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<小川卓が解説!>まずは実践!CRM第6回:改善施策の実施と評価

UNCOVER TRUTHのChief Analytics Officer の小川です。このシリーズでは、まずは実践!ということで、なるべくハードルが低い「CRM」の実践方法について全6回でお送りしていきます。CRMというと難易度が高そう!というイメージを持たれる方も多いかと思いますので、そのハードルを下げて、実際にまずは1回試してみることをゴールにします。

前回は各ユーザー群を分析するところまでを紹介いたしました。最終回である今回は、施策の実施と評価に関して説明をしていきます。ウェブサイトの改善は施策を行わなければ実現しません。最後までやり切ることが大切です。

どのような施策を行えば良いのか?

基本的には前回、紹介した分析結果を元に改善案を考えて実行していくことになります。前回の分析を行うと、以下のような気付きが見つかるはずです。

・商品を複数見るとCV率が上がるが、5個以上見てもあまり変わらない

・商品の検討度合いが高まるユーザーは送料や発送時期、FAQのコンテンツを見る傾向がある

・価格検索ユーザーには人気順で一覧ページを見せると商品詳細への移動率が高くなる

ここで得られた気づきを元に施策を考えていきます。施策の種類は多岐に渡りますが、ここでは大きく3つに分けてみます。

1) ページ単位の施策

レイアウトの変更やコンテンツの追加など、ユーザーの種別関係なくページ内の変更を行う場合。つまりページを見た全員が対象となる施策を指します

2) サイト全体の施策

特定のページ修正ではなく、サイト全体あるいは特定のページ群に対して行う施策です。主にSEO周りの施策や、ヘッダーやフッターなどの共通パーツに対して行う施策を指します。

3) ユーザー単位の施策

累計訪問回数、過去の購入有無、サイト内の行動履歴などを元にユーザー単位(あるいはユーザー群単位)で実行する施策です。例えば5回以上来てものすごく迷っている人に対して、クーポンの案内をするなどの施策を指します。

上記3つの分類で施策を整理してみると抜け漏れなどを防ぐことができます。

次のステップは洗いだした施策を整理する事です。

施策を実行する前に施策一覧表を作成しましょう

施策は全て実行出来れば理想ですが、現実的には様々な制限(お金・工数・技術等)によって優先順位が変わってきます。

施策実行に進む前に施策一覧表を作成し、この優先順位を整理しましょう(一覧表を作って議論をしないとそもそも施策実行が出来ない事がほとんどですが)。

一覧表に入れる項目は、以下を参考にしてみましょう。

また施策を実施する際の評価項目を決めておくことも大切です。先ほどのタイプ別に施策の評価方法を紹介いたします。

施策種別の評価方法

3つの分類(ページ単位・サイト単位・ユーザー単位)によって評価方法は変わってきます。

それぞれの施策評価の基本的な考え方は以下の通りです。

施策種別評価方法
ページ単位施策で真っ先に改善する指標(離脱率・遷移率・直帰率・スクロール率・クリック率)及び サイトの成果への貢献(該当ページ経由のコンバージョン数と率)
サイト単位施策全体で改善したい数値(検索順位・検索流入数・平均閲覧ページビュー数・滞在時間)と改善した結果の成果へのインパクト
ユーザー単位実施施策の表示有無による評価、クリック有無による評価、クリック回数による評価、コンバージョン率と数への影響

ユーザー単位に関しては少し補足が必要かと思いますので、紹介しますね。ユーザー単位の施策に関しては「特定条件を満たしたときに表示される」ことが多いかと思います。

そのため、まずは「表示された人」と「表示されていない人」でのコンバージョン率やファネルの遷移率で評価を行います。

次に「表示されてクリックした人」と「表示されたけどクリックしなかった人」でも同じような評価を行います。最後に「クリックした回数」での評価も行いましょう。

これにより多層的な評価を行うことが出来、次の仮説を発見しやすくなります。

施策種別の実行方法

最後にそれぞれの施策パターンごとに、どのようなツールやサービスを活用して実行するべきかを紹介いたします。

ページ単位

ABテストツールなどを活用していきましょう。Google Optimizeや Adobe Target等が代表例になります。

■Google Optimize

仮説に基づいてページを修正し、現在のパターンと数値比較が出来ることが大きな特徴です。有意差なども判定してくれるため、施策の効果があったかをしっかり判別する事が出来ます。

