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部署を横断して社内にWebサイトをより良くしようという機運ができた|フジドリームエアラインズ様 導入事例

株式会社フジドリームエアラインズ IT戦略部 部長 藤谷 健 様
株式会社フジドリームエアラインズ 営業本部 営業業務部 新倉 陽子 様
株式会社UNCOVER TRUTH 執行役員 荒竹 将

導入サイト: フジドリームエアラインズ
導入時期:2017年12月〜

株式会社フジドリームエアラインズは名古屋、静岡、福岡、松本を拠点とした航空会社です。今回はフジドリームエアラインズでWebシステムの構築運用をご担当されている藤谷様と、マーケティングを担当されている新倉様にUNCOVER TRUTHとのお取り組みについてお聞きしました。

地方と地方を結び、日本をより輝かせる航空会社に

– まずは御社の事業内容について教えてください

新倉:弊社は静岡に本社を置く鈴与株式会社のグループ会社です。もともと鈴与株式会社は清水の港を中心に200年に渡りBtoBの物流事業を主な生業としてきました。フジドリームエアラインズは鈴与のグループ会社として2009年に設立され、静岡空港を拠点に3路線8便の就航から始まり、2018年現在は18路線で毎日72便を就航させています。
他の航空会社と比べて特徴的なのは、弊社が 地方と地方を結ぶリージョナル航空事業 を展開しているという点です。弊社の創立者である鈴木与平は、東京一極集中の中、人や物、経済が地方から都市部に流れ、文化が画一化していく現在の潮流に危機感を感じていました。そして、日本全体が元気になるには地方が元気にならなければいけないという想いを持っており、地元である静岡の空港を拠点に地方同士を結び、両地域を活性化させるために事業を始めたんです。以来我々は 「地参地翔(ちさんちしょう)」 をテーマに掲げ、地方と地方を航空ネットワークで結び、地域や人の交流を深め地方を元気にすることで、日本をより輝かせていく という志のもと事業を展開しています。

– 地域と地域を結ぶリージョナル航空会社として他航空会社とは異なる立ち位置でビジネスを展開されているのですね。そんな貴社において、Webサイトというのはどのような位置付けなのでしょうか。

藤谷:実は、9年前の弊社立ち上げ時の理念にすでに 「Webサイトを重要視して、航空会社をなりたたせる」 と明記されているのです。

新倉:先ほど申し上げた通り、もともと親会社である鈴与はBtoBをメインの生業としておりまして、BtoCのビジネスは非常に稀でした。個人のお客様に旅客としてご利用いただくという新しい取り組みを始めるということで、旅行代理店様のお力ももちろんお借りはしますが、お客様に直接ご購入いただけるWebサイトは、収支面を考えてもとても重要な販売チャネルだと当初から認識していました。実際に代理店様経由での販売とWebでの直販の割合は、季節によっての変動はありますが多くの割合がWeb経由でのお申し込みです。

自分たちのWebサイトがお客様に満足していただけているか、客観的な評価が知りたかった

– ありがとうございます。では、UNCOVER TRUTHとお取り組みを始めた経緯について教えていただけますか。

藤谷:先ほど申し上げた通り、弊社では創業当時からWebサイトを重要視するという考えは持っていたのですが、世間の評価としてどうかということは語られていませんでした。 弊社のWebサイトは本当にお客様に満足いただけているのかという客観的な評価、数字が欲しかったのです。 そしてその数字を元に改善すべき点は改善しないといけないと考えていました。そういう会社を探していた時にUNCOVER TRUTHさんのコンサルティングのことを知り、お話を聞かせてもらいました。

新倉:実は私は弊社に入社して2年目なのですが、弊社での最初の仕事はコールセンターからあがってきたお客様のご意見一覧からWebサイトを改善することでした。つまり、お客様からコールセンター経由でご指摘いただいたWebサイトの分かりにくい点や困った点を解決するのが仕事です。もちろんお客様からのご意見を解決することは重要ですが、これはあくまですでに可視化されている明確な課題なのですよね。
藤谷からUNCOVER TRUTHさんの話を聞いた時に、お客様の実際の声に結びつかない、Webサイトに潜む課題(本当は使いづらいと思っていても、お声として直接伝わってこない課題)を科学的に分析できるという話を聞いて、すごく面白いと思いました。しかも会社名がUNCOVER TRUTH 、真実をつまびらかにする、じゃないですか。これはもうやってみよう!と。

UIがわかりやすければ、エクスキューズは必要ない

– 実際のプロジェクト内容について教えていただけますか。

新倉:UNCOVER TRUTHさんとは、定性的なお客様の声からではなく、実際に弊社のWebサイトを使ってご成約いただく方、いただかない方の行動をデータで分析することで、お客様のWebサイト上での迷いや課題を明らかにし、スムーズに予約に至っていただくことを目的にお取り組みをさせていただきました。KPIとしてはWebサイト上でのお申し込み数の向上ですね。

