目次
この記事が解決できること
- ETLツールの基本であるExtract・Transform・Loadの処理内容がわかる
- ETLツールの具体的なメリットと活用シーンを知ることができる
- ETLツール選定時に知っておきたいポイントとおすすめツールがわかる
はじめに
ビジネスの現場で扱うデータ量が年々増加する中、ETLツールという言葉を耳にする機会も増えてきました。さまざまなシステムやデータソースを効率的につなぎ、情報を整理・統合するためのデータ連携ツールですが、ETLという言葉自体にあまり馴染みがない方も多いかもしれません。
この記事では、ETLの基本的な意味から、導入によるメリットや活用シーン・ツール選定時に知っておきたいポイントまでわかりやすく解説していきます。
ETLツールとは?
ETLツールとは、さまざまなシステムに散在するデータを集め、使いやすい形に変換し、指定の場所に移すためのデータ連携ツールです。複数のシステムやデータベースに散在しているデータを一元的に扱い、分析や活用がしやすい形に整える役割を果たします。
特に、マーケティングや業務改善・DX推進の分野では、膨大なデータの中から必要な情報を抽出し、目的に応じて再構成するプロセスが重要になっており、ETLツールの活用が欠かせません。近年ではクラウド型やノーコードで使えるものも登場し、専門知識がなくても扱える点も普及の理由のひとつです。
そもそもETLとは何か
ETLとは、異なるシステムやフォーマットで存在しているデータを活用可能な形に整えるための一連の処理を指します。「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(書き込み)」という3つのステップで構成されており、ETLツールはこの流れを自動化・効率化するために用いられます。
ここからは、ETLの基本を構成する3つのステップについて具体的に見ていきましょう。
ETLの基本を構成する3つのステップ
- Extract(抽出)
- Transform(変換)
- Load(書き込み)
1.Extract(抽出)
Extractは、ETLプロセスの第一段階であり、さまざまな情報源から必要なデータを取り出す工程です。データは企業内の基幹システム・クラウドサービス・外部のWebサービスなど、異なる場所や形式で保存されていることが多く、そのままでは活用しづらい状態です。
このステップでは、データベースからの直接取得や、APIを介した取得、CSVファイルの読み込みなど、多様な方法で複雑な環境から一元的に情報を収集します。ETLツールを使えば、こうした抽出作業を自動化できるため、データの取得漏れや人為的ミスを防ぎながら業務効率の向上を実現できます。
2.Transform(変換)
Transformは、抽出されたデータを目的に応じて整理・加工する工程です。生データのままでは分析や他システムへの連携に使いづらいので、不要な情報の削除・データ形式の統一・項目のグルーピングといった処理を行います。
変換処理の質は、分析の精度に直結するため、ETLプロセスの中でも特に重要なステップです。設定したルールに基づいて、正確に処理できるETLツールを用いることで、質の高い変換処理を可能にする環境を整備できるはずです。
3.Load(書き込み)
Loadは、ETLプロセスの最終ステップであり、整形されたデータを目的のシステムやデータベースに格納する工程です。変換済みのデータをBIツール・データ基盤・クラウドストレージなど、活用するための環境に転送する処理で、複数のシステムへ並行して送ることも可能です。
ETLツールは、転送時にデータ整合性を保つためのチェック機能や、障害時のリカバリ機能なども備えており、安全かつ効率的なデータの運用を支えます。このステップが完了することで、はじめてデータ活用の準備が整い、企業の意思決定や業務改善に役立てられるようになります。
ETLツールのメリットと活用シーン
データ活用のニーズが高まる中で、ETLツールは単なる技術的な手段ではなく、業務効率化や戦略的な意思決定を支える重要な仕組みとなっています。なかでも、複数のシステムからデータを集約・整理して活用可能な形に変換するプロセスを効率化できる点は、企業にとって魅力的といえるでしょう。
ここでは、具体的にどのような場面でETLツールが効果を発揮するのか見ていきます。
他システムとの連携・自動化による業務改善
ETLツールの大きなメリットのひとつが、異なるシステム間のスムーズなデータ連携の実現と、その処理を自動化できる点です。例えば、営業支援ツール(SFA)や顧客管理システム(CRM)・会計ソフトなど、部門ごとに異なるシステムを使用している企業では、それぞれのデータを一元化する作業に多くの手間と時間が掛かってしまいます。
このような場面でETLツールを活用すれば、各システムから定期的にデータを抽出し、必要な形式に変換して共通のデータベースに統合することが可能になります。その結果、情報の整合性向上や作業時間削減・リアルタイムでの分析といった、業務改善につなげられるのです。
DX推進におけるETLツールの役割
