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OMO時代の顧客データを活用したコミュニケーション実践方法 〜データの収集からセグメント分析、コミュニケーション設計まで〜|セミナーレポート

この記事は、2023年2月8日に開催した「OMO時代の顧客データを活用したコミュニケーション実践方法 〜データの収集からセグメント分析、コミュニケーション設計まで〜」のセミナーの一部抜粋とアーカイブ動画のご案内をしています。

多様化していく企業と顧客との接点。それに合わせてOMOと呼ばれるマーケティングの概念も世間に広く浸透してきました。企業は大量のユーザーの行動・属性データを保有する時代となっています。本来、保有する顧客のデータは、より良い「顧客体験=コミュニケーション」へ還元されるように活用するべきものです。

しかしながら、このような大量で複雑なデータを、どのように整えて、施策へ活用すべきかについての経験を持つ人材は少なく、手探りで進めている場合も多いのではないでしょうか。

今回は、CDPを活用した、顧客起点のマーケティングを提案するUNCOVER TRUTHと、LINE活用によるコミュニケーション施策をサポートするMicoworks株式会社が、どのようにデータを活用しコミュニケーション施策に落とし込むのか、その考え方や方法について事例も交えてお伝えしています。

登壇者紹介

オンラインとオフラインの統合顧客データを活用したコミュニケーションの最適化手法|UNCOVER TRUTH 小畑

OMO時代における顧客を取り巻く環境の変化

当社、UNCOVER TRUTHでは、オンラインのデータ(EC、サイト等)とオフラインのデータ(店舗での購買情報等)を統合して分析することで、顧客に最適なコミュニケーションを実施するためのご支援をしています。

顧客は、日々いろいろな媒体で情報に触れたり、商品をお店やECで購入したりしています。それに合わせて、企業側は、SNSやサイトやアプリ等を通じて、そのときの顧客にとって有益な情報や必要な商品を選びやすい環境を用意するようになりました。

OMO時代における顧客を取り巻く環境の変化

例:ジャージしか持っていない女子がデート服を購入するまで

では、このような顧客との接点が多様化した時代に、企業側はどのようなマーケティングを実施しなければならないのでしょうか?ここでは、デートの勝負服を探している、ジャージしか持っていないジャージ女子を例としてお伝えしていきます。

ジャージ女子が商品を購入するまでの流れ

上の画像にあるジャージ女子の行動は、皆さんの日常の購買行動とあまり変わらないかも知れません。デートが決まったので、スマートフォンで「デートの勝負服」と検索して、該当したECサイトを見て、欲しい洋服が見つかります。大事な場面で着る洋服ですから、実際の商品の質感やサイズ感を確認するために、ショッピングセンターに行き、試着して、そこで購入します。

ジャージ女子に対して、EC運用担当者はどんな施策を実施しているのか?

どのようなデータを見ているかで、EC運用担当者のジャージ女子に対する施策と、ジャージ女子のその後の反応が大きく変わります。

オンラインのデータだけを見ているEC運用担当者

ジャージ女子がECで「お気に入り登録」をしていたり「何度も商品ページを行き来している」ことが分かったので、リターゲティング広告を打ったり、メールやLINEでプッシュ通知を打ちまくります。

ですが、ジャージ女子は、すでにこの時、ECでお気に入り登録した洋服を店舗で購入済です。購入済みの商品の購入を促す情報が届くので、「うざい」と感じてしまい、会員登録を削除してしまいます。

オンラインのデータとオフラインのデータが連携されたデータを見ているEC運用担当者

ジャージ女子が、ECで洋服を選んで、店舗で購入してくれたことを分かっています。

そのため、購入してくれた洋服の着回しに関するコンテンツや、組み合わせにおススメの商品についての情報、次回使えるキャンペーンクーポンを送ってみることにします。こうすることで、ジャージ女子は、次回はECでも購入してみようかなといった気分になっているようです。

利用できるデータによって運用担当者がやること、顧客が感じることの違い

データ活用による顧客体験の最適化

データ活用における顧客体験の最適化

ジャージ女子のここまでの話を上図にまとめました。このように、企業側が提供する体験によって、顧客側の行動も変わります。統合されたデータを活用することで、店舗とECの好循環ループをいかにつくれるかが、OMO時代のマーケティングにおいて重要になっていきます。

