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業界別CDP活用メリット:対面営業モデル編

この記事では、 業界別の代表的なCDP活用メリットをお伝えしています。今回は対面営業モデル編です。

CDPは、導入する会社のビジネスモデルによって利用目的や活用方法が変化します。UNCOVER TRUTHでは、多数のCDP導入プロジェクトを経験する中で、ビジネスモデルに着目するようになりました。なぜならば、CDP活用の主目的であるCRMの設計は、ビジネスモデルによって基本要件が決定されるからです。

対面営業モデル(オフラインでのみ購入・契約する業態)におけるデータのサイロ化

不動産、自動車など高額商品を扱っている業態ではどのようなCDPの活用方法が考えられるでしょうか?

このような業態では、オンラインでの「資料請求」や「来店予約」などの問い合わせによって見込み客を獲得する手法が浸透しています。もちろん、Webサイトから事前予約せずに直接来店し、契約に至る顧客も少なくないとは思います。

Webサイト経由で獲得した顧客情報も、店舗で獲得した顧客情報も社内のデータベースに蓄積されています。しかし、複数部門が介在していることで、顧客データが分断されサイロ化してしまっていることも良くありますよ。

例えば、Webやチラシ、テレビCMからリード獲得するマーケティング部門と店舗で接客する営業部門のように、組織体制と同様にデータも分かれてしまうようなケースです。部門の縦割りと、データのサイロ化は、組織とデータの構造問題として頻繁に発生しています。

データのサイロ化のイメージ
【データのサイロ化のイメージ】

部門間で引き継がれにくい顧客の情報

マーケティング部門にいるWeb担当者のミッションは、「資料請求数」や「来店予約数」であることが多いです。広告運用やサイトのUI/UX改善など日々を行いながら、その獲得数を追いかけています。

一方、来店後の商談プロセスは営業部門の管轄です。このようなケースでは、マーケティング部門が獲得したリード顧客が契約に至ったのかどうかまで管理されているケースもまだまだ多いのではないでしょうか?

リード顧客が来店したらマーケティング部門の責任は終えたような形になってしまい、データもそこで途切れます。来店後の営業プロセスにおける行動データは、同一顧客のデータとして引き継がれませんね。となると、営業担当者が顧客に直接コンタクトをとり、検討状況を把握するといった、従来形の属人的なアプローチに移行してしまうのです。

顧客の営業情報は営業マンの手帳の中にあるという話は、今でも珍しいことではありません。(少し話が横道にそれますが、ある百貨店の方から「我が社で一番の顧客データは外商マンの黒革手帳の中です」と聞いたことがあります。)

営業マンの手帳のイメージ
【営業マンの手帳のイメージ】

高額商品の場合、顧客は購入・契約までに時間をかけて検討します。複数の競合商品やサービスを比較検討することも多いでしょう。

来店時に、担当営業がアサインされ、顧客の要望や条件をヒアリングすることから商談が始まります。そこから予算や条件などをクリアし、顧客が契約に至るまでに数ヵ月かかることも少なくありません。その間、営業担当は見込み客に対して、電話やメールはもちろん、直接訪問するなどアプローチを繰り返し、契約してもらうために奔走します。

営業担当は、多くの顧客リストを抱えており、少しでも検討を進めてくれる顧客を掘り起こそうとアプローチを続けます。しかし、顧客と連絡がとれないことなど日常茶飯事です。

これらの営業活動には多くの時間やコストがかかることは容易に想像がつくでしょう。契約の成約率が高く、検討段階も進んでいる顧客を把握することができれば、リソースの配分も最適化できるかもしれません。しかし、先にも述べたようにデータ活用ができていない場合、効率的に顧客の検討状況を把握する術はありません。

CDPが促進する顧客状態の把握

このように、属人化される営業情報の管理、見込み客を掘り起こす煩雑な作業工程、そしてデータのサイロ化と多くの難題があります。では、営業活動にとって、CDPがどのような役割を果たすか考えてみます。CDPを導入し、顧客のオフラインとオンラインのデータを繋げて、顧客の行動を可視化することができれば、上記のような課題を解決できるかもしれません。

来店をした顧客はどんなコンテンツを閲覧したことで予約に至ったのか?顧客が来店後にメールマガジンを見たり、サイトに戻ってきて情報収集しているのか?といった行動が可視化されます。商談の前後でどのような行動をとり、検討を進めているのか、またその検討度合いを推測することも可能でしょう。

CDPデータ有り無しでの営業活動の違い
【CDPデータ有り無しでの営業活動の違い】
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:33

例えば、営業担当者からメールや電話で何度か連絡したが、コンタクトが取れなかった顧客がいたとしいます。数週間ものあいだ連絡が取れず、営業担当者も追いかけるのをやめてしまいました。実は、そのユーザーは連絡をもらっていた間は仕事が忙しく、検討をストップしていました。
しばらくして仕事が落ち着いたタイミングで、他社を含めて情報収集を再開しました。そのときに商談を進めた他社で契約を決めてしまった、という話をよく耳にします。

前段で触れたとおり、組織とデータの構造問題がここにあります。それは、Webサイトで資料請求や来店予約をしてくれていた顧客と、担当営業が追いかけていた顧客が一致できていないという、データのサイロ化の問題です。マーケティング部門と営業部門のデータを統合することで、この問題は解決できるかもしれません。まさにCDPがこのデータのサイロ化により引き起こされる問題を解決します。

部門間で協力しているイメージ
【部門間で協力しているイメージ】

顧客の行動データ(ここでは情報収集行動の再開)を取得し、営業リストの顧客に紐付けができれば、その顧客が検討を再開したことも検知できますね。顧客が検討を再開したときに再びWebサイトを閲覧したり、メールマガジンを開封・クリックする可能性があります。しかも検討が進んでいれば、
その情報収集の熱量も以前より高く、より多くのページやコンテンツを見ているかもしれません。

その顧客の検討行動が高まったタイミングで営業担当から連絡すれば、商談を再開する可能性は高まります。初期商談時よりも検討を進めている顧客であることが想定されるため、契約に至る成約率も高くなるでしょう。

顧客の購入検討が進むことで、新たな疑問や懸念が生じるかもしれません。WebサイトでFAQのページ閲覧や、ローンシミュレーションをしている行動を察知することができれば、営業担当者は的確なアドバイスをタイミングよく届けられるかもしれません。このように、オンラインのデータが、営業リストのオフラインデータと統合されることで、顧客一人ひとりの行動状態を可視化できます。それぞれの顧客行動に応じて、適切なタイミングで適切な対応を実行することが可能になります。

CDPのデータを活用することで、営業担当者は、顧客との商談再開の機会を逃すリスクを低減します。顧客とのコミュニケーションはこれまで以上にスムーズかつ的確に行えるでしょう。一方で顧客にとっても、タイミングよく、かつ自分のことをより理解してくれている営業担当者を得られます。限られた時間の中で検討に有用な情報を得られるため、安心、納得しながら購入検討を進められるでしょう。

CDPという統合データプラットフォームが、企業と顧客の双方を、より強くつなげる架け橋にもなります。


この記事を書いた人

小畑 陽一
株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)

music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)


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