データレイクとは?DWHとの違い・使い分け・主要製品を解説

データレイクとは?DWHとの違い・使い分け・主要製品を解説

更新日:2025/06/12

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • COPY LINK
クリップボードにコピーしました

この記事が解決できること

  1. データレイクの意味と必要性がわかる
  2. データレイクとデータウェアハウスの違い・目的別での使い分けがわかる
  3. AWS・Microsoft・GCPをはじめとした主要なデータレイク製品がわかる

はじめに

ビッグデータやAIの活用に伴い、企業が抱える多種多様なデータをどのように管理し、有効活用するかが大きな課題となっています。こうした背景から、近年注目を集めているデータレイクという仕組みですが、「データレイクとは具体的に何なのか?」「データウェアハウスとはどう違うのか?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そもそもデータレイクとは何かという基本からデータウェアハウスとの違い・構築時の主要製品を説明し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえでのメリットを分かりやすく解説します。

データレイクとは?

データレイクとは、さまざまな種類のデータを一元的に蓄積・管理できる大容量のデータ保存基盤(データリポジトリ)のことです。構造化されたデータだけでなく、非構造化のデータもそのままの形で保存できるという特徴があります。

これにより、後から必要に応じてデータを抽出・分析できる柔軟性が生まれます。保存前の形式変更が不要なため、素早く大量の情報を取り込めるという魅力から、ビジネスにおける意思決定の迅速化や、新たな価値の創出を支える基盤として、近年高い注目を集めています。

なぜデータレイクが必要なのか

現代のビジネスでは、日々膨大なデータが生成されており、データベースでは扱いにくい形式も含まれるようになりました。これらの多様なデータを活用するためには、あらゆる形式のデータをそのまま蓄積できるデータレイクが非常に有効です。

また、従来のようにデータを整理・整形してから保存する手間が省けることから、迅速なデータ活用を可能にします。変化の激しい市場環境に対応し、スピーディな意思決定を行うためにも、データレイクは欠かせない存在となっているのです。

データレイクとデータウェアハウスの違い

データを活用する基盤として、データレイクとデータウェアハウス(DWH)はよく比較されますが、それぞれに異なる特徴と強みがあります。どちらが優れているというよりも、目的や扱うデータの種類によって使い分けることが重要です。

本章では、両者の基本的な特徴や役割を整理したうえで、どのようなケースでどちらを選ぶべきかをわかりやすく解説していきます。

それぞれの特徴と役割

データレイクとデータウェアハウスは、どちらもデータを蓄積・管理するための仕組みですが、扱うデータの種類や利用目的が異なります。データウェアハウスは、主に構造化データを対象にしており、販売データや顧客情報など、明確な形式で整理された情報を効率的に分析することに優れています。

一方、データレイクは構造化データだけでなく、非構造化データもそのまま保存できる柔軟性があり、後から自由に分析や加工ができるため、AIや機械学習と組み合わせた高度なデータ活用が可能です。つまり、即時分析と安定性を重視するならデータウェアハウス、自由なデータ探索と多様なデータ形式への対応を求めるならデータレイクが適しているといえるでしょう。

構造化データと非構造化データの違いとは

適切なデータ基盤を選ぶためには、構造化データと非構造化データの違いを理解することが欠かせません。ここでは、両者の違いについて以下の表にまとめました。

項目構造化データ非構造化データ
定義形式が決まっており、整理されたデータ形式が決まっておらず、自由な形のデータ
保存方法表形式(例:リレーショナルデータベース)ファイルやオブジェクト形式(例:画像、音声、ログ)
顧客名簿、売上表、在庫管理表動画、画像、音声、SNS投稿、メール本文、センサーデータなど
主な用途定型的な集計・レポート作成などAI・機械学習による解析、新たな知見の発見など
保存先として適した基盤データウェアハウス(DWH)データレイク
メリット高速な検索と分析が可能/データの整合性を保ちやすい多様なデータを一括で保存でき、将来の活用にも柔軟に対応
デメリット柔軟性が低く、事前のデータ整形が必要検索・分析の難易度が高く、専用ツールやスキルが必要

目的別での使い分け方

データレイクとデータウェアハウスは、それぞれの特性を理解したうえで、目的に応じて使い分けることが重要です。例えば、売上や顧客情報などの定型データをもとに、日々の業務レポートやKPI分析を行いたい場合には、構造化データに強いデータウェアハウスが適しています。

一方で、SNSの投稿やWebのログ・センサーデータといった非構造化データを含む多様な情報を将来的に分析・活用したい場合は、柔軟にデータを取り込めるデータレイクが有効です。両者は対立する存在ではなく、目的に応じて併用することで、より高度なデータ活用が可能になるのです。

データレイクやデータウェアハウスといった、データを蓄積する仕組みが欠かせないデータ基盤について確認したい方は、こちらの記事をご覧ください。

主要なデータレイク製品

データレイクを効果的に構築・運用するためには、信頼性が高く、拡張性に優れたプラットフォームの選定が重要です。現在、多くの企業がクラウド環境を活用してデータレイクを導入しており、特に大手クラウドベンダーが提供するサービスが主流となっています。

