AI機能リリースまでの開発秘話1──AI機能に懐疑的だった開発者が、ワクワクした瞬間

目次
導入
2025年夏。UNCOVER TRUTHの(以下、UT)Contents Analytics(以下、CA)に、新たなAI機能がリリースされた。
その裏側には、AI機能搭載に対して慎重だった一人の開発者が、チームへの貢献と、ツールへの信念を胸にトライ&エラーを繰り返した過程がある。
この機能を中心で開発したのは、UTでCAの開発に4年間携わってきたエンジニア・上原。

上原 僚馬(うえはら りょうま)
プロダクトグループ システム開発担当
Webサイト分析ツール Content Analytics のサーバサイド開発者。2020年からこContent Analytics一筋で開発に携わり、データの力でユーザーの興味関心を数値化し、より深い顧客理解をサポートできることを目指してきた。これからも、ユーザーの皆さんの声を聞きながら Content Analytics を成長させていきたいと考えている。
この機能の搭載について最初から前のめりだったわけではない。 むしろ彼は、AI導入に対して“懐疑的”な立場だった。
「AIは100%の答えを出せる子じゃない」
──だからこそ、お客さんに届けるには慎重だった
AI機能搭載の話が立ち上がった当初、上原は即答で乗ることはなかった。
「プログラムは、1+1=2で動く世界だけれど、 AIは、100%の答えを出せる子じゃないので、返答が確実な正解ではない
だから、これをお客さんに出せる、“本当に使える機能として組みこめるのか”という疑問があった」
そのため、最初はAI機能の搭載に対して否定的な立場を取っていた。
「去年までは、僕はやりたくないくらいの立場だった」
「100%の答えが出ないものを、お客様にとって意味のある機能としてどうサービスに組み込むのか」を、 開発者として真剣に見極めようとしていた。
「AIの精度向上と挑戦の決意」
──背中を押したのは、主要どころのAIのレベルの向上を肌で感じた事。
上原が“やらない”から“やる”へと転じた理由は、主要なAIエンジンの精度が飛躍的に向上していることだった。
「普段AIを利用する中で、そのレベルの向上を肌で感じ、これなら行けるかもしれないという自分の中での変化があった」
「気持ちの変化があった時期に、この機能搭載に熱量を持っていたチームメンバーから再度この話があがり、挑戦してみようと思いました。」

仲間からの後押しもあり、機能搭載を行う腹を決めた。
「納得のいく精度を」
──1機能の裏には2万6,000文字のプロンプト
上原の予想は的中し、チューニング作業は開発の壁となった。CAに搭載できると納得がいくレベルに達するまでの調整は上原自身にとっても辛い時期となった。
「僕はプログラミングをしているものづくりの時間は好きなので、開発自体は基本苦痛では無いですが、AIはプログラムと違って言うことをきかないので、ずーっとやって賢くならない期間はちょっと辛い時期でした。
チームに“ちょっと違う仕事させてください”と言ったこともありました」
上原は、ひとつのAI機能を搭載するために2万6,000文字にもおよぶプロンプトを作成し、何度も調整を繰り返した。
その中で上原のモチベーションになっていたのはチームメンバーとツールへの想いだった。
「良いメンバーなので。チームやツールにどうにか貢献したい思いがありチューニング作業に限らず色々な工夫を重ねました。」
もう一つ、上原の中にも熱い気持ちがあった。
「もう4年くらいCAに関わってて。いいツールだと思ってるんです。
チームのメンバーからきっとツールの起爆剤になるというのを聞いていましたし、僕自身にももっとCAを沢山の人に使ってもらいたいという想いがありました」
「AI機能」は、CAを進化させるための大きなチャンス。その想いを胸に開発を進めた。
転機
──Gemini 2.5が開いた「これなら出せる」の扉
ターニングポイントは、2025年6月にやってきた。GoogleのAI「Gemini」が、2.0から2.5に進化した。
「今までって、“それっぽい”ことしか返ってこなかったんですよね。
でも2.5になった途端、精度が一気に上がって、“期待以上の答え”が返ってくるようになった。
このタイミングで“これは出せる”って思えました」
それは、ようやく自分の手で、お客様に届けられるレベルに到達した瞬間だった。
ワクワクした瞬間
──“言葉の意味”を分析し、提案するAI
こうして完成したのが、ページレポートAIとコンテンツレポートAI。
中でも後者は、CA独自の行動ログ+ページテキストをもとに、コンテンツの“中身”まで読み解くAI機能だ。
「従来は、“このページがよく見られてます”とか“このボタンがクリックされました”しか言えなかったところが、今はテキストデータを使用した結果を返せることで、“この文言がオーガニック流入の人に刺さってるんじゃないですか?”とか、 “広告経由の人にはこの言い回しが離脱要因になってるかも”というような、数値データだけでは分からなかったコンテンツのパフォーマンスの根拠が明らかにできるようになったんです」