– お取り組みをする中でどのようなことがわかりましたか。

荒竹:まずWebサイト全体のアクセス分析を行うと、空席照会結果ページ(お客様が便を選択するページ)での離脱率が高く、その次に確認ページでの離脱率も高いことがわかりました。意向を持って検索や便を選択しているにもかかわらず離脱してしまっているユーザーが多いということですね。最終予約CVにも直結しやすい動線ですので、まずはこの予約動線から改善することにしました。

– 予約動線での具体的な事例を教えていただけますか。

新倉:ABテストは何本も行ったのですが、例えばフライト選択ページでは便の選択時に空席状況によって◯や△や×が表示されるのですが、元々のデザインだとそれがボタンのような見た目になっておらず、価格比較もしにくくユーザーが迷っている状況が明らかになったのです。ボタンをクリッカブルに見せて、どのプランが最安値かを表記しただけでCVRが上がり、お客様にとってパッと見てわかりやすいUIをご提供することの重要さを再認識しました。もともと弊社のWebサイトにはお客様からわかりにくいとご指摘いただいた点を注釈としてたくさん掲載してあったのですが、UIがわかりやすければ、そういうエクスキューズはいらないのだなと反省しましたね(笑)。

また、フライト選択ページでは、日付を選ぶと該当日程のフライトプランの料金がぺージ下部に出てくるのですが、日付を選ぶ欄と料金が表示される欄が離れていて。なぜならその間にお客様が迷わないように、注釈がすごくあるから。

お客様はスクロールをしないと料金を見にいけないのですが、ヒートマップで見るとスクロール率が悪くて。日付を選んでも下の料金が変わったことに気づいていない方が多いのではという仮説がたちました。

荒竹:CVした人とCVしていない人をヒートマップで見てみると、CVした人は注釈に注目せず次に進んでいるが、CVしていない人は注釈をよく見ていることも明らかになりましたね。

新倉:そこでフライト日付と料金の間にあった注釈を下部に持ってくると、CVRが上がりました。

今までお客様からご指摘があって追加してきた注釈を削除したり、ページ下部に配置するのはとても勇気がいることでした。ただ結果的に、クレームドリブンではなく、今まで見えなかったお客様の行動を数字で見て直すことで、これだけ迷わずお申し込みに進んでいただける、使いやすさをご提供できるのだなというのは新たな発見でした。
どちらも言われれば納得、といった施策なのですが、きちんと数値で見てデータを元に改修していくというのは自社だけではできなかったと思いますし、私にとってもすごく新鮮なプロジェクトでした。

プロジェクトをきっかけに、Webサイトをよりよくする議論が社内でおきるようになった

荒竹:予約ページの分析が終わったあとは、トップページの改善にも取り組まれましたよね。

新倉:はい、実はトップページは昨年の7月にドラスチックにデザイン変更をしたばかりで、我々も当然良いものだと思ったデザインを反映していたのですが、直帰率が高いというご指摘を受けて、課題があるのではと考えました。そこで第二弾プロジェクトとしてTOPページの分析改善を始めました。

荒竹:TOPページの分析は、プロジェクトを始める前に藤谷さん新倉さんからファーストビュー(以下、FV)の右側にある地図が使われているかどうかを見たいというお話を頂いていたので、地図が利用されているかどうかを計測するイベントを弊社の方で設定し、データが取得できる環境を作るところから始めましたね。

新倉:はい、デザイン変更後の弊社のWebサイトでは、FVの左側にフライトの検索窓があり、右側に就航地の載った地図を掲載していました。

地図から路線を選ぶと検索にも値がセットされる仕様になっていたのですが、他の会社ではFVにブライドイメージやキャンペーンを載せているケースが多いですよね。そこで弊社では地図がしっかりと活用されているのかどうか、調べてもらったんです。するとユーザーは地図からではなく、ダイレクトに検索窓から渡航先を入力して選んでいる方が多いということがわかりました。FVは重要なスペースですから、違うことに活用したらいいのではないか?というご提案をいただいたのです。

新倉:そこから、 そのFVをどう使おうか、FVの有効活用をしていこうと社内で議論が始まったのです。 そして弊社の広報担当から「飛行機と宿をパックで販売しているバナーのクリックが意外と高い」という気づきと「ユーザーは宿やツアーも一緒に探しているんではないか?」という仮説をもらいました。それによりFVで飛行機と宿やキャンペーンを訴求するテストを行うことにしたんです。

これは弊社としてはすごく画期的なことで、今までWebサイトは一度作ってしまえばそっと触らないものだったのですが、UNCOVER TRUTHさんとのプロジェクトがきっかけで、Webサイトをお客様にとって魅力的なものに変えていきましょうという機運が社内に生まれたんです。 さらにいうと弊社の広報担当の若い社員からトライしていきましょう!という声が上がったのは非常に嬉しかったですね。
FVの地図がダメということではなくて、ここをどう活用すればお客様にとって魅力的なWebサイトになるのかという議論が起こったことに、ものすごく意味がありました。

社内を巻き込み、Webマーケティングのチームが発足

– 直接Webサイトを担当する部署ではない広報担当者さまからもご意見が出たとのことですが、どのように社内を巻き込んでいかれたのですか?

