特定のコンテンツや機能の利用回数
  • 特定のコンテンツや機能への接触率(リーチ率)

等が該当し、実施する施策によって変わります。STEP2で可視化したユーザーの態度変容のトリガーとなりえる行動を設定しましょう。

一方、間接的に影響がでる指標は、STEP3で設定した改善すべき導線からゴールに至るまでのユーザーの各STEPに対して設定します。具体的には

  • STEP間の遷移率
  • 離脱/直帰率

等が該当し、どのような施策を行うときも、必ず設定します。

これらの指標は改善施策立案時の土台、施策の結果を解釈する際の指標として活用します。これらの指標が施策によってどのように変化しているかを観察することで、仮説のgood/badだけでなく、なぜその結果になったか、振り返りがより具体的になります。これらの指標を事前に設定することがPDCAを滞りなく進めるためのポイントになりますので、必ず設定するようにしましょう。

05.ロードマップを策定する

以上のステップで各KPIの設定、追う指標の可視化ができました!これでPDCA運用をするためのパーツは出揃っている状態です。あとは、ゴールから逆算したロードマップを策定すれば、Webサイト改善の準備は全て完了です。ロードマップを作成する際は、以下のように進めましょう。

  1. マイルストーンを設定する
  2. マイルストーン毎の定量目標を設定する
  3. オペレーションを明確にする

まずマイルストーンを設定します。このマイルストーンは四半期、月で設定することが多く、繁忙期なども意識してみると良いでしょう。(繁忙期にしっかりと獲得できるように準備を進めることが大事です)

次に定量目標の設定です。この定量目標は、マイルストーン毎の目標KPIと、KPIを達成するための目標行動量の2点を設定します。最終的な目標から逆算し、

  • どこで(対象の面)
  • 何をどれくらい行うことで(施策量)
  • いつまでに(各マイルストーン)
  • どこまで伸ばすのか(目標KPI)

といったように具体化していくイメージです。

施策量をどれくらい行えば良いかについては、サイトの規模(ユーザー数とCV数)とリソースの2軸で考えましょう。実行する施策量は多いに越したことはありませんが、施策の有効性の判断を誤らないように閾値を設定することも大事です。サイトやお客様の方針によって調整をしているため、あくまで目安ですが、弊社では下記のような閾値を設定することで、最低限の質を担保し、物理的に実現可能な施策量を算出するようにしています。

▼中~大規模サイトでABテスト実行時の閾値設定の例
対象サンプル数【各100CV以上】
検証期間【1週間以上】

施策量を決めるときに併せて考慮する必要があるのがリソースです。内製の場合は社内で稼働が必要となりますし、外部リソースを活用する場合は委託費用がかかります。目標達成時に想定されるビジネスインパクトを考慮し、投下できるリソースを試算の上、計画を立てましょう。

マイルストーンが設定できたら、オペレーションも明確化しておきます。運用時に最低限必要なファンクションとそのファンクション毎の情報伝達ルート、その際に必要となるアウトプットやコミュニケーションツール等を整備しておくことで、施策を滞りなく実行することができます。

例えば弊社では、プロマネ、ディレクター、アナリスト、デザイナー/コーダーといったファンクションがあり、各ファンクションごとにガントチャートを通じて情報伝達を行なっています。アウトプットとしては予実チェックシート、プランニングシート、ワイヤーフレーム案、デザイン案、画面プレビュー、検証レポートなどがあり、それをbacklogやasanaなどのプロジェクト管理ツールなどを通じて共有しています。社内の関係各署に、いつ、どのように施策と結果の共有をするのかも合わせて考えておきたいですね。
このように一連の流れを事前に整備して、施策をスムーズに実行することができます。

KPIを設定し、PDCAを回すことでWebサイトのCVRを改善しよう

上記のSTEPに沿って各KPIを設定しロードマップを策定することで、Webサイトの改善を行うための具体的な計画を着実に実行することが可能です。

「WebサイトのCVRを昨対比●%に上げろと言われたけど具体的にどこからどう取り掛かればいいのだろう」や「Webサイトを改善していきたいけど、どんな指標を観察していけば良いのだろう」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ現状のWebサイトの状態を可視化し、具体的なKPIを設定することにチャレンジしてみてください。

「なんとなく」ではなくしっかりと計画を立ててそれぞれのKPIを追い、PDCAを回すことで、あなたのWebサイトのCVRは着実に改善していくと思います。


荒竹 将
株式会社UNCOVER TRUTH
執行役員

新卒で大手リサーチ会社のリサーチャー業務に従事。2013年立ち上げのタイミングでUNCOVERTRUTHにセールス職としてジョイン。セールスマネージャーを経て、コンサルティングとディレクションを行うカスタマーサクセス部を立ち上げ、同部署のマネージャーに就任。大手企業中心に多数の改善実績をあげ、現在はセールス部、カスタマーサクセス部の執行役員としてさらなる事業拡大に努めている。


UNCOVER TRUTHでは様々な業界の企業さまのWeb事業を成長させるお手伝いをさせていただいております。Webサイト改善についてご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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