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『CDP』ってなぜそんなに話題になっているの?|CDP専門書籍の著者COO小畑が解説!

こんにちは。UNCOVER TRUTH COOの小畑です。このタイトルの記事に目を向けていただいた皆さまに、できる限りわかりやすく丁寧にCDPってなんの役に立つのか?をお伝えします!「あ〜、だからみんな必要って話題にしているんだ」と、笑顔で読み終わっていただけるように書きたいと思います。

まずは、CDPとはなにか?

まずはこれですね。間違いを書きたくないのでChatGPT先生に聞いてみました。

CDPは、マーケティングや顧客関連の分野でよく使われる用語です。顧客データプラットフォーム(Customer Data Platform)は、複数のチャネルからの顧客データを集約し、統合し、分析して、より良い顧客エクスペリエンスやターゲティングを実現するためのテクノロジープラットフォームです。

by ChatGPT

わかるようでわからないので、もう少し咀嚼してみましょう!

CDPは「Customer Data Platform」の略語です。日本語に直訳すると「顧客情報基盤」ですね。自社の顧客のあらゆるデータを貯めるものと解釈するのが一般的です。例えば以下のような情報を取り込みます。
・会員登録情報(氏名、性年代、住所、その他デモグラ)
・購買データ(いつ、どこで、何を買ったか)
・行動データ(サイトやアプリ内の閲覧行動ログ)

by ChatGPT

従来のデータベースとCDPの違いを図解

上図の左にあるように、一般的に「POSレジシステムの購買データ」「基幹システムの会員マスタ」「ECシステムの会員データや購買データ」「Google Analyticsなどのログデータ」は、ぞれぞれのシステムにバラバラに格納されています。それらバラバラになっているデータを上図の右にあるように、CDPに集めて統合し、会員一人ひとりに購買データや行動データを紐付けします。すると以下のような分析ができます。

  • 誰が、いつ、どこで、なんの商品を買ったのか?
  • お店で買う前にECサイトで商品をチェックしたか?
  • お店で買った後に周辺商品をECサイトで閲覧して興味がありそうか?

顧客の購買と行動をまとめて見られるようになることで、誰に何をお薦めすれば、もっと買ってもらえたり、喜んでもらえたり、楽しんでもらえるかといったコミュニケーション施策が湧き上がりやすくなります。

つまり、CDPの導入目的は「顧客単位での興味関心や行動特徴、態度変容を可視化する”顧客理解力”を手に入れる」ためです。そして、CDPの活用目的は「顧客起点のマーケティングを実現する」ことです。

実際に「顧客起点のマーケティング」を図で表すとこんな感じです。

極端に見えるかもしれませんが・・・、CDPの可能性はとても大きく、CDPが有ると無いとでは違いが出ます。以下にCDPの有無で生じるコミュニケーションの比較をしてみます。

”CDPが無い”ブランドからのメール

  • 通り一辺倒な一斉メルマガ(全員に同じタイミング同じ内容のメール)
  • 商品Aを昨日お店で買ったのに、ECサイトから商品Aの値引きクーポンが送られてくる(がっかり)

”CDPが有る”ブランドからのメール

  • タイミング(お店で買った翌日にECからThank youが届く)
  • メール or LINE or PUSHがよく見るチャネルに自動で合わせてくれる
  • 欲しい商品情報、知りたい情報がピンポイントで届く
  • どこのお店に欲しい商品在庫があるか教えてくれる
  • ちょうど購入したA商品のコーディネートを教えてくれる

メール一つとっても、しっかりと顧客一人ひとりに合わせてお届けできるようになります。この差は大きいと思いませんか?顧客の視点に立ってみれば、どちらのサービスやブランドとコミュニケーションを取りたいかは一目瞭然です。

CDPが話題になっている理由

さて、ここまではCDPとはそもそも何であり、何ができるのか?を見てきました。ここからはタイトルにある「なぜそんなに話題になっているの?」というところに焦点を当てていきましょう。

3rd Party Cookie(サードパーティ・クッキー)の規制で広告の成果が今までのように出せなくなる

これがムーブメント火付け役の正体です。3rd Party Cookieが規制されます。次で説明しますが、この規制により、広告が大打撃を受けてしまいます。これまで粘ってくれていたGoogleでも、とうとう2024年中にChromeブラウザで3rd Party Cookieの利用が制限されます。すでに制限をかけていたAppleのブラウザSafariがシェア37%、Chromeはなんと47%のシェアです。つまり年内に、ほとんどの顧客を広告で追跡することができなくなってしまいます。

特にリターゲティング広告に大きな影響が出る

広告への大打撃ですが、3rd Party Cookieの規制で最も大きな影響を受けるのが「リターゲティング広告」です。通称「リタゲ」は、読者の皆様も日常的に目にしていることかと思います。

