大企業・老舗が沈む沼:サイロ化とハンコリレー

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更新日:2026/08/05

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はじめに

データが全社共通の「モノサシ」になり、誰もが必要なデータにアクセスして意思決定に活かせる——そんな理想像を、前回の記事でご紹介しました。しかし現実には、規模が大きく歴史のある企業ほど、この理想の手前で足を取られています。本記事では、大企業・老舗企業が陥りがちな「データ活用の沼」を、縦割りによるサイロ化レガシーシステムの呪縛終わらないハンコリレーという3つの症状から読み解きます。自社が同じ沼にはまっていないか、確認する視点としてお役立てください。

データ活用が理想的に機能している組織の姿については、こちらの記事をご覧ください。

大企業・老舗を沈める「沼」の3つのあるある

規模が大きく、歴史の長い組織ほど、データ活用は思うように進みません。特徴的なのは、どれも「誰かがサボっているから」ではなく、まじめに仕事をしているのに前に進まないという点です。まずは、現場でよく見られる3つの症状を整理します。

1.縦割り意識とデータのサイロ化
部門ごとにシステムもデータも別々に育ち、それぞれの中に閉じてしまう状態です。同じ「顧客」や「売上」を指す言葉でも、部門によって定義が異なり、数字を突き合わせても噛み合いません。データはあるのに、全社で一つの事実を共有できないのです。

2.長年使ってきたレガシーシステムの呪縛
長く使い込まれたシステムは、業務を支えてきた資産であると同時に足かせにもなります。どんなロジックでデータが作られているのかが分からず、手を入れれば何が壊れるか読めない。結果として「触れない・変えられない」まま、新しいデータ活用の土台になれずにいます。

3.関係者が多い=終わらないハンコリレー
一つの意思決定に関わる部署と承認者が多く、確認と承認のリレーがどこまでも続きます。データを一つ取り出すにも、可視化の環境を一つ整えるにも、根回しと待ち時間ばかりが積み上がっていきます。

これら3つが重なると、プロジェクトは一向に前へ進みません。気付けば季節が変わっている——大企業・老舗企業のデータ活用が抱える、典型的な沼の姿です。

なぜ沼にハマるのか:症状の裏にある構造

これらの症状は、担当者の努力不足ではなく、組織の構造から生まれています。理想は「データが共通言語になる世界」——全社共通の指標で会話でき、属人化がなく、データに基づく意思決定が当たり前になっている状態です。しかし現実には、次のような構造的な要因がその実現を阻んでいます。

環境要因が「沼」を生み出している

縦割り組織、レガシーシステム、そして複雑な意思決定プロセス。これらの環境要因が背景にあるため、いくら現場ががんばっても、属人化・ブラックボックス化、部門間のサイロ化と連携不足、定義がバラバラで信頼できないデータ、分析やレポートに時間がかかりすぎるといった「症状」が次々に表れます。症状を一つずつ手当てしても、環境そのものが変わらなければ沼から抜けられないのです。

根っこにあるのは「取り持つ人」の不在

症状をたどっていくと、共通する一つの空白に行き当たります。ビジネスサイド(データを使いたい人)とエンジニアサイド(データを作る人)の間に立ち、両者を取り持つ中間ポジションが存在しないことです。この空白があると、次のような形で沼が深まっていきます。

  • データの信頼性
    属人化・ブラックボックス化し、定義のないデータで指標がブレ、品質が低下して「信じられないデータ」になる。
  • 組織・連携
    部門間の壁とサイロ化が固定化し、「作る人」と「使う人」が断絶。依頼が渋滞し、コミュニケーションロスが増える。
  • 活用・スピード
    分析が進まず高度化できない。施策スピードが落ち、場当たり的な「火消し」対応ばかりが増える。

沼から抜け出す方向性

沼から「自走」できる組織へ抜け出すための核心は、大きく2つの鍵に整理できます。個別の症状に対症療法を重ねるのではなく、この2つを押さえることが方向性になります。

鍵①.「取り持つ人」の役割を明確にする
ビジネス課題を理解して必要なデータを定義・整備し、技術と現場の橋渡しをする役割を、組織の中に明確に位置づけます。この役割に責任者を置くことが第一歩です(外部の活用も選択肢になります)。

鍵②.「データ活用プロセス」を設計・実行する
データの流れを可視化・整理し、指標の定義を共通言語化する。品質を担保するルールと、定義書・フロー図・マニュアルといったドキュメントを整える。いわば「お膳立て」を仕組みとして用意することで、属人化を防ぎ効率化を実現します。

この2つの鍵をどう実装していくかは、次の幕「架け橋」で詳しく扱います。ビジネスとエンジニアの分断がなぜ起きるのか、その正体についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。

まず取り組むべきは、自社が今どの沼のどの段階にいるのかを見きわめることです。規模や成熟度によって、直面する壁も打ち手も変わります。下のCTAから、自社のデータ活用の現在地を診断してみてください。

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株式会社UNCOVER TRUTH
アナリティクスエンジニアユニット リーダー

2022年、UNCOVER TRUTHに中途入社。
大手GMS・外資系SPA・大手百貨店といった小売業界を経験後、一念発起してIT業界に転身。
広告代理店・マーケティング支援会社などのデータ業務を支援に携わる。
現在はユニットリーダーとして、クライアントのデータ活用を推進するとともに、
メンバーの採用やチームビルディング、強い組織づくりに注力。出雲市在住。



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