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ビームス、クレディセゾンに聞く。今こそやるべき!顧客理解のためのデータ活用とCX推進~顧客のロイヤル化アプローチの課題をいかに克服するか?~|セミナーレポート

この記事では、2022年12月5日に開催した「ビームス、クレディセゾンに聞く。今こそやるべき!顧客理解のためのデータ活用とCX推進~顧客のロイヤル化アプローチの課題をいかに克服するか?~」のセミナー内容の一部抜粋とアーカイブ動画のご案内をしています。

企業にとって最重要テーマとなっているCX(顧客体験)。顧客理解を深めながら、顧客体験向上を進めていくために多くの企業では、会員化施策やCDPの導入が進んでいます。

しかし、実際はCDPの活用が、購買金額で顧客を分類することに留まっていたり、販促施策への利用がメインとなってしまっている現状に多く出くわします。

”顧客を統合的に読み解き、より良い顧客体験を実現させていくため”に必要な、データ基盤のあり方やデータ活用について、実際に取り組みが進んでいるビームス、クレディセゾンの2社をお招きし、いわゆるCRMとされる顧客のロイヤル化へのアプローチにおける課題や実際の施策について、当社UNCOVER TRUTH(以下:UT)のCOO小畑陽一をモデレーターとしてお話しを伺いました。※各登壇者のお話の内容は一部記事用に要約しています。

登壇者のご紹介

顧客理解のための体制構築について

テーマ|CDP導入前の苦労話や導入後の課題等があれば教えてください。

塩谷氏(インテージ):「自身の過去の経験として、プライベートDMPにアプリのデータ等が溜まり始めていた当時、溜まったデータを使用することでパーソナライズをして、One to One施策の実施をしていこうとしていましたが、実際にやってみるとそうはいきませんでした。そもそも施策を実施した後に、何を成果として見れば良いのかまでを決めずに、先にDMPの導入を進めていたので、導入が目的化してしまっていました。とはいえ、この経験を踏まえて、CRMの在り方を考えていったことで、のちに生まれたサービスもありましたが、お二人には、まずはこのような経験談等をお聞きできればと思います。」

ビームスの場合

ビームスのデータ環境

矢嶋氏(ビームス):「2002年頃からハウスカードが始まり、当時から会員IDと購買データの紐づけが進んでいき、基幹システムにそれらのデータが溜まっていきました。2008年頃からは、ECでも自社EC専用会員IDで別のデータとしての顧客データも存在するようになりました。その後、オフラインのデータとオンラインのデータを統合するには、顧客IDを統合しなければならなかったので、都度マージして分析していく過程を何度か経て、現在はBigQueryを利用しています。」

小畑(UT):「IDを統合していくにあたり、店舗側のオペーレーションでお客様に変更をお願いしていったのでしょうか?」

矢嶋氏(ビームス):「仕組みとしては、店舗側の顧客システムとEC側の顧客システム、それらを新しい顧客システムに統合しました。そして、オフライン(店舗側)、EC側それぞれのお客様に、ご自身で情報を直していただく形で、オフライン側で発行していたIDへの統合をお願いしました。その前の2013年には、オンラインとオフラインのポイントを連携していて、そのプロセスを経た上で、顧客IDの統合へ進めていきました。」

磯部氏(クレディセゾン):「2013年頃であれば、自身は小売のクライアントにデータを活用して、カード会員をECに送客しませんかと提案していました。しかし、リアル店舗とかぶる地域に住んでいる人は外してください等とクライアントやその現場から声があがり、実際にオンラインへの送客対象となる会員が、かなり少なくなってしまったことがありました。まだまだオフライン(店舗)VSオンラインの構図があったと思いますが、ビームスさんは当時どうだったのでしょうか?」

矢嶋氏(ビームス):「オフラインVSオンラインという構図は少しはありましたが、まずは、お客様がお困りの状態を解決することを重要として、前述のポイントの統合をオフライン側の責任者も交えて2013年に実施していきました。翌年の2014年にその結果を見ると、ポイント利用がオフライン、オンラインの双方で加速しました。お客様が望んでいることを実行することで、このような結果が返ってくる。そして、結果を定量的に見ることができたことで、企業側の論理ではなく、顧客側を起点にする考えを社内に浸透させていくきっかけになりました。」

クレディセゾンの場合

クレディセゾンのデータ環境

磯部氏(クレディセゾン):「セゾンCDPという名のプライベートDMPが、2018年にあり、その前進となる環境は、数年前からありました。会員データを使って新しい新規事業を作るのが自身のミッションの一つでした。当時はスマホの普及も高まり、アドテク等でデータをコネクトすることを考えていました。カード会社が持つデータのバリューにも注目が集まっていましたし、当時カード会社はデータを活用できるメディアが無く、定期的なアクセスと言えば請求書を確認する位だったので、アドネットワークと連携すれば色々できるのは?と考えていましたが、自身の予想よりプライバシー、顧客情報への規制が恐ろしく早く進んでいきました。」