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、業務のデジタル化を通じて企業の競争力を高める取り組みですが、実現には大量かつ多様なデータを活用するための環境が必要です。ETLツールはその環境構築において、各部門が持つ異なるシステムやフォーマットのデータを統合・変換し、分析可能な状態へと整える役割を果たします。
これにより、分析にかける時間の大幅な短縮が可能になるため、迅速にデータに基づいた意思決定や戦略立案ができるようになります。さらに、部門間での情報連携の円滑化やデータ処理の自動化による人的リソースの他業務への振り分けなど、DX推進を加速させる土台として、ETLツールは欠かせない存在といえるでしょう。
失敗しないETLツールの選び方
ETLツールを導入する際、機能の充実度や操作性・価格帯にくわえて、自社のシステム環境やデータ活用の目的に合っているかどうかの見極めが重要です。適切なツールを選ばなければ、かえって業務効率が下がったり、運用コストが膨らんだりする可能性もあるからです。
本章では、ETLツール選定時に知っておきたいポイントを3つにまとめて紹介します。
- クラウド型・オンプレミス型の違い
- 初めて導入する場合の注意点
- 初心者でも扱いやすいツールの特徴とは
クラウド型・オンプレミス型の違い
ETLツールには大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。クラウド型はインターネット経由で利用でき、初期導入のコストが抑えられる上、スピーディーに運用を開始できるのが特徴です。
さらに、メンテナンスやアップデートが自動で行われるので、社内のITリソースが限られている企業にも適しています。一方、オンプレミス型は自社のサーバーに構築するタイプで、セキュリティやカスタマイズ性に優れていますが、初期費用や管理負担が大きくなる点に注意が必要です。
初めて導入する場合の注意点
初めてETLツールを導入する場合、機能や価格だけで選ばず、運用まで見据えた検討を行いましょう。なかでも、自社の既存システムとの連携がスムーズに行えるか、将来的な拡張に対応できるかといった観点は見落とされがちです。
あわせて、導入後の保守やアップデート対応、社内教育の体制が整っているかどうかも確認しておきたいポイントです。ツールの導入そのものが目的化してしまい、実際の業務改善や分析活用に結びつかないケースもあるため、導入の目的を明確にしておくことをおすすめします。
初心者でも扱いやすいツールの特徴とは
初心者でも扱いやすいETLツールの特徴としてまず挙げられるのが、視覚的に操作できるGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)の存在です。マウス操作でフローを組み立てられる設計は、プログラミング経験がない人でも直感的に使えます。
また、テンプレートやドラッグ&ドロップによる処理設計機能、日本語対応のマニュアル・サポートがあれば大きな安心材料になります。ツール選びにおいては、運用担当者のスキルや部署の体制を踏まえ、無理なく使いこなせる製品を選ぶようにしましょう。
おすすめのETLツール一覧
ETLツールには国産・海外製・クラウドネイティブなどさまざまなタイプがあり、用途や規模に応じた製品を選ぶことが大切です。以下の表では、初心者にも扱いやすい国産の製品をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ツール名 | 特徴・メリット |
---|---|
ASTERIA Warp | ノーコード操作と日本語UIに対応。豊富な導入実績を持ち、非エンジニアでも扱いやすい直感的な操作性が魅力。 |
Waha! Transformer | 大量データ処理と豊富なテンプレートに強み。官公庁や大企業での導入実績が多く、信頼性と安定性に優れる。 |
DataSpider Servista | 80以上のデータソース連携に対応。GUIによるノーコード設計と高速な並列処理により、複雑なデータ連携も容易に実現。 |
Reckoner | クラウドベースでSaaS連携に特化。プログラミング不要で設定可能なUIと自動化機能が中小企業やDX部門に最適。 |
TROCCO® | データ転送の自動化に優れ、BigQueryやRedshiftとの親和性が高い。マーケティングや分析部門向けに最適化された設計。 |
まとめ
ETLツールは、さまざまな場所に散在しているデータを効率的に抽出・変換・統合し、業務の効率化やデータ活用を実現するために欠かせない存在です。特に、DX推進やマーケティングの分野においては、リアルタイムにデータを連携・活用できる仕組みが求められており、ETLツールはその土台を支えています。
本記事で紹介した国産のETLツールは、いずれも使いやすさと信頼性に優れており、初めて導入を検討する企業にもおすすめです。操作のしやすさ、サポート体制、拡張性など、複数の視点から比較・検討し、自社に適したツールを選んでみましょう。
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