統合データを活用することの意味は「顧客理解」からの「体験改善」

顧客のことをしっかりと理解できると、その顧客に向けた体験の改善が行えます。ジャージ女子はシンプルな例になりますが、他にも「店舗では購入しなかったけど、再度ECで購入した」「購入した商品以外の商品も閲覧していた」「かわいい系の洋服を見ていた、かっこいい系の洋服を見ていた」のような、顧客の趣向性なども具体的に分かるようにもなっていきます。このように、顧客のことを具体的に理解できるようになっていくからこそ、顧客に寄り添った体験改善が進むようになっていきます。

下図は、当社が分析でお手伝いさせていただいたビームスさんでの例になります。

OMO時代で顧客の買い物体験はどう変わったか?

購入前の行動として、商品購入当日の朝にLINEで届いた、この日購入予定の商品を閲覧しています。その後、店舗に行く前に自然検索で購入予定の商品を閲覧しています。購入後の行動として、リスティング等の広告から流入があったり、LINEで「購入ありがとうございました」の連絡が送られてきて、その中にあった購入商品のコーディネートコンテンツを閲覧しています。

購入前の行動を見ると、購買に向けてどんどん気持ちが高まっているようにも捉えられますし、購入後の行動を見ると、購入に対しての自己肯定感を高めるためなのか、もしくは着るのを楽しみにしているようにも捉えられます。このように購入時と購入前後含めた一連の行動すべてが、ここでの顧客体験になります。購入時の接客だけではなく、顧客の一連の行動を考えて、その前後にも体験を用意している好事例かと思います。

データ統合環境の構築

「顧客への理解」が深まることで、「顧客の体験改善」に繋がります。多様な接触ポイントでの顧客の状況を理解し、その状況に合わせた最適なコミュニケーションを作ることが重要になっていきます。そのベースとして、点在する顧客にまつわるデータを統合していく必要があります。

今回の話のようなOMOの場合、POSデータに顧客IDが紐づいた基幹システム側のオフラインのデータ、ECサイトやブログコンテンツ等での閲覧ページやお気に入り登録等のオンラインでの行動データ、これらのデータを一つの箱にまとめていきます。

その箱として、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)だったり、DWH(データウェアハウス)を用意することで、オフラインのデータとオンラインのデータが連携するようになります。場合によっては、BIツールでデータを可視化していくことで、前段で説明した、購入における顧客の一連の行動を念頭に置いた、顧客体験の提供に向けた分析や施策が実現可能となっていきます。

データ統合環境の構築

顧客解像度を高め、SNSやLINEを活用したエンゲージメントの高め方|Micoworks 大里氏

OMO時代

2015年頃から「オムニチャネル」というワードが話題にあがるようになり、オンラインとオフラインのデータをつなぐ取り組みが始まりました。2018年頃からはデータだけでなく、顧客体験をつなぐフェーズに移行しました。そして、現在ではネットショッピングとリアル店舗が融合し、シームレスな購買体験を提供するOMO時代を迎えています。

OMO時代への変遷

顧客接点とコミュニケーションの在り方も急速に変化を遂げています。従来は、お客様との接点がかなり限られている状況でした。一方、今ではデジタル広告、自社HP、アプリ、メルマガ、YouTubeなど、オンライン/オフライン含めて顧客接点が複数に増えてきています。消費者はそれぞれのタイミングで欲しい情報に触れられる、そして企業はその際に情報を届けるのが当たり前の時代になっています。

OMO時代の現状

顧客接点とニーズが多様化している現在、企業は顧客に合わせた戦略と打ち手を実行することが非常に難しくなっています。このような時代に顧客一人ひとりに適したメッセージを送ろうと考えたとき、何をよりどころに考えればよいのか?というと顧客データです。データを活用し、顧客の姿を正しく捉える重要性が高まっています。

OMO時代の課題

OMO時代のデータマネジメント

それではOMO時代にどのようなデータマネジメントを行うべきか?