数字だけでは説明できなかったコンテンツの価値が、言語解析を通して“意味”として見える化される。 それが、上原にとっても大きな手応えとなった。
「CAとしても一段階レベルアップした分析結果を出せるようになり、“これは売れるぞ”って思いましたね。ワクワクしました。」
開発者が語る、AI機能の“おすすめポイント”
上原は、今回の機能を「ただ答えるAI」ではなく、 「ユーザーと一緒に考えるAI」であることがポイントと語る。
💡 数字に強くない人にも“問いかけてくれる”
「タグを貼ったけど、どう使えばいいかわからない人って多いと思うんです。
そういう人に、“こういうこと調べてみませんか?”って寄り添ってくれるようにしました」
💡 対話型で、考えを深めてくれる
「MicrosoftのClarityっていう無料ツールがあるんですけど、
初期質問がいくつかあって、そこから深掘りしていく機能がすごく良くて。
CAにも取り入れました。“AIとの対話でどんどん深ぼっていける”というのを大事にしてます」
💡 情報量の多いおせっかいAI
「余計なことを言わないということより、ユーザーにより多くの情報や提案を渡すことに比重を置いて作成しました。いうなればおせっかいAIですね。これが吉と出るか凶と出るかはわからないですが笑」
「CAは、まだまだ進化の途中です」
今回のAI機能リリースは、CAの“完成”ではない。
むしろ、ここから本格的に誰でも使いこなせる分析ツールへと進化する始まりだ。
「今はテキスト中心ですが、将来的には担当者の方が報告にそのまま使用できるようなビジュアル形式での返答を考えています。
上司にそのまま報告できる“提案レポート”が、AIで作れるようになると、さらに使いやすくなるのではと開発を進めたい気持ちが大きいです。」

終わりに──4年関わってきたツールを、“もう一段階、成長させるために”
CAのAI機能には、 「仲間と、お客様のため」という真摯な意志が込められている。
期待値を超える精度が出ないとお客様に届けられないという開発者としての想いと、チームメンバーの熱い想いに応えたいという想いから、随所に工夫が込められ、新機能としてリリースされた。
当社が提供するコンテンツアナリティクスとは?
「Content Analytics(コンテンツアナリティクス)」は、従来のWebサイト分析を刷新するAI搭載型ツールです。従来のページ単位の分析では見えなかったユーザーの深層ニーズやコンテンツの真の価値を明らかにします。
本ツール最大の特徴は、AIがWEBページ内のコンテンツ要素を自動認識し、ユーザー行動に与える影響を定量的に分析できる点です。例えば「この画像はユーザーを引きつけるが、次の見出しは飛ばされている」といった詳細な洞察を得られます。これによりデータに基づいた深い顧客理解が可能です。
専門知識は不要で直感的なUIなので、ご担当者様でも簡単に分析結果から改善点を発見し、施策立案→実行→検証までのPDCAサイクルを迅速化します。また、コンテンツ要素ごとの詳細なデータはマーケティング施策の精度を格段に高めます。
効果の低いコンテンツを特定し改善することで、広告費用対効果(CPA)の改善を実現。ユーザーニーズに合致したコンテンツへの最適化は、問い合わせや購入といったコンバージョン率(CVR)の向上に直結します。明確なデータに基づいた施策立案が費用対効果の最大化に繋げます。事業成長を加速させる戦略的なソリューションです。

この記事を書いた人
辻島 そよ夏(つじしま そよか)
DX-Acceleratorチーム 所属2年
百貨店等のデータ分析や分析環境構築を支援。
入社前はシステムエンジニア職。良く使う言語はPython,BigQuerySQL
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