BLOG

ブログ

GA4 × BigQueryがもたらすコンバージョン革命とは|GA4が生まれた本来の意味を考える

この記事では、当社COO小畑がOMO時代における顧客行動の変化やGA4誕生の背景や設計思想についての考察を織り交ぜながら、GA4とBigQueryによるコンバージョンの捉え方の変化について独自の視点で解説しています。

OMO時代に突入し、消費者の行動様式には大きな変化が起きました。※OMO(Online Merges with Offline)オンラインとオフラインの融合を意味しています。

Googleは世の中の行動様式の変化を捉え、かつデータを活用して世の中を先導するために、GA4とBigQueryをセットにして世に送り出したはずだと筆者は考えています。そこで、webコンバージョンの概念を再構築するGoogleの真意を、筆者独自の視点を織り交ぜながら、BigQueryがGA4に搭載された本当の理由を考えてみました。(コンバージョンの神「Google」は本当にすごかった)

OMO時代における顧客行動の変化に対応するために

時代は変わり、顧客の消費に向けた行動は確実に変化しています。

例えば、お店に行く前に、webで事前に気になる商品の情報収集をしてから行くのは、今や当たり前の行動様式となっています。そのままwebで購入することもあれば、実物が見たい、今すぐ必要だ、ポイントが付く等の様々な理由で顧客の購買はオフライン(=店舗)でも日々発生しています。文字通りOMO=オフラインとオンラインの融合は私たちの日常に深く浸透しています。

OMO(Online Merges with Offline)のイメージ
【OMO(Online Merges with Offline)のイメージ】

こうなってくると、店舗だけを考える、webだけを考えて最適化していくには限界が出てきてしまい「店舗」×「EC(web)」を前提としたOMO軸でのビジネス変革や顧客体験の最適化をしていくことが求められるのは必然です。その変革や最適化に向けて、もはやwebの行動データの活用は必須となりました。前述したような購買行動における事前の情報収集等のweb行動によって顧客のモチベーションを推測、状態把握に活用していくようになってきています。ユーザーの行動に対して、購買意思が上がった下がった等の態度変容を察知し、店舗やECの接客に活かす時代です。顧客が店舗でもECでも、好きなチャネル、好きなタイミングで気持ちよく買えるようにする必要がある時代なのです。

GA4はイベント(行動)単位で顧客の行動特徴を明らかにする

このような時代背景においてGA4のプロダクト思想は素晴らしいと考えています。

その最たるものとして、GA4のデータ取得の基準が「イベント(ユーザーの行動)単位」になったことが挙げられます。これまでのUA(ユニバーサルアナリティクス。以下:旧GA)ではwebのページ単位を中心としたデータ取得となっていましたので、データ構造がまるで違う考え方になります。

それぞれの顧客単位で、様々なチャネルを行き来するイベントデータを取得できるようになったことで、購入者の行動特徴をさらに明らかにすることが出来るようになりました。

webの行動データをBigQueryに吐き出すことが前提となっている

これもGoogleの素晴らしい思想の一つであると感じています。

なぜならば、BigQueryというDB(データベース)はあらゆるデータの統合環境で使われているため、webのデータと店舗での購買情報等も統合できます。

OnlineとOfflineが融合したデータ環境
【OnlineとOfflineが融合したデータ環境】

つまり、webでの行動がリアルな店舗での購入に結びついたのか?さえ明らかにすることができるようになるということです。これにより、顧客の解像度を高次元に捉えることができるようになったのです。GA4は、時代の変化でOMO型の消費行動様式になった顧客をしっかりと理解するための機能が実装された「顧客理解のための必須プラットフォーム」であると言えます。

OMO時代の消費行動に対する最適化こそが、現在におけるコンバージョンの最適化

CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)とは、文字通りコンバージョンをOptimization=最適化することです。ですが、広告等の流入からランディングページでフォームに入力してのコンバージョンの時代と、現在のコンバージョンでは、意味は大きく変わってきたように感じます。

店舗でもECでも、顧客が好きなタイミングに好きな場所で商品を購入したり、サービスを利用するようになったことにより、オンラインとオフラインを跨いだ顧客行動に対して、コンバージョンを最適化していくことが求められていると考えています。

そして、この顧客の消費行動への最適化にはGA4とBigQueryのセット利用は欠かせないものとなっていくのだと考えています。

我々UNCOVER TRUTHも「購買/利用」というコンバージョンを最適化し、かつ最大化させるために、webのみの世界から、顧客起点に改めて立ち返ってオンラインとオフラインのデータをフル活用する道を選んでいます。我々が普段クライアントと携わっていく中でも感じますが、GA4の最も優れた発明は、顧客に関わるすべてのデータを統合するBigQueryまでセットで活用できるところにあると考えています。

筆者が感じている懸念。GA4で旧GAを再現しようとしていませんか?

旧GAからGA4への入れ替えが世界中で起きている中で、日本は大きな間違いをしていると感じています。

それは、旧GAで取得しているKPI、管理分析手法、活用する人材に対する評価までを、全て旧GAを基準としてGA4を導入しているところです。これは、せっかくGoogleが新たに世に生み出したツールであるGA4に秘める可能性を捨ててしまっていると、ほぼ同義ではないでしょうか?

