属人化の壁:「あの人」しかわからない

属人化の壁:「あの人」しかわからない

更新日:2026/10/14

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はじめに

データ活用を進める組織が、ある段階で必ずといっていいほどぶつかる壁の一つが「属人化」です。「このデータのことは、あの人しかわからない」——そんな状態に、心当たりはないでしょうか。前回の「データ活用 成熟度マップ」では、段階が上がるたびに越えるべき壁が変わっていくことをお伝えしました。本記事では、その最初に立ちはだかる「属人化の壁」を取り上げ、なぜ”あの人”しかわからない状態が生まれるのか、そしてどう抜け出すのかを、意思決定者の視点で整理します。

自組織が今どの段階にあるのかを俯瞰したい方は、まずこちらの記事をご覧ください。

「あの人」しかわからない—属人化という沼の“あるある”

データ活用の理想は、「データが共通言語になる世界」です。全社共通のモノサシ(KPI・指標)で会話でき、属人化がなく、誰もが必要なデータにアクセスして活用でき、データに基づいた意思決定が当たり前になっている——。しかし現実には、多くの組織がその入り口で、「気づけば“あの人頼み”の属人化・ブラックボックス化」という壁に直面します。

この壁は、ある日突然あらわれるわけではありません。多くの場合、次のような“見えない綻び”として、静かに始まります。

1.ダッシュボードの更新が、いつの間にか止まる
日々見ていたはずの数字の更新が、気づけば止まっている。

2.「この数字、おかしくない?」の声に、原因調査へ奔走する
異常に気づいても、どこで何が起きているのか、確かめられる人が限られている。

3.誰も触れない”ブラックボックス”の処理が増えていく
なぜその集計になっているのか、作った本人以外には追えない処理が積み上がる。

4.ドキュメントを作る時間が、いつまでも取れない
残しておけばよいとわかっていても、目の前の依頼に追われて後回しになる。

サービスの言葉を借りれば、属人化・ブラックボックス化とは「データ業務が特定の担当者に依存し(“あの人頼み”)、データの処理ロジックや定義が文書化されず、全体像が見えない」状態のことです。小さな綻びが重なるうちに、いつの間にか”あの人”がいないとデータが動かない組織になっている——これが属人化の沼の正体です。

属人化は、中小企業や、担当者が一人に偏った組織でとりわけ起こりやすい症状です。その典型は、こちらの記事でも取り上げています。

なぜ「あの人」しかわからなくなるのか

属人化は、担当者の能力やまじめさの問題ではありません。むしろ、まじめに現場を回してきた人ほど知識が集中していきます。原因の多くは、個人ではなく組織構造の側にあります。

1.「取り持つ人」が組織にいない
ビジネス課題とデータ基盤の間をつなぎ、データの定義やプロセスを文書化して維持管理する——そうした“中間ポジション”が組織に定義されていない。「誰かが良しなにやってきた」「なんとなくの兼務」で回してきた結果、知識が特定の個人に溜まっていきます。

2.問題が平時には見えにくい
「取り持つ人」の不在は、日々の業務が回っているうちは見えにくいものです。ところが人員交代やトラブルが起きた“そのとき”に、蓄積していた問題が一気に噴出します。

3.環境要因が”放置”を後押しする
縦割り組織、レガシーシステム、複雑な意思決定プロセス、限られたリソース、ノウハウ不足、短期志向——。こうした環境要因が、理想の実現を阻む沼を生み出します。「ドキュメントを作る時間がない」のも、その表れの一つです。

だからこそ属人化は、放っておくと静かに進行し、担当者の退職や異動という“そのとき”になって、はじめて組織全体のリスクとして表面化します。

この「取り持つ人の不在」という構造については、こちらの記事でより詳しく掘り下げています。

沼から抜け出す方向性—「人」に貯めず「仕組み」に残す

属人化から抜け出す鍵は、知識を“個人”ではなく“組織の仕組み”に移すことです。自走できる組織になるための鍵は、大きく2つあります。

鍵①:「取り持つ人」の役割を明確にする

ビジネス課題を理解して必要なデータを定義・整備し、技術(データ基盤)とビジネス(現場の活用)の橋渡しをし、データ定義やプロセスを文書化して維持・管理する。そして、データ活用を推進し、組織全体のデータリテラシー向上を支援する——。この役割を組織内にはっきりと定義し、責任者を置くことが第一歩です。自社だけで確保することが難しければ、外部人材の活用も選択肢になります。

鍵②:「データ活用プロセス」を設計する(=お膳立て)

データの流れ(どこから来て、どう加工され、どこへ行くか)を可視化・整理し、データ項目や指標の「定義」を明確にして共通言語化する。データ品質を担保するためのルールとチェック体制を設け、定義書・フロー図・マニュアルといった各種ドキュメントの作成と更新ルールを整える——。これが、いわゆる「お膳立て」です。個人の努力に頼るのではなく、仕組みで属人化を防ぎ、効率化を実現するという考え方です。

知識を「組織の資産」として残す

もう一つ欠かせないのが、作成したデータやプロセスを“組織の資産”として残し、維持管理する発想です。定義書やデータフロー図、データカタログを整備し、さらに更新・維持管理のプロセスまで回してはじめて、「あの人」がいなくても組織が回る状態に近づきます。ドキュメントは「作って終わり」ではなく、「組織の知識として育て続けるもの」と捉えることが、属人化を遠ざける近道です。

私たちUNCOVER TRUTHのDX-Acceleratorが、常駐型で内製化(自走化)を志向し、プロセス構築・ドキュメント作成・ナレッジ共有を重視しているのも、そして担当者ローテーションによって属人化を防ぎ、組織としての対応力を強化しているのも、まさにこの「人に貯めず、仕組みに残す」という考え方に基づいています。

まとめ:属人化の“そのとき”が来る前に

属人化は、誰か一人の問題ではなく、組織構造の問題です。そして平時には見えにくく、静かに進行するからこそ、「あの人」がいるうちに、知識を仕組みへ移し替えておくことが重要になります。まずは、自組織の属人化が今どの段階にあるのか—その現在地を把握するところから、第一歩を踏み出してみてください。

お役立ち資料をご活用ください!

データ活用の部長さん必見!データ活用 内製化の正しい進め方
自組織の現在地を確かめたうえで、次の段階へ着実に進むための内製化の進め方をまとめた資料です。

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