クラウド環境の比較でわかる!AWS・Azure・GCPの料金体系と将来性

クラウド環境の比較でわかる!AWS・Azure・GCPの料金体系と将来性

更新日:2025/07/29

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この記事が解決できること

  1. AWS・Azure・GCPの特徴と強みがわかる
  2. AWS・Azure・GCPの料金体系と今後の成長戦略がわかる
  3. クラウド環境の選び方と導入のポイントがわかる

はじめに

クラウドサービスの導入が広がる中、多くの企業がAWS(Amazon Web Services)・Microsoft Azure・GCP(Google Cloud Platform)のいわゆる「3大クラウドサービス」の中から、自社に適したクラウド環境を見極めようとしています。しかし、各クラウドサービスは機能や料金体系など、異なる特徴を持っているため、どれを選べばよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、クラウド環境とは何かという基礎から、3大クラウドサービスの特徴や強み・料金体系、さらに、将来性から目的に合った選び方までわかりやすく解説します。

クラウド環境とは?

クラウド環境とは、インターネットを通じてサーバーやストレージ・ソフトウェアなどのITリソースを必要な時に利用できる仕組みを指します。従来のように自社でサーバーやソフトウェアを保有・管理するのではなく、クラウド事業者が提供するサービスを使うことで、初期投資や保守の負担を大幅に軽減することが可能です。

特に近年は、業務のデジタル化やリモートワークの普及により、安定したクラウド環境の重要性が一層高まっています。このような背景から、高い信頼性と拡張性を備えているAWS・Azure・GCPといった大手クラウドサービスは、業種や規模を問わず多くの企業に利用されています。

企業がクラウドを導入するメリット

企業がクラウドを導入するメリットは、ITリソースを柔軟かつ迅速に活用できる点にあります。必要な時に必要な分だけサーバーやストレージを利用できるので、初期投資を抑えながら業務の拡大や変化に対応可能です。

また、災害時のデータ保護やセキュリティ面でも高い水準が保たれており、信頼性の高い業務運用やBCP(事業継続計画)にも効果的です。業務の成長や変化に応じて柔軟にスケールアップ・スケールダウンができる点も、大きな魅力といえるでしょう。

AWS・Azure・GCPの特徴と強みを比較

AWS・Azure・GCPは、それぞれ異なる強みと特徴を持つ3大クラウドサービスです。以下の表では、各サービスの特徴と強みを整理していますので、ぜひ参考にしてください。

サービス名特徴強み
AWS200 以上の多彩なクラウドサービスを提供し、グローバルに展開されている最も成熟したクラウド基盤– 圧倒的な機能の深さと幅広さ
– 市場占有率トップ、信頼性や実績が抜群
– 高度なセキュリティ & コンプライアンス対応
– AI/ML領域のパートナー強化(Anthropicとの提携)で加速中
AzureMicrosoft製品との統合が強く、ハイブリッドクラウドに対応している– Windows/Office 環境との親和性が高く導入が円滑
– 拡張性・セキュリティ・コンプライアンスに優れている
– グローバル拠点が多数で高可用性・災害対策に強い
GCPビッグデータとAI領域に強く、分析ツールが充実– 高性能なデータ処理・分析基盤(BigQuery・Vertex AI)
– Kubernetes管理(GKE)が優秀で開発者に人気
– セキュリティと高速ネットワークに強み

3大クラウドサービスの市場シェア

2025年第1四半期時点でのクラウドインフラ市場において、AWS・Azure・GCPの3社が全体の約63%を占めています。調査会社「Synergy Research Group」の発表によると、各社のシェアは、AWSが29%・Azureが22%・GCPが12%という構図が続いており、AWSは依然トップを維持していますがシェアはわずかに低下傾向です。

この背景には、AzureとGCPがそれぞれの特徴や得意とする領域を強化することで、少しずつシェアを伸ばしている市場動向があります。クラウド利用の拡大と共に、競争は一段と激化しており、各社は差別化を図る戦略を進めています。

In terms of competitive positioning, Amazon maintains a strong lead in the market though Microsoft and Google once again had higher percentage growth numbers. Their Q1 worldwide market shares were 29%, 22% and 12% respectively.