もしも、旧GAからGA4に切り替える際、旧GAで取得していたKPIをGA4に一生懸命に踏襲しているようであれば、改めて見直して欲しいと思っています。テクノロジーは進化したのに、利用する人間側が過去にタイムスリップしているように感じています。

振り返ってみると、旧GAは20年以上前の設計思想で動いている遺産

少し、Google Analyticsの歴史を振り返ってみます。

Google AnalyticsはUrchin Traffic Monitorを2005年にGoogleが買収したログ解析ツールがルーツです。Urchinは筆者の知る限り2003年ごろから日本でも一部の先進企業で利用が始まっていました(analog派とUrchin派があったりもしましたね。懐かしい)。

筆者は2004年ごろにクルマメーカーのWebサイトを担当したときに初めてUrchinに出会いました。当時のUrchinは使いやすいUIで正確な訪問者数を把握したり、Cookieベースになったことで再来訪などユニークユーザーを判定できるようになり、継続訪問などのKPIが取得できるようになっていった当時としては革新的なツールでした。

そして旧GAは機能性は、その後大幅に拡張しましたが、設計思想そのものはUrchinと何も変わっていない印象です。Adobe Analyticsも前身のOmnitureと設計思想が変わっていないと同様に感じています。

Google Analyticsの歴史から読み解く設計思想の転換
【Google Analyticsの歴史から読み解く設計思想の転換】

これらのツールは「Webに閉じた世界」であれば、しっかりとユーザーを把握することに完璧なまでの機能を有しています。そして、そもそもの目的はオンラインのみが対象であるので、それで良いのです。

2000年前後であれば、Webの世界とリアルの世界を分断してマネジメントしてもなんら問題はなかったように感じます。それよりもWebの世界がブラックボックスであった当時には、こういった解析ツールが救世主であったことに間違いないと思います。

とはいえ、そこからおよそ20年も経過し、全世界で生活者の行動様式は完全に変わりました(だいぶ前から変わってきてはいましたが)。オンラインとオフラインの境目を考える意味がなくなり、オンラインとオフラインは同一の世界としてmerge(融合)した世界観を前提にする時代になっています。

ユーザーとチャネルの関係性の変化
【ユーザーとチャネルの関係性の変化】

お店の中でもスマホを持ち歩き商品の比較や情報収集をしますし、価格の比較もする。店舗のクーポンを探してからレジに並んだり、そもそも店舗に行く前にどこがお得か、自分の欲しいものがあるのか?をスマホで調べてから店舗に行きます。店舗に行くか行かないか、どこの店舗に行くかどうかの意思決定をスマホを見ながら決めるのは特別な話ではなく、およそ日常の話となっています。

GA4はOMO時代に向けた新たなツール。だからこそGA4らしさを活用する

「GA4×BigQuery」は、この当たり前の日常=OMOをしっかりと捉えるためにGoogleがレガシーを捨ててまでリリースしたツールであると筆者は捉えています。だからこそGA4は、その「らしさ」を優先して活用していく必要があるのだと考えています。

さらにGA4の導入は、仮にECの担当者の評価がCVRやCPAだとして、本当にそこだけ良いのか?と再検討する機会にもなりえます。

顧客はECで商品を物色してから店舗に行っていることも多く、ECの情報が店舗での購入を促進したかもしれません。このような間接効果を評価に入れることも考えていくことが重要になっていきます。

例えば、店舗で2回目のリピート購入が発生したら、初回購入と2回目のリピート購入の間でwebが関与していないか調べてみてほしいのです。そのときに自社ECやオウンドメディアやメルマガが2回目購入を後押ししたのか知るべきです。そして、それがあるのならば、その担当者を評価すべきだと考えています。

F2転換と施策の貢献
【F2転換と施策の貢献】

そもそも、世界中の顧客が行動変容しているのであれば、web担当と店舗担当で別々の評価をしていることは果たして有益なことなのでしょうか?評価方法の正解までは分かりませんが、webと店舗の評価もOMOに併せて捉えていくことが重要になってくるのは間違いないと感じています。

今回はGA4のお話しでしたが、このような考え方は、すべての最新テクノロジーの導入について言えることだと考えています。そもそもの誕生した背景、設計思想を理解して活用を目指すことで、組織の中での利用方針、さらには利用する人材側の評価も、より時代にフィットする形で大きく変わっていくのではないでしょうか?

GA4への移行を、保守期限(2023年7月)が切れるからバージョンアップするだけのように思っているようでは本当に勿体無いと感じています。現代の日常に合わせて最適化されたGA4。その「らしさ」をしっかりと活用できる日本になることを願っています。


「GA4導入支援サービス」では、Googleから新たにリリースされたGoogle Analytics4の導入設定をご支援します。ただ設置するだけではなく、これまで数多くの分析を行ってきたアナリストの観点からデータ取得ロジックの設定までをサポートいたします。
GA4導入支援サービスはこちらから


この記事を書いた人

小畑 陽一
株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)

music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)


データ分析や基盤構築、プロダクトの活用などについて、貴社の状況と目的に合わせて幅広くご提案します。
カスタマーデータのマーケティング活用にお困りの際はぜひお声がけください。

サービスのご相談、資料請求、
お問い合わせをお待ちしております。

We are looking forward for your inquiry.

お問い合わせCONTACT US