ここからは、代表的な3つのクラウド型データレイク製品をはじめとする主要サービスについて紹介していきます。

  • Amazon S3(AWS)
  • Azure Data Lake(Microsoft)
  • Google Cloud Storage(GCP)
  • その他の代表的な製品

Amazon S3(AWS)

Amazon S3(Simple Storage Service)は、AWS(Amazon Web Services)が提供するクラウドストレージサービスで、データレイクの構築において広く利用されている製品のひとつです。注目したい特徴として、あらゆる種類のデータを無制限に近い容量で保存できる拡張性と、きめ細かなアクセス制御による高いセキュリティ性があげられます。

また、S3は他のAWSサービスとの連携性にも優れており、AthenaやGlue・Redshift Spectrumなどの分析ツールと組み合わせることで、保存したデータに対してそのままクエリ実行や、加工・変換することができます。料金は従量課金制で、使用した分だけ支払うため、初期投資を抑えながらスモールスタートできる点も魅力です。

Azure Data Lake(Microsoft)

Azure Data Lakeは、Microsoftが提供する大規模データの保存と分析に特化したクラウドサービスで、特に企業向けのデータレイク基盤として導入が進んでいます。Power BIやAzure Synapse Analytics・Machine Learningといった、Microsoftの他サービスと連携可能な点が大きな強みです。

セキュリティ面でも、データのアクセス管理や暗号化・ログ管理機能が充実しており、安心して運用できます。既にMicrosoft製品を利用している企業にとっては、導入のハードルが低く、全体的なシステムとの統合もスムーズに進められる点がメリットといえるでしょう。

Google Cloud Storage(GCP)

Google Cloud Storageは、GCP(Google Cloud Platform)が提供するオブジェクトストレージサービスで、柔軟で拡張性の高いデータレイク基盤として多くの企業に利用されています。Googleの高性能なインフラを活かした拡張性と可用性が特徴で、世界中のどこからでも高速にアクセス可能です。

用途に応じたストレージクラス(標準・アーカイブなど)を選択でき、コストを最適化しながら運用できるのも魅力のひとつです。BigQuery・Dataflow・Vertex AIといったGCP内の分析・機械学習ツールとの連携もスムーズなことから、AIやビッグデータ活用を視野に入れた企業にとって、有効な選択肢になるはずです。

その他の代表的な製品

データレイク構築に利用できる製品は、ここまで紹介した3つの大手クラウドベンダー製品以外にも複数存在します。以下の表では、AWS・Microsoft・Google以外の代表的な製品についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

製品名提供元特徴
IBM Cloud Object StorageIBM高いセキュリティと拡張性。エンタープライズ向け。金融業界での実績も多数。
Oracle Cloud InfrastructureOracle高性能ストレージとデータベース機能を融合。Oracle製品との親和性が高い。
Apache Hadoopオープンソースビッグデータ処理の定番。柔軟なカスタマイズが可能だが、導入・運用には専門知識が必要。
Cloudera Data PlatformClouderaハイブリッド構成対応。オンプレミスとクラウドの連携に優れたエンタープライズ向け製品。

データレイクがDX推進にもたらすメリット

DXを推進するうえで、データの活用は欠かせません。データレイクは、多様な形式のデータをそのまま保存できる柔軟な仕組みを持っているため、見逃されがちだった非構造化データも含めて、あらゆる情報を統合的に活用することが可能です。

これにより、顧客行動の詳細な分析・新たなビジネスインサイトの発見・AIによる高度な予測分析といった、DXに直結する取り組みの実現に役立てられます。くわえて、部門間のデータ連携を促進し、組織全体の業務改革にもつながる点も、データレイクの大きなメリットです。

まとめ

データレイクは、構造化データと非構造化データの両方を柔軟に取り扱える点が強みであり、企業のデータ戦略において重要な役割を果たします。データウェアハウスとの違いを理解し、目的や扱うデータの種類に応じて適切に使い分けることで、より効果的なデータ活用が可能になります。

DXを加速させたい企業にとって、データ基盤の選定と運用体制の整備は今後ますます重要性を増すテーマとなるでしょう。自社にとって最適なデータ活用の第一歩として、データレイクの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

データ活用でお困りの方へ

私たちDX-Accelerator事業では、データ活用についての様々なスキルを持った人材が常駐でデータ活用支援を行うサービスを提供しています。
当事業はローンチから約3年(24年9月時点)ですが、これまでに様々な業界・業種のお客さまのお手伝いをさせていただいております。

少しでも興味を持ってくださったり、すでにご相談をしたいことがある方はお気軽にご相談ください。現在あなたの組織のフェーズがどこにあるかは関係ありません。まずはお話をしましょう。

もう少しサービスについて知りたい方はサービス紹介資料もご用意しています。

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • COPY LINK
クリップボードにコピーしました

関連記事

DX-Acceleratorについて
より詳しく知りたい方!

DX-Accelerator データ人材常駐支援サービス

即戦力の
アナリティクスエンジニアが
常駐支援!
まずはお気軽にご相談ください。

DX-Acceleratorについて
より詳しく知りたい方!