小畑(UT):「CDPやDMPなどの顧客データの基盤を作るには大きなお金が動くので、予算を獲得する際にどう説明しているのか?と、クライアント側から質問されることが多くあります。本来は、顧客理解を深めてより良い体験をお届けするために使われるものですが、ROIで示さなければ、申請が通らないと言った話を良く聞きます。」

矢嶋氏(ビームス):「仮に顧客IDが2つあった場合、同じメールがそれぞれのID毎に送られてしまうのは、お客様にとってのご不便であり、自分達にとっても、お客様を一意に特定できないのは経営上の損失となってしまいます。そういった課題を解消するためには、ビームス全体として、商品の情報や店舗の情報、スタッフの情報、ファッションの情報を1つのプラットフォーム(メディアコマースサイト)の中に集約させるようにすれば、お客様は1つのIDでより良いブランド体験を得られる。それであれば、サイトもIDも一つでいいですよね?と、そのグランドデザインを書いていきました。IDを統合するのも、ポイントを統合するのも、経理システムやPOSレジを入れるのと同じように重要なインフラであるという考え方を持っていました。」

小畑(UT):「CDP導入の際に必要な要件は3つあり、1つ目はグランドデザイン(事業戦略)→2つ目は顧客体験(CX)設計→3つ目はそれを実現するシステム要件です。グランドデザインと、顧客体験の設計がない状態で、システムだけ作りたいという状況が多くあるのですが、導入することが目的となり、その先にどう活用するのかがない状態で進むことになってしまいます。先にグランドデザインや目的を明確にしていくことで、我々のような外部への依頼もしやすくなり、社内での説得もしやすくなっていくのだと感じています。」

磯部氏(クレディセゾン):「CDPに限らず、システム開発に携わりますが、そもそもの経営戦略や目標があり、その中に解決していくべき課題があるはずです。それを解決するためにCDPを導入するなど、目的に沿っていれば、話が通りやすいかと。基本的にデータの活用は、コスト削減、事業のスピードを速める、売り上げの拡大の3つに絞られると考えています。長く(歴史の長い)やっている会社だと、無理無駄があることが多いので、コスト削減についての目的を持つと進みやすいのではと思います。」

テーマ|データから顧客理解を深めることで施策実行した好事例があれば教えてください。

顧客理解から顧客体験向上を目指す

塩谷氏(インテージ):「データ統合は、販促や効率化で測られることが多いですが、本来のデータを統合する目的は、顧客理解を深めることです。ここでは、その先に実現すべき顧客体験向上までを考えた上で、施策を実行した等があればお聞かせください。」

ビームスの事例

ビームス:F2転換に寄与するチャネル

矢嶋氏(ビームス):「図は、先程お伝えしたBigQuery内のデータから、過去2年分を検証して出てきた、F2転換に寄与するチャネル軸の内容です。このように自分達とお客様との関係を調べることで、次に自分達がどういう行動を起こすと良いのか?が分かり、各部門や担当者の考える余地も増え、優先順位も決められるようになっていきます。販売スタッフが、これらを促すようなオペレーションをしてくれていた結果も出ています。」

F2転換者に見る特徴的行動

矢嶋氏(ビームス):「上図を見ると、お客様にとってオフライン(店舗)とオンラインでの行動が一連の購買行動の中で、当たり前になっていると確認できます。初回購入前に、『顧客は店舗に足を運ぶ前に、インターネット上で購入する商品をすでに決定している』といった、Googleが提唱しているWebマーケティング理論、ZMOT(Zero Moment of Truth)があり、ここで言えば、それがメルマガであり、ウェブサイトです。これを見ても一連の顧客体験を意識して、必要な情報を受けとれるようにしなけらばならないことがわかります。」

クレディセゾンの事例

クレディセゾン:各サービスとライフイベント

磯部氏(クレディセゾン):「カード以外にも、お金にまつわる各種サービスを展開しています。カード利用とライフステージはシンクロしていることが多く、その時々にお金のニーズや困りごとがあるので、データを活用し、いい形&いいタイミングで提供していくことで顧客体験を良くして、よりサービスを利用してもらいたいと考えています。カードの利用データから、ライフステージの変化が読み取りやすく、売り込みでなく受け止めていただけることが多くあると感じています。」