新倉:私はもともと前職ではマーケティングコミュニケーションをしていたのですが、弊社はインターナルコミュニケーションが薄いなと感じています。航空会社というのは専門職の集まりなので、組織が専門職集団で構成され、縦割りに構成されていて各部署でキャリアアップをしていくので、人事異動も難しいという組織特性があります。Webは全組織に絡むことなので横通しが非常に必要なのですが、社内に自分の仕事と結びつけて考える意識があまりなかったんです。UNCOVER TRUTHさんの分析では数字が明らかに出るので、肌感覚ではなくて、ファクトとしてお客様の行動が明らかになる。 これは社内の人にお客様の状況をしっかりと伝えるチャンスですよね。そこで経営層や関係部署の人間を集めて、プロジェクトの成果を発表してもらうプレゼンを複数回実施しました。情報というのは不思議なもので、特に誰かを説得したいときは、何をいったかが重要であるにもかかわらず、誰がいったかが重要になることがあります。 ですので、報告会はあえて社内の人間が話すのではなく、UNCOVER TRUTHさんから直接データ、ファクトを伝えてもらうことをしました。荒竹さんも執行役員ですが、弊社の役員からすると孫みたいなものですよね(笑)。でもファクトを出すと腹落ちする。

荒竹:データに世代は関係ない、ですね(笑)。

新倉:そうそう。そして実際にABテストを行うことでまだまだお客様を増やせるということも明らかにできました。経営層もこのプロジェクトに非常に興味を持ってくれましたし、関係各部署からも意見が出るようになりました。実は、そんな経緯もあってか、この10月にWebマーケティングチームができたんですよ。 UNCOVER TRUTHさんとのプロジェクトがなければ、ずっと問題解決型の仕事をしていたと思います。これからはこのチームでエビデンスベースのマーケティング、データドリブンのマーケティングをしていきたいと思っています。弊社のWebマーケティングチームもUNCOVER TRUTUの名前に負けない Make invisible to visible(見えないものを明らかにする) という行動指針を持って取り組みたいと思っています。

荒竹:弊社のプロジェクトがそのようなチーム発足のきっかけになれていたとしたら、本当に嬉しいですね。

– 今後貴社で目指すことについて教えていただけますか。

藤谷:Webサイトという点でいうと、来期に大幅なシステムリニューアルを行う予定なのですが、マーケティング的なノウハウは新倉から全て吐き出して、今回のプロジェクトのABテストを踏まえて、お客様目線で、お客様にとって真に優しいWebサイトにしようと考えています。 説明書がなくてもすぐに理解して行動していただけるように。

新倉:Webマーケティングチームとして直近やりたいのは、全16就航地、18路線全てのお客様を理解すること。 そしてそれを関係部署の人たちと共有したい。例えば我々のビジネスでは、客室乗務員とか、確実にお客様とオフラインで接触している人がいるのですよ。ただ、オフラインとオンラインがブツブツに切れているから、弊社のお客様がどういう方々なのか特定する議論はできていない。本当は誰かが見ている私たちのお客様を、Webで分析して数字として明らかにし、リアルで接触している社内関係者とみんなで情報を共有したら、お客様の本当のニーズをつまびらかにできるのではないかと思っています。 そういう情報を、今後の商品開発や自治体様とのコミュニケーションに使っていきたいと思っています。とはいえまだまだ弊社のことを知らない方々もたくさんいますので、まずは一度でも乗って頂くこと、乗って頂けたら再度ご利用頂くこと。そういうことがきちんとできるWebサイトにしていこうと思います。
来年弊社は就航10周年でして、「我々はお客様の夢を乗せて、ますます地方と地方を繋げていきます」というメッセージを出していくチャンスの時ですので、この1年はデータドリブンなインターナルコミュニケーションに力を入れて、来年社員が一丸となってエクスターナルコミュニケーションができるようにしたいですね。

– 最後に、UNCOVER TRUTHへメッセージがあればお願いします。

今回、プロジェクトで一緒に取り組みをしてくださったディレクターさんはとてもお若い方だったのですが、すごく一生懸命に本プロジェクトに取り組んでくださいました。データから何がわかるか本当に真剣に考えてくださり、ビジネスパートナーとしてとてもリスペクトできました。UNCOVER TRUTHの方々には今後もクライアントのWebチャネルをより良くするという姿勢で、クライアントに刺激を与えるプロジェクトを行っていってほしいですね。
我々フジドリームエアラインズは今後も地方と地方を結び日本を盛り上げる仕事をしていきますが、UNCOVER TRUTHさんには日本発のIT技術で、日本や世界を元気にしていってほしいと思います。


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