活用のポイントとしては、ツール上での目標設定です。前項で述べた「施策種別の評価方法」に基づいて、目標を必ず複数設定しておきましょう(Google Optimizeの無料版では最大3つまで設定可能です)。

またGoogle OptimizeやAdobe Targetなどはそれぞれの自社解析ツールと連動していますので、細かい分析に関しては解析ツール側に委ねても問題ありません。

サイト単位

サイト単位の場合は施策を実行するツールという考え方はありません。そのためいきなり施策の実行に進むことが多いです。

ページのレイアウト変更などであれば一部ページでABテストを行った上で、全体に反映するという進め方も可能です。しかしSEO施策などであれば、そういった進め方は出来ないため、全体に反映した上で経過を見ていくという形になります。

このようなサイト全体に対する施策の場合は、評価項目に基づき、実施前後での比較をすることが多いです。

サイトの規模等にもよりますが、筆者のオススメは実施前後2週間~1か月での比較となります。これ以上短いと平日と週末で結果が変わるケースもありますし、1か月以上となってしまうと他の施策や外部要因の影響が混じりやすいためです。

ぜひ、サイト単位の施策に関しては評価方法とあわせて、評価期間も考えておきましょう。

ユーザー単位

主に「接客ツール」と呼ばれるツール群を使う形にもなります。第2回でも言及した「ウェブサイト上で施策を実行するツール」の中で紹介した KARTE / b→dash / Sprocket / Repro 辺りのツールが良いでしょう。

サイト側で一から開発しても良いのですが、開発に時間がかかるため外部ツールを使うことをオススメします。

■KARTE

専用のツールではデータ取得もしっかり行ってくれるため、ABテストツールと同様に評価が行いやすくなります。ぜひ活用を検討してみましょう。

最後に

全6回に渡り、実践CRMというテーマで執筆をしてきました。ウェブサイトの改善をカスタマー視点から行う事の重要度は今後更に増してきます。その理由として、多くのサイトは現在「使いやすい」状態にあるためです。「明らかにレイアウトがおかしい「スマートフォンでとても使いにくい」といったサイトは10年前ならともかく、今はほとんどありません。

そういう「わかりやすい改善」が出来ているサイトが増えたからこそ、今度はサイトを利用しているユーザーに向き合って、そのユーザー(あるいは似たユーザー同士)に対しての最適な施策実行が必要となってきます。

ぜひ、改めて全6回の記事を読み直していただきどこまで出来ていて、どこから手をつけるべきか。社内で議論を進めてみてください。

<小川卓が解説!>まずは実践!CRM第1回:ユーザーの行動と態度変容を描こう
<小川卓が解説!>まずは実践!CRM第2回:計測するためのデータ取得と設計環境を整える
<小川卓が解説!>まずは実践!CRM第3回:ユーザーの「分類」を考える
<小川卓が解説!>まずは実践!CRM第4回:ユーザーを分類して計測できる状態にする
<小川卓が解説!>まずは実践!CRM第5回:分析に基づいた改善施策を考えて実行する


小川 卓
株式会社UNCOVER TRUTH
CAO(Chief Analytics Officer)

Webアナリストとしてマイクロソフト・ウェブマネー・リクルート・サイバーエージェント・アマゾンジャパンなどで勤務。解析ツールの導入・運用・教育、ゴール&KPI設計、施策の実施と評価、PDCAをまわすための取り組みなどを担当。全国各地で講演を毎年40回以上行っている。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。 主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。

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