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KPIツリーを駆使したLTV改善~因果の枝葉を紡ぐツリー~| 【連載アナリストブログ 第2章第1話】

UNCOVER TRUTHでアナリスト歴2年目の清水がデータ活用事例を紹介する連載ブログ:この記事では某オンラインショッピングサイトを取り扱う企業様と行った、KPIツリーに基づいた課題の解明、課題改善のための分析(ウェブログを活用したF2転換分析)について4回にわたり紹介します。これを読んでいただければ、課題の明確化から、分析のやり方までご理解いただけると思うので是非最後までご覧ください!

本ブログを開いていただきありがとうございます!UNCOVER TRUTHでアナリスト歴2年目の清水です。

<ラインナップ>
第1話 KPIツリーの設計
第2話 目標の設定
第3話 定点観測と課題認識
第4話 課題改善分析~F2転換分析~

第1話はKPIツリーの設計についてご紹介します!

<KPIツリーの設計

KPIツリーって…?

アナリストになりたての時、こう思ったことを覚えています。
先輩アナリストは当たり前のように使っているこの言葉。
KPI…。ツリー…。何それ。20数年生きてきて初めて耳に入ってきたこの単語。

そもそもKPIツリーとは何なのでしょう。

KPIツリーとは、企業や組織の最終目標であるKGIを達成するために、必要な要素を階層的に整理してツリー状に可視化した図です。
KPIツリーを作成することで、KPIを構成する各要素の進捗を管理することができます。
(参考 DXA-Techブログ:https://www.uncovertruth.co.jp/dx-accelerator/blog/articles/visualization_method/091/

今回はKPIツリーの作成から始まりました。これによりKGI達成のための課題を明らかにすることができます。

KPIツリーってどうやって作るの?

KGIである年間の売上を頂点とし、売上を構成する各要素を整理していきました。

KPIツリーは、フォーカスしたいポイントによって、その構成が変わってきます。
ここが難しく、面白い!(と作る身からは思います。)

ビジネスモデルや大事にしている要素などで、ツリーの構成指標や深度(何階層にするか)は変わってきます。
つまり、まったく同じKPIツリーは存在しないといえるでしょう。(ある程度の型はあると思いますが。)
伴走している企業に合わせたツリーを作り上げられることが醍醐味といえるでしょう。
そして企業を理解するきっかけにもなります。

さて今回はお客様ひとりひとりに焦点を合わせ、成長過程をウォッチしていきたいため、「顧客」を軸にツリーを作っていきました。

分解1:顧客ひとりの「生涯の購入回数」で2つに分解
全顧客を以下2つに分解しました。

  • 新規顧客…購入回数1回目の顧客
  • 既存顧客…2回目以降の購入の顧客

分解2:既存顧客を1回目の購入からの経過年によって3つに分解
既存顧客を以下3つに分解しました。
・F2転換顧客…1回目の購入から1年以内に2回目の購入をした顧客
・継続顧客…前年も今年も連続で購入した顧客
・復活顧客…前年は購入していないが、前年より以前に購入した顧客

1年以内のF2転換顧客とすることにより、初年で2回以上購入した顧客を確認できます。
また新規顧客のうち、F2転換した顧客の割合 = F2転換顧客数 / 新規顧客数を「F2転換率」と定義しました。

継続顧客と復活顧客の違い
継続顧客と復活顧客の違い

F2転換率同様、継続顧客と復活顧客もその割合を定義し、以下のような数式で算出しました。
・継続率 = 前年と当年も購入した顧客数 / 前年に購入した顧客数
・復活率 = 2年前以前に購入し、前年は購入せず、当年は購入した顧客数 / 2年前以前に購入し、前年は購入しなかった顧客数

顧客分解例

上図のように顧客を4つに分解し、それぞれの割合と合わせて確認することで、顧客育成における行動の差分を把握でき、改善施策の検討に役立ちます。
例えばF2転換顧客数が少ないという課題があったとします。
この課題の解決方法を、前述のF2転換率の式を変形した、F2転換顧客数 = 新規顧客数 × F2転換率から探ることができます。

・新規顧客数は多いが、F2転換率が低いため、F2転換顧客数が少ない
原因:新しい顧客を獲得することはできているが、獲得した顧客を2回目の購入につなげられていない
課題解決のために:獲得した顧客を育成し、2回目の購入につなげるための解決策を講じることが必要

・F2転換率は高いが新規顧客数が少ないため、F2転換顧客数が少ない
原因:獲得した顧客を2回目の購入につなげられているが、新しい顧客を獲得することができていない
課題解決のために:新しい顧客を獲得する解決策を講じることが必要

課題と原因の解明

顧客を分解することにより、KGIとなる総売上を、4つの顧客分類で分解できました。
総売上 = 新規顧客売上 + 既存顧客売上
既存顧客売上 = F2転換顧客売上 + 前年継続顧客売上 + 復活顧客売上

顧客を分解しただけでは、KPIツリーは完成ではありません。
続いて、各顧客の売上を分解しました

分解3:売上の分解
売上 = 顧客数 × 顧客単価 で分解しました。
顧客単価とは、ひとりあたりの購入金額です。
つまり売上は、「年間で〇〇円購入する顧客が〇〇人いる」と言い換えることができます。

分解4:顧客単価の分解
顧客数はこれ以上分解できないと考えたため、顧客単価の分解を行いました。
顧客単価 = 購入単価 × ひとりあたりの購入回数 で分解しました。
つまり顧客単価は、「1回で〇〇円購入する買い物が〇〇回発生する」と言い換えることができます。購入単価とは、1回の購入あたりの金額です。

・購入単価の分解
ひとりあたりの購入回数は、これ以上分解できないと考えられるため、購入単価を分解しました。
(購入回数は、例えば各月の回数の足し算など分解することができそうですが、細かくなってしまうため差し控えました。)
購入単価 = 商品単価 × 1回あたりの数量 で分解しました。
商品単価とは、1つの商品あたりの金額です。
つまり購入単価は、「1つ〇〇円の商品が〇〇個購入される」と言い換えることができます。

このように売上を顧客の属性を軸に分解していきました。
最終的にできるKPIツリーは以下のようになります。

全体の分解
顧客ごとの分解

第1話はここまで!次回は目標設定について紹介していきます。

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