CRMでの実践的なフレームワーク ~データアナリストが実践するフレームワーク~

目次
1. 導入
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係を最適化し、長期的な利益を生み出すための手法です。しかし、CRM施策を実践する際、どのように整理し、どのような手順で実行すればよいのか悩むことが多いでしょう。
本記事では、データアナリストが実践するCRMフレームワークについて解説し、施策の整理や実行に役立つ「顧客本流マトリクス」を紹介します。
2. CRMとは
CRMとは、企業が顧客との関係を管理し、強化するための戦略やツールの総称です。具体的には、以下のような目的があります。
- 顧客データを活用して最適なアプローチを行う
- 顧客のロイヤルティを向上させ、長期的な関係を築く
- 売上向上やコスト削減を実現する
3. CRMは誰に対して施策を実行するのか
CRM施策を成功させるには、ターゲットを明確にすることが重要です。例えば、以下のような顧客層に対して異なる施策を検討できます。
- 新規顧客: 初回購入や登録の促進
- リピート顧客: 継続的な購入を促すキャンペーン
- 休眠顧客: 再購入を促すリテンション施策
4. フレームワークの紹介
4.1 フレームワーク:顧客本流マトリクスの紹介

顧客本流マトリクスの考え方は、「通ってほしい望ましいルート」を設計することを指します。
例えば、
- サイトに来訪 → 購入 → 再訪問 → F2化(2回目購入) → F3化(3回目購入)
- その後、複数カテゴリの商品を購入するまで育てる
といったように、顧客の理想的な行動を設計し、それを基に施策を考えることが基本の考え方になります。
4.2 フレームワークのステップ1:本流の洗い出し
まず、顧客の理想的な行動パターンを明確にし、それを整理して本流を作成します。本流とは、顧客が自然に辿るべきステップを指します。
このプロセスでは、以下のポイントを考慮します。
- 新規顧客が最初に行うアクション(例: サイト訪問や初回購入)
- 顧客がロイヤルカスタマーへと成長するまでの過程
- 途中で離脱する可能性のあるポイント
4.3 フレームワークのステップ2:詳細な中間KPIの洗い出し
本流を洗い出した後、それぞれの段階で追うべき指標を整理します。
例えば、
- 再訪問→ 再訪数、再訪率
- リーチ施策 → ユーザーへのリーチ数
- F2(2回目購入)転換 → F2転換数、F2転換率
- 複数カテゴリ購入 → 併売率
これらの指標を設定することで、顧客が適切なルートを辿っているかどうかを測定し、適切な施策を講じることが可能になります。
5. 施策例
本流と指標が明確になれば、次に考えるべきは施策です。ここでは、行動の逸脱に対するアプローチを中心に紹介します。
- 再訪問の促進: 本流では「再訪問が必要」と設計したが、再訪していない顧客がいる場合 → リターゲティング広告やメール施策を実施
- F2転換の促進: 再訪問はしているがF2化していない顧客に対し、購入を促すクーポンやリマインド施策を実施
- 複数カテゴリ購入の促進: 1カテゴリの商品しか購入していない顧客に対し、関連商品のレコメンドを行う
本流を整理し、それを分解することで、実務で追うべき指標や施策に落とし込むことができます。これにより、CRM施策の効果的な実行が可能になります。
6. まとめ
CRM施策の整理や実行に悩んでいる方にとって、「顧客本流マトリクス」は有効なフレームワークとなります。本記事で紹介した手法を活用し、顧客との関係をより強固なものにしていきましょう。
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この記事を書いた人
米村 建城(よねむら たてき)
コンサルティンググループ
アナリストチーム リーダー
2020年にUNCOVER TRUTHに入社。Google AnalyticsやAdobe Analyticsを活用したCRO(コンバージョン率最適化)のアナリストとして数多くの案件を担当。現在は、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)内のワークフロー設計などのデータ基盤の整備に加え、CRMに基づく顧客分析から施策提案までを幅広く担当。
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