顧客コミュニケーション戦略について

テーマ|顧客コミュニケーション戦略で重視している点やCRMの課題等があれば教えてください。

顧客コミュニケーションと課題

塩谷氏(インテージ):「図は、顧客コミュニケーションを顧客のステータスと購買のタイミングでまとめたものです。ここで見られるような課題、データの取得が目的になってしまっていたり、複数部門で施策がバラバラに行われてしまうことによるコミュニケーションの過多や、心理的なインセンティブを求めているお客様に対して、クーポン等の物理的なインセンティブで解決しようしてしまったり、このような課題は発生しがちですが、こういった部分にアプローチしている事例があればお聞かせください。」

ビームスの事例

ビームス:商品のオムニチャネル化

矢嶋氏(ビームス):「図は、お客様が買おうと思った瞬間に、どうやってスムーズな購買にできるのか?を考えて用意した、オンライン側とオフライン側をつないでいるサービスです。店舗や倉庫に何の商品が何点あるのか?のデータを整備することで、お客様は、普段の行動範囲にある近くの店舗に欲しい商品を見にいく時に、その商品をキープできたり、仮に店舗には在庫がなくても、倉庫に在庫がある場合、店舗で決済して、倉庫からご自宅へ直送するので、手ぶらでお帰りいただける。お客様に無駄な時間を使わせずに、良い顧客体験を提供することで、お客様に何度も使い続けたいと思ってもらう。このような機会を重ねていくことでファン化を促し、ファン化のループに関わる体験をシステムやデータで補うように考えています。」

ビームス:スタッフのオムニチャネル化

ビームスの矢嶋氏は、他にも店舗のスタッフ自身が動画や画像を生成して発信している施策例を挙げてくださいました。

矢嶋氏(ビームス):「商品詳細の写真はEC側でも詳しく掲載していますが、よりお客様にとって有益な情報とはなにか?を突き詰めた結果、リアルな人が着用していることでの情報、服のサイズ感や見え方、質感がわかりやすくなることにより、お客さまがより判断しやすくなるようにと考えています。オンライン上の接客としての意味合いで、顧客体験の向上、購買体験のリスクの回避に一役買っています。副次効果として、店舗スタッフにファンがついていくこと(スタッフのスター化)も担っています。」

テーマ|未顧客(離反・休眠含む)へのアプローチや、新たな顧客基盤拡大への取り組み事例があれば教えてください。

未顧客と既顧客のCXM全体像

塩谷氏(インテージ):「CRMと言えば、多くの企業は上図の赤枠内のような運用しています。既存顧客に、より良い体験を提供していくためのものですが、これらのデータを未顧客(離反・休眠含む)へのアプローチなど、顧客基盤の開拓に向けて活用できないのか?そういった事例があるのであればお聞かせください。」

クレディセゾンの場合

クレディセゾン:新規会員増と顧客育成

磯部氏(クレディセゾン):「経営の考え方として、これまでは単年で見ていくことが多かったのですが、昨今では、LTVで判断するように考えていて、今後はさらにグループにある各サービス全体のLTV、それにまつわる指標に変えるように進めています。それを元に、今後のCDPで必要なのは、リアルタイムとAIとなっていくと考えています。今は、過去のデータの利用になっているが、これからは各お客様の課題を見抜いて、瞬間瞬間に提案していく、人力では難しいので、AIで活用していくであろうと感じています。」

ビームスの場合

ビームス:BtoBでの取り組み事例(企業)
ビームス:BtoBでの取り組み事例(商店街)

矢嶋氏(ビームス):「ライフステージの変化やそれによるブランドスイッチなども想定しており、未購入客や離反客に対して、事例のようなBtoB側との取り組みを通じて、新たな接点を作り、そのきっかけからBtoC側に戻ってくるようになることで、BtoCの外側にBtoBのループを置いたダブルループになると考えています。そのため、BtoB事業も様々な企業や地方自治体、団体と組みながら積極的に取り組んでいます。」

レポートはここまでになります。詳細はぜひ動画にてご確認ください。企業にとって最重要テーマとなっているCX(顧客体験)。今回は、実際に統合した顧客データを活用した具体的なお話を伺える機会となったと感じています。このレポートが顧客理解を深めながら、顧客体験向上を進めていく皆さまのお役に立てば幸いです。


動画はこちらから

実際のセミナーは、1時間30分超の動画となっていますので、詳細はぜひ動画にてご覧ください。

外部リンク:ビームス、クレディセゾンに聞く。今こそやるべき!顧客理解のためのデータ活用とCX推進~顧客のロイヤル化アプローチの課題をいかに克服するか?~

UNCOVER TRUTHでは、引き続きCDPやCRMを主軸にデータ活用に関して皆さまのお役に立つコンテンツをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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