出典:Synergy Research Group「AI Helps Cloud Market Growth Rate Jump to Almost 25% in Q1

料金比較でわかるコストパフォーマンスの違い

初期費用を抑えられるクラウドサービスですが、長期的な利用を前提とした場合、コストパフォーマンスの違いが企業の収益や運用効率に影響を与える可能性が考えられるでしょう。AWS・Azure・GCPは、それぞれ異なる料金体系と課金モデルを採用しており、使用するサービスやボリュームによって適した選択肢が異なります。

ここでは、各クラウドサービスの料金体系を整理し、用途別に見るコストパフォーマンスの違いについて詳しく解説します。

各社の料金体系の違い

以下の表では、AWS・Azure・GCPの課金モデルや割引制度についてまとめています。

項目AWSAzureGCP
基本課金単位秒単位の従量課金(オンデマンド)秒単位の従量課金(オンデマンド)分単位の従量課金(オンデマンド)
長期利用割引Savings Plans / Reserved Instances(最大70%以上)Reserved Virtual Machine Instances(最大70%以上)Committed Use Discounts(大幅割引あり)
一時利用向け割引Spot Instances(最大90%割引)Spot Virtual Machines(最大90%割引)Preemptible VMs(最大91%割引)
停止リスク(一時利用時)あり(事前通知あり/最大で2分程度)あり(実行状況によって通知なしで停止する場合も)あり(24時間以内の稼働保証・強制停止の可能性)

各サービスともに従量課金制ですが、AWSとAzureは秒単位、GCPは分単位の従量課金を採用しています。長期利用の面で見てみると、それぞれ割引制度が充実しており、利用の予約と引き換えに大幅な割引を受けられるのが特徴です。

また、一時的な利用向けの割引制度も存在しますが、こちらは通知なしで停止する場合もあるため注意しましょう。

用途別に見るコストパフォーマンス

クラウドサービスは利用目的や業務内容によって、コストパフォーマンスに大きな違いが生まれます。例えば、大規模なWebサービスのように常時稼働が求められる環境では、AWSのReserved InstanceやAzureのReserved Virtual Machine Instanceが有利で、長期間にわたる安定運用に適しています。

一方、分析やバッチ処理のような短時間かつ高負荷な作業では、GCPのPreemptible VMやAWSのSpot Instanceを活用すれば、コストを抑えることが可能です。このように、クラウド環境は料金だけでなく「どう使うか」も大切であるため、用途に応じたサービス選定が大切です。

AWS・Azure・GCPの将来性

機能やコストだけでなく、将来的な成長性や技術トレンドへの対応力も、クラウドサービスを選定する際の判断基準のひとつです。AWS・Azure・GCPはいずれも、AI・IoT・量子コンピューティングなど、今後の技術トレンドに対する積極的な取り組みを進めており、業界の進化を牽引する存在です。

ここからは、こうした新しい技術への対応状況やどういった分野に重点的な投資を行っているのかに注目し、各クラウドサービスの将来性を比較していきます。

今後の技術トレンドと各社の取り組み

AIやIoT・量子コンピューティング、さらにはセキュリティといった先端技術との連携によって、クラウドサービスは進化を続けています。これらの技術は今後のビジネスや社会を大きく変える可能性を秘めているため、各社もそれぞれの分野において積極的な取り組みを進めているのです。