あるショッピングサイトで商品を閲覧していた後に、インスタなどSNSをみていたら、同一商品や類似商品の広告が追いかけてくるように出現してきますよね、それが「リタゲ」です。リタゲには3rd Party Cookieというインターネットと共に進化してきた技術が採用されています。この技術が個人情報保護の観点から規制されることになり、とうとう年内に利用できなくなります。広告は企業と消費者をつなぐ生命線のようなものです。そのリタゲに代表される広告のテクノロジーが制限され、破壊的に広告の効果を出せなくなると言われています。この記事は技術解説が目的ではないので割愛しますが、Cookieの広告利用については別の記事で詳しく書こうと思います。

3rd Party Cookieの代替案として注目される1st Party Data(Cookie)

さて、ここが本記事の核心です。大枠でご説明すると以下のような内容です。

3rd Party Cookieを利用した広告が規制される

デジタル広告の精度がガタ落ちするリスクがある

いろいろ代替案があるけど、どれもパッとしない

1st Party Dataを活用するとそれなりに効果を保てる

1st Party Dataを広告利用するにはCDPかDWHが必要

Cookie規制に対応するために”いますぐにCDP”が必要だ

なんだか、この書き方だと安っぽい煽り広告みたいになってますが、そのような意図はございませんのでご容赦ご理解のほどお願いします。

まずは、1st Party Dataがどのようなものか、簡単に図解で見てみましょう。

1st Party DataとCDPと広告(施策)の全体像

上図の赤い点線で囲われているところが「1st Party Data」になります。前段の「まずは、CDPとは何か?」で記載した内容そのままですね。まさに自社で持っているユーザーにまつわるデータ資産そのものを指します。これらの各種データをCDPに格納することで、広告に活用することができます。3rd Party Dataのように外部の企業が保有するデータではないので、規制の対象になりません。(もちろんユーザーからの利用許諾は必要です)

たとえば、以下のような利用方法が非常に分かりやすい活用例です。

  • 自社会員の中で売上トップ10%の顧客を抽出して、GoogleやMETAなどの広告プラットフォーマーに会員のID(メアドのハッシュ化した情報など)を渡す
    Googleは渡されたユーザーと同じような属性のユーザーにだけ広告を配信する。(=ロイヤル顧客になるポテンシャルのあるユーザーにだけ広告を配信できるので無駄がない)
  • 自社会員の中にいる、休眠顧客やECサイトで買わないままサイトから離脱したユーザーのリストを広告プラットフォーマーに渡す。対象のユーザーにだけリタゲ広告を実施できるようになる

このように、自社のユーザーデータであれば広告への活用が可能となります。規制の対象になりませんし、1st Party Dataであれば精度の高い広告手法が実行可能になります。反対に、1st Party Dataがないと、このような対策が取れなくなることを考えるとゾッとしますよね。ユーザーとの出会いを創出してくれる広告手法が規制されていく中、1st Party Dataの活用は期待の星なのです。自社の財産とも言える1st Party Dataを、しっかりと活用できる形で準備さえできれば、今までにない、この大きな難関を乗り越えることができるかもしれません。

筆者個人としては、もう一つCDPが話題となっている背景があると考えています。それは時代の要請です。少し説明を加えると、市場の変化に企業が適応すべきと言うことです。これが根本的かつ本質的で重要だと考えていますので、ぜひお伝えできればと思います。

そもそも日本市場の宿命だから

このそもそもの理由は2つあります。

そもそも、売れる対象のユーザーが減る

ほとんどの商品は、売れる対象のユーザーが減るからです。少子高齢化はすでに決定した未来です。高齢者に向けた商材であれば幾分話は別かもしれませんが、消費意欲の高いアクティブ層が日本からどんどん減ることは決まっています。かのPFドラッカーは言いました。

「未来についてわかっていることは、人口動態のように、“いますでに起こっている未来”だけである」

ここに関して、これ以上のことは言うまでもないですね。

そもそも、趣味趣向の多様性がどんどん進む

世の中が成熟し、趣味趣向の多様性がどんどん進むからです。大衆が一斉に同じ商品やライフスタイルを追いかける時代は数十年前に終わりました。

現在のブームは大きなパイ(市場)になりづらい

今やブームという現象は、それほど大きなパイを持たなくなりました。ブームを題材に例を挙げますと、スキーはバブル絶頂期がピークで1,800万人→今は400万人。キャンプも1994年がピークで1,500万人→今は650万人(オートキャンプ統計)です。コロナ禍でこれほど流行して定着した感のあるキャンプブームでさえも、以前のブームと比べると大きなパイを作ることはなくなりました。趣味や趣向性の多様化は人間の進化です。情報収集の方法でさえも人それぞれで多様化しています。これから細分化が加速することは想像に難くありませんが、趣向性が集約されていくことは非常に考えにくい未来です。

商品を購入する理由も多様化している

たとえば、一つの同じ商品を購入する「理由」ですらも多様化していると思います。「かっこいいから」「スペックがいいから」「友達が使っているから」「周りに持っている人がいないから」「レビューを信用して」「店員さんのおすすめだから」「安心だから」「テンションが上がるから」「バズっているから」誰に何が響くのかは、じっくりと顧客に向き合い、顧客の行動などを観察できる環境がなければ、行き違いを作ってしまいそうで怖くなりますね。「これ尖っててかっこいいでしょ」と紹介したら「わたしは安心だから買ってるんです!」となってしまうかもしれません。ブランドの世界観」や顧客理解といった言葉がよく出てくるのは、このような多様性が前提にあるからこそ、共感を育てていく必要があるからなのでしょうね。

