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KPIツリーを駆使したLTV改善~目標が導く、成功への羅針盤~| 【連載アナリストブログ 第2章第2話】

UNCOVER TRUTHでアナリスト歴2年目の清水がデータ活用事例を紹介する連載ブログ:
この記事では某オンラインショッピングサイトを取り扱う企業様と行った、KPIツリーに基づいた課題の解明、課題改善のための分析(ウェブログを活用したF2転換分析)について4回にわたり紹介します。これを読んでいただければ、課題の明確化から、分析のやり方までご理解いただけると思うので是非最後までご覧ください!

本ブログを開いていただきありがとうございます!UNCOVER TRUTHでアナリスト歴2年目の清水です。第2話は目標の設定についてご紹介します!

<ラインナップ>
第1話 KPIツリーの設計
第2話 目標の設定
第3話 定点観測と課題認識
第4話 課題改善分析~F2転換分析~

<目標の設定>

KPIツリーができたので、次に目標値の設定を行いました。
達成したい売上高(目標予算)と、それを達成するための妥当なKPIの目標値を設定しました。

目標って高けりゃ高いほどいいのでは…?

アナリスト初心時代、そう思っていた僕がいました。
しかしよく考えると、それは誤りでした。

現状と乖離している目標はモチベーション低下や、誤った判断を招きます。
売上1億円の組織が、翌年の売上100億円を掲げたらどうなるでしょうか。
現実的に見て、これを実現できる可能性は皆無だと思います。
達成できたら、映画ビリギャルばりの奇跡です。
このような達成可能性の低い目標を目の前にしたとき、人はどうなるでしょうか。
「頑張っても無理。評価されない」と思い、挑戦意欲を失うでしょう。
また果敢に取り組むとしても、本来すべきでない意思決定をしてしまう可能性があります。

本来であれば、10年後に100億円。そのために3年後に10億円…。などと着実で健全な成長をするべきで、そのための戦略を作るべきです。
しかし無理な目標は、利益度外視の営業など無謀な戦略を招いてしまいます。
今挙げた例は極端な話ですが、目標は現状を把握し、適切に作っていくべきです。

さて、今回は単月と移動年計の2種類の目標を設定しました。

移動年計って…?

単月では文字通り、1か月間ごとに見ていきます。
年間を通した目標売上を達成するために、各月どれくらい売り上げるのかを見ていくために単月での目標を設定します。

一方移動年計はあまり聞きなじみがない言葉でしょう。
移動年計とは、当月を含めた直近12か月間の合計値をみていく方法です。
移動年計を用いて、月や年をまたいだ顧客育成の目標を設定しました。

今回作成したKPIツリーの顧客区分(第1話で紹介)は、「初回の購入から1年以内に2回目の購入をした顧客をF2転換顧客とする」ように、1年間という集計期間がないと分類できないものになっています。

顧客分解例

つまり1か月(単月)だけでは、売上などを集計することができません。
そのため顧客育成に関する指標は、移動年計で目標を設定しました。

どうやって目標をたてるの…?

2種類の目標をたてることを決めたのち、次のようなSTEPで実際の数字を算出していきました。

STEP1:KPIツリーの頂点である年間売上の目標を設定
前年からどれくらい成長させたいかを決め、前年の年間売上に成長率をかけることで、年間の目標売上を設定しました。
(成長率は、現実離れしない程度の値を設定することに注意が必要です)

STEP2:年間売上から、単月の目標売上を設定
前年の各月の売上シェアを基に、単月の売上を設定しました。
前年の総売上を100%としたときに、各月の売上がどれくらいの割合を占めているかを今年の目標売上にかけることで、単月の目標売上を求めていきました。

STEP3:単月の目標売上から、移動年計における各月の目標売上を設定
移動年計は「当月を含めた直近12カ月合算」なので、単月の目標が分かれば、移動年計の目標も設定できます。
直近11カ月間(1月であれば前年2月~12月)の実績売上または目標売上の和と、当月(1月)の売上を足した値が移動年計の目標売上になります。

STEP4:単月の購入回数を「前年から何%引き上げるか?」から算出
前年の年間の購入回数と目標成長率を用いて、当年の購入回数を算出しました。
今回は目標成長率を1%に設定しました。
前年の購入回数が10,000回だったため、10,000 × 100.01 = 10,100回を当年の目標年間購入回数としました。
年間の購入回数を算出したら、それを月単位の目標に落としていきました。

年間の目標をどう月間に落としこんでいくの…?

年間目標10,100回を各月の目標にしていくためにはどうすればよいのでしょうか。
1年間は12か月あるから、10,100 ÷ 12でいいじゃない!浅はかな考えを持っていたものです。
しかし実際はそうシンプルではありません。
季節によって売れ行きが変動する商品がほとんどですし、季節による変動がない商品だったとしても、セールなどの企画が影響する場合もあります。
そのため各月で購入回数を変える必要があります。

今回は各月の購入回数シェアから各月の目標購入回数を設定しました。
年間の購入回数を100%としたとき、各月の購入回数がどれくらいの割合を占めているかを算出し、各月のシェアを年間目標購入回数にかけることで、各月の単月目標購入回数を算出しています。
各月の移動年計購入回数は、直近11カ月の単月購入回数の実績値または目標値の和と当月の単月購入回数の目標値を足すことで算出できます。

以降KPIツリーの分解にのっとって、各指標の目標値を整理していきました。

目標値設定手順

こうして単月と移動年計の目標値を設定することができました。

第2話はここまで!次回は定点観測について紹介していきます。

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