定期契約の壁はどこに?LTV改善を阻む“出荷率低下”の真因に迫る~出荷率から見た’顧客の停滞’~| 【連載アナリストブログ 第3章第1話】

UNCOVER TRUTHでアナリスト歴2年目の清水がデータ活用事例を紹介する連載ブログ
この記事では某化粧品メーカーと行った、出荷率低下の原因分析について3回にわたり紹介します。これを読んでいただければ、原因解明のプロセスをご理解いただけると思うので、是非最後までご覧ください!
本ブログを開いていただきありがとうございます!
UNCOVER TRUTHでアナリスト歴2年目の清水です。
今回は、化粧品の定期購入サービスを展開しているクライアント企業様と行った「出荷率低下の要因分析」の事例をご紹介します。
定期モデルにおいて「出荷されない」というのは、ユーザーが契約は続けているものの、何らかの理由で商品を受け取っていない状態を指します。
これは、LTVを下げるリスクだけでなく、顧客体験の悪化にもつながる重要なサインです。
その出荷率低下の要因分析について、下記3話に分けて解説していきます。
<ラインナップ>
第1話 分析背景
第2話 出荷率低下要因分析 顧客軸の分析
第3話 出荷率低下要因分析 商品軸の分析
第1話の今回は、分析に至った背景についてご紹介します。
目次
第1話 分析背景
皆さんは「定期契約モデル」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
定期的に同じ商品が届く──シンプルで便利な仕組みですが、裏側には多くのビジネス的な工夫が詰まっています。
定期モデルのメリットは、ユーザーと企業の双方に利点があることです。
顧客視点のメリット
・毎回注文する必要がなく、手間が省ける
・買い忘れ防止につながり、ストレスフリー
企業側のメリット
・収益予測が立てやすく、安定的な売上を見込める
・在庫や物流の計画が立てやすいため、業務効率も向上
今回ご一緒した化粧品ブランドも、まさにこの定期モデルを中心に事業を展開している企業様でした。
ユーザーは複数ある商品の中から、1品単位で定期購入の契約を選べる仕組みになっており、全体の売上の9割以上がこの定期購入から成り立っています。
観測されていた主要KPI
同社では、以下のような指標を月次でモニタリングしていました。
・定期契約者数
・平均契約商品数
・新規契約率
・出荷率
・解約率
そしてある時、KPIの1つに異変が生じました。
それが今回のテーマとなる、「出荷率の低下」です。
出荷率とは、契約が継続している顧客に対して、実際に商品が出荷された割合を指します。
契約はされているけれど、商品が出荷されていない──つまり、予定されていた配送が何らかの理由で止まってしまっているということです。
これは、月の売上が落ちることはもちろん、LTVの低下や、離反(解約)の予兆を示す重要なシグナルといえます。
このまま放置すれば、将来的な収益減少につながってしまう可能性がある。
そんな背景のもと、「なぜ出荷されないのか?」「どんな商品にその傾向があるのか?」という疑問に答えるべく、分析に着手しました。
次回「第2話 出荷率低下要因分析 顧客軸の分析」では、実際に行った出荷率低下要因分析について解説していきます。
7月22(火)更新予定です。お楽しみに!