顧客を具体的に理解し、適切なタイミングで適切な情報や商品をお届けしていく必要がある

ここまでお伝えした通り、日本市場の宿命とは、商品やブランドの提供対象となる顧客のパイが圧倒的に減る上に、その顧客が多様化していくということです。とはいえ、このような状況に悲観だけしているわけではありません。人口動態という岩盤構造と、成熟した多様性が前提になったことで、よりひとり一人の顧客との末長いお付き合いこそが、商売の根本になっていきます。一人ひとりの顧客と末長く何度もど購入いただける関係ができていけば、刹那な一見客を高い広告費で追いかける必要はなくなります。(対象顧客が減ると刹那な一見客さえもすぐにいなくなるということですが)

対象の顧客が減る中で、一人ひとりの顧客に末長く支えてもらえるようになっていかなければなりません。そのためにも企業側は、多様な尖ったニーズに応える商品を展開する必要があるでしょうし、その商品を知ってもらったり、興味を抱いていただいたり、使い続けて好きになってリピートしてもらわなければなりませんよね。顧客のことをより具体的に理解し、適切なタイミングで適切な情報や商品をお届けするパートナーにならなければなりません。

今後求められていく、顧客にきめ細やかに寄り添うアクションを手助けしてくれるのがCDPです。いくら人口が減るといってもマーケターの人力では一人ひとりにお手紙を出したり電話したりできませんよね。そもそも働き手側も減るわけですから、システムを大いに利用してオートメーション化していかなければなりません。システムを利用して、大事な顧客のデータを上手に活用して、顧客から愛され続けるブランドを育てていくためにCDPが大事な役割を担えることがお伝えできたなら幸いです。

まとめ

ここまでお読みいただけたなら、もうCDPが「なぜ話題になっているか?」をご理解いただけたかなと思います。そうです、3rd Party Cookieという20年以上インターネットの世界で広告に利用されてきた大前提のテクノロジーが規制され、今までにない広告分野へのインパクトが到来するからですね。

1st Party Dataをしっかりと活用する

昔、Googleの検索結果の順位を決めるロジックが大幅に変わって世の中のデジタルマーケターが右往左往したことを思い出します。代表的な事例はパンダアップデートですね。ですが、今回はロジックの変更ではなく「規制」です。個人情報保護規制の流れは世界的潮流であり、厳しくなることがあっても緩和されることはないでしょう。イタチごっこができないような、前提条件がひっくり返るパラダイムシフトです。デジタルの集客(広告)の世界ではこれまでに経験したことのない変化になるでしょう。一企業には対抗措置を取りようのないことです。柔軟な変化への適応が求められます。1st Party Dataをしっかりと活用するという手段は極めて全うな選択と言えるでしょう。

1st Party Dataの量と質は、企業の信頼度を表す成績表でありバロメーター

最後になりますが、私の持論は1st Party Dataが広告を含むマーケティングの主要な競争要因の一つになるとしたら、とてもフェアで顧客にとっても安心安全な世界になると思っています。それを最後にお話しします。1st Party Dataの量と質は、企業の信頼度を表す成績表でありバロメーターだと言えます。なぜならば1st Party Cookieは顧客の「同意」が必要だからです。Webサイトに訪れて、ポップアップがニョキっと出てきて「同意しますか?」となったときに、怪しげなサイトや知らないブランドに拒否ボタンを押したりサイトを離脱した経験はないでしょうか?

そうなんです。1st Party Dataは信頼の証です。店頭で会員登録するのも、昔からあるポイントカードに加入するのも「また来るね」というお店=ブランドへの安心感や信頼があってこそです。お得だからと言って二度と来るかと思うお店の会員にはならないですよね。1st Party Dataの「量と質」が企業の競争優位性を左右する時代がもう目の前に来ました。真っ当なビジネスで、顧客に真摯に向き合っている企業やブランドが報われる時代とも言えると思います。この1st Party Dataを活用しない手はありません。ぜひCDPも一緒に検討してみてください。自社の未来を確固たるものにするために、CDPは投資に値する武器だと自信を持ってお勧めできます。

検討するときは、ぜひともUNCOVER TRUTHを思い出してくださいねw

以上、「CDPってなぜそんなに話題になっているの?」でした。ここまで長文にお付き合いいただき、どうもありがとうございました!

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1to1マーケティング、OMO施策など、顧客体験を向上させるためにCDPの導入を検討されているケースをよくお見受けします。当社でも日ごろからCDP関連のご相談やご質問を多くいただいておりますが、中でも費用に関するご質問を大変多くいただきます。本資料では、これまでの当社の経験を元にした、DXプロジェクトを推進する上で知っておきたい「CDPの導入にかかる費用」についてまとめています。


この記事を書いた人

小畑 陽一
株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)

music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)

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