以下の表では、4つの技術トレンドに対するAWS・Azure・GCPの対応状況を比較していますので、ぜひ参考にしてください。

技術分野AWSAzureGCP
AI/生成AI自社開発のAIチップやAmazon Bedrockにより、安全性と拡張性の高い生成AIを企業向けに提供。OpenAIとの協業によりAzure OpenAI ServiceやCopilotを提供。Office製品などにAIを統合。DeepMindの研究成果とTPUを活用。GeminiモデルをGoogle Workspaceなどに実装し差別化。
量子コンピューティングAmazon Braketを通じて量子コンピューティング分野に先行投資。Azure Quantumにて多様な量子ハードウェアとツールを提供。「Quantum AI」プログラムで研究主導。量子シミュレーションと開発支援に注力。
IoT/エッジAWS Outposts、Local Zones、Wavelengthにより低遅延でのエッジ展開を実現。Azure IoTとAzure Arcにより、ハイブリッドクラウド環境とIoTデバイスを統合。Anthos for Telecomを活用し、通信事業者向けに5Gエッジインフラを展開。
セキュリティ全クラウド層にわたる暗号化と多層防御で高いセキュリティを提供。Microsoft DefenderおよびSentinelにより、MS製品との親和性が高い統合セキュリティ対策を実現。Mandiant買収とWiz統合により、マルチクラウド環境にも対応する先進的な脅威検知と対策を提供。

長期的な成長を見据えた投資動向

クラウドサービスの将来性を考える上で、各社の投資戦略も確認しておきたい要素です。AWS・Azure・GCPは、世界中でデータセンター(リージョン)の拡張を積極的に進めており、なかでも新興国やアジア太平洋地域への投資が加速しています。

具体的には、AWSは中東やアフリカへの進出、Azureは欧州・日本への継続的な投資、GCPはアジア市場での拡大に注力しており、現地の需要や規制対応を見据えた戦略が鮮明です。くわえて、政府機関や大企業との大規模契約も各社の成長を支える要因となっており、インフラ投資を通じてクラウドの地理的な網羅率と市場シェアの拡大が続いています。

クラウド環境の選び方と導入のポイント

クラウドサービスを導入する際には、業種やプロジェクトの特性・既存システムとの連携・将来の拡張性など、多角的な視点から適したサービスを選ぶことが求められます。また、導入後の運用では、複数のベンダーを組み合わせるマルチクラウド環境が必要となる場合もあるため、特定ベンダーへの過度な依存を避ける工夫も考えておきたいポイントです。

本章では、自社に適したクラウド環境を選ぶための視点と、特定ベンダーへの依存を避けるポイントについて解説します。

自社の目的に合った選定基準

クラウドサービスの選定においては、自社の業務目的や利用環境に適しているか、という基準で判断することが重要です。なぜなら、サービスごとに得意分野や提供機能が異なるため、目的に合っていないクラウドを選ぶと、運用コストや業務効率に悪影響を及ぼすからです。

各サービスの特徴から見てみると、AIやデータ解析に力を入れたい企業ならGCP、既存のMicrosoft製品と連携させたい場合はAzure、柔軟性とサービスの豊富さを重視するならAWSが適しているといえるでしょう。このように、自社がクラウドに何を求めているかを明確にし、それに応じて選定すれば、導入後の成果はより大きくなります。

特定ベンダーへの依存を避ける工夫

特定ベンダーへの依存が強まると、契約更新時の価格上昇や技術的な制約・サービス停止時の業務リスクが発生しやすくなります。こうした問題を回避するためには、複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウドや、特定ベンダーに依存しない構造設計が有効です。

例えば、コンテナ技術やオープンソースを活用すれば、異なるクラウド間でも移行・連携できる体制を整えられます。また、導入初期の段階から、クラウド間の互換性を意識したシステム設計を行うことで、柔軟な運用と多様な選択肢の確保につなげられます。

まとめ

本記事では、クラウド環境の基本から、AWS・Azure・GCPの特徴や強み、料金体系の違い、将来性、そして自社に合った選び方まで幅広く比較しました。それぞれのクラウドサービスには得意分野があり、導入目的や既存システムとの相性を見極めることがポイントです。

クラウド環境の比較検討は、DX推進や業務効率化に直結する重要なステップです。記事内容を参考に、自社の成長戦略や業務改革を支える基盤として、目的に合ったクラウドサービスを選び、長期的な視点でクラウド活用を進めてみてください。

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