CRMを基盤として売上を上げていく方法 ~KPIツリーという考え方~

目次
1. 導入
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係を深め、継続的な売上を生み出すための戦略的手法です。
しかし、施策の優先度を決めるのが難しく、どこから手をつけるべきか悩むことも少なくありません。
そこで重要になるのが KPIツリーです。
KPIツリーを活用することで、売上向上に向けた施策の方向性が明確になり、施策の優先度が整理できます。
本記事では、KPIツリーを活用したCRMの施策設計について解説します。
2. CRMとは
CRMとは、顧客との関係を管理し、長期的な売上向上を目指す手法のことを指します。
CRMの基本的な目的は以下の3つです。
- 新規顧客の獲得(マーケティング施策)
- 既存顧客の維持・育成(リピート購入の促進)
- 休眠顧客の復活(顧客離脱の防止)
CRM施策の成否は、適切なKPIを設定し、効果的な施策を実行できるかどうかにかかっています。
3. CRMは誰に対して施策を実行するのか
CRMは「新規顧客」と「既存顧客」の両方を対象とします。
ただし、施策の内容は大きく異なります。
- 新規顧客の育成:最初の購入(F1)からリピート購入(F2以降)に誘導する
- 既存顧客の維持:前年から継続して購入している顧客をさらに育成する
- 休眠顧客の復活:前年に購入がなかった顧客にアプローチする
CRM施策の優先度としては、「すでにコンタクトが取れている顧客(F2以降)」の育成が重要になります。
4. KPIツリーの必要性について
KPIツリーは、売上向上のための施策を整理し、優先度を決めるためのフレームワークです。
具体的には、以下のようにKGI(Key Goal Indicator)を設定し、KPI(Key Performance Indicator)へ分解していきます。
KGI:年間売上
■KPI1:新規顧客売上
・KPI1-1:新規獲得時売上(F1)
・KPI1-2:F2以降売上
■KPI2:既存顧客売上
・KPI2-1:前年継続売上
・KPI2-2:休眠復活売上
売上を新規顧客と既存顧客に分け、それぞれの成長段階に応じた施策を設計することで、CRMの目的が明確になります。
5. KPIツリーの作り方
5.1 売上の分解(KGI→KPIへの落とし込み)
売上の分解を考える際、以下の指標を取り入れます。
顧客数の指標
- F2転換率(新規→リピート顧客への転換)
- 前年継続率(前年→今年の継続率)
- 休眠復活率(前年購入なし→今年購入の転換)
顧客単価の指標
- 購入回数(一人あたりの平均購入回数)
- 注文点数(一度の注文で購入する商品の数)
- 商品単価(購入商品の平均単価)
これらを組み合わせることで、売上向上の施策を立てやすくなります。
5.2 KPIツリーを活用した施策の具体例
KPIツリーを活用することで、以下のような施策の優先度を明確にできます。
- F2転換率の向上施策:初回購入後のリピート促進施策(クーポン、リマインド施策)
- 前年継続率の向上施策:ロイヤル顧客向けの特典提供(ポイント制度、VIPプログラム)
- 休眠復活率の向上施策:休眠顧客向けの特別オファー(復活キャンペーン、期間限定割引)
これらの施策をKPIツリーと連携させることで、CRM戦略を体系的に運用できるようになります。
6. まとめ
KPIツリーを活用することで、CRM施策の優先度を整理し、売上向上に向けた施策を明確にすることができます。
- 売上を「新規」「既存」に分解し、それぞれの育成方法を明確化する
- 顧客数と顧客単価のKPIを細分化し、施策の効果を測定する
- KPIツリーを活用することで、CRM施策のPDCAが回しやすくなる
KPIツリーを活用したCRM施策を取り入れ、売上向上を実現しましょう。
お問い合わせ
CRM施策の設計やKPIツリーの活用について相談したい方は、以下のリンクからお問い合わせください。

この記事を書いた人
米村 建城(よねむら たてき)
コンサルティンググループ
アナリストチーム リーダー
2020年にUNCOVER TRUTHに入社。Google AnalyticsやAdobe Analyticsを活用したCRO(コンバージョン率最適化)のアナリストとして数多くの案件を担当。現在は、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)内のワークフロー設計などのデータ基盤の整備に加え、CRMに基づく顧客分析から施策提案までを幅広く担当。
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