その話題に入る前に、ドン・シュルツ氏が提唱したインテグレーテッド(統合型)マーケティングコミュニケーションについて少し触れておきましょう。統合型マーケティングとは、顧客を取り巻く様々なチャネルでのコミュニケーションを設計して統合的に管理することです。今では当たり前ですが、当時は新しい考え方でした。

ドンシュルツ氏は「1対1のマーケティングや何年、何十年にもわたるエンゲージメントマーケティングを実行することは、ひと昔前までは概念でしかありませんでした。しかし、様々なマーケティングオートメーションツールの出現により、統合型マーケティングコミュニケーションは実現可能なものになった。」と語っています。

統合型マーケティング

あらゆるチャネルを横断して、顧客一人ひとりにパーソナライズされたメッセージを届ける統合型マーケティングを目指すべきだというのは誰もが頷くことだと思います。とはいえ、現実を見ると、私たちは普段、自分の興味関心と関係のない広告にもたくさん触れています。他にも、関係のないメルマガが大量に届いたり、何か商品を購入したら企業から営業電話がたくさん来るようになったり……。このような一方通行なマーケティングを受けて嬉しい人はいないでしょう。だからこそ、企業はデータを活用して、顧客一人ひとりが求めるメッセージを適切なチャネルで届けるコミュニケーション設計が重要です。

これは誰もが求めるマーケティングですか?
顧客データを活用したコミュニケーションの流れ

現在では、データ収集や連携、統合すること自体は容易になりました。しかし、データを収集してつなげることが目的化するのは本末転倒です。そこで重要になるのが、データ活用の事前設計です。例えば、店舗のPOSデータと勤怠管理のデータを連携してもそこの分析から顧客理解や施策改善の糸口は見出しづらい。「何のデータを収集するのか?」「データとデータをつないで何をしたいのか?」をあらかじめ考えておく必要があります。

データ収集・分析

OMO時代のマーケティング戦略設計

それでは、実際のマーケティング戦略の設計をお話していきます。

まずは「誰とコミュニケーションを行うのか」の設計から始めましょう。例えば、性別や家族構成などの属性データや「最近購入したか」などの購買への温度感でセグメント分けを行い、誰がターゲットなのか、どこからコミュニケーションを図っていくのか、優先順位の設定を行います。

設計の優先順位の設定

次に、カスタマージャーニーを描き、「それぞれの顧客に対してどのようなコミュニケーションをとるのか?」を考えていきます。大まかなイメージですが、デジタル広告で認知獲得→自社HPを訪問→アプリをダウンロード→クーポンを獲得→予約という流れで進んでいきます。

ここで重要なのは、チャネル間のデータを連携し、一気通貫した顧客体験を設計すること。デジタル広告、自社HP、アプリ、それぞれのチャネルでデータは取得できていると思いますが、これらのデータをつなげて活用できるのかどうか。顧客に対して一貫したコミュニケーションが取れているかが大切です。

カスタマージャーニーからセグメント毎のコミュニケーション設計を考える

顧客をセグメント分けし、優先順位を付けた上で、各々に応じたコミュニケーションを図っていきます。施策のイメージとしては、「男性/大学生/ごはん好き」である人には飲食店のクーポンを渡す。「服好きの女性」であれば、アパレルの新店舗情報の配信をするなどなど。他にも、施策に対する顧客の反応の有り無しで、届けるコンテンツを変えるのも一手です。

施策の実施1
施策の実施2

このように顧客ごとの反応や属性等でステップ配信シナリオを組んで、オートメーションで実行する際、従来の主流はメールでした。しかし、現在では消費者とのコミュニケーションチャネルはメールからSNSへ大きく移り変わってきています。実は今、消費者が時間を使っているのはTVやインターネットではなく、LINE、InstagramをはじめとするSNSです。

OMO時代の顧客を捉えるためには、顧客の変化に合わせて、企業はコミュニケーションチャネルやメッセージを変えていかなければなりません。そのためにデータを活用し、顧客のニーズを捉え、一気通貫したメッセージを届ける必要があります。

それをもって、顧客一人ひとりに応じたコミュニケーションを行う統合型マーケティングが実現できると私たちは考えています。

動画はこちらから

実際のセミナー内容の詳細はぜひ動画にてご覧ください。

外部リンク:OMO時代の顧客データを活用したコミュニケーション実践方法 〜データの収集からセグメント分析、コミュニケーション設計まで〜

UNCOVER TRUTHでは、CDPやCRMを主軸にデータ活用に関して皆さまのお役に立つコンテンツをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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