コアプロセス②分析用データの作成

コアプロセス②分析用データの作成

更新日:2026/08/12

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はじめに

「この数字が見たい」と依頼したのに、出てくるまでに何日もかかる。ようやく届いた数字が、経理の管理する数値と微妙に合わない。前の担当者が作った集計は、誰も中身を説明できない――。データはあるはずなのに、意思決定に使える状態になっていない。多くの現場で起きているこの停滞の正体は、「分析用データが作られていない」ことにあります。

本記事は、アナリティクスエンジニアが担う4つのコアプロセス(①データ環境整備/②分析用データの作成/③データの可視化/④ナレッジ共有)のうち、②「分析用データの作成」を、意思決定者の視点で解説します。前提となる①データ環境整備の上に、いかにして「必要な数字が、すぐに・正しく・繰り返し出てくる」状態をつくるか。その考え方の中心にあるのが、この記事のテーマである「データマート」という発想です。

▼前のコアプロセスの記事はこちら

なぜ「見たい数字」がすぐに出てこないのか

データが蓄積されていても、それが「分析にそのまま使える形」になっているとは限りません。生のデータは、購買データ・顧客データ・ウェブログ・広告データなど複数の場所に、それぞれの都合で貯まっています。これを「知りたいこと」に答えられる形へ整えて初めて、データは意思決定の材料になります。この“整える工程”が抜け落ちているとき、現場では次の3つの症状が繰り返し起きます。

1.依頼のたびに、時間がかかる
データを依頼しても、アウトプットが届くまで時間がかかる。原因の多くは、依頼内容が整理されないまま渡され、そこから要件を整理し直すことに時間を取られている点にあります。一件ごとに“ゼロから”作っているため、依頼が増えるほど現場は詰まっていきます。

2.出てきた数字が、信じられない
担当者が自前で集計を組んだ結果、経理などが管理する“正”の数値と合わなくなる。数字が合わなければ、その集計は意思決定に使えません。「どちらが正しいのか」を確かめる作業に、さらに時間が奪われていきます。

3.中身がブラックボックス化する
外部ベンダーや他部署が作った集計は、ロジックや処理過程が把握できず、担当者が代わると誰も説明できなくなる。修正も再利用もできないまま、その数字は“触れないもの”になっていきます。

これら3つに共通するのは、データ作成が「単発の作業」の繰り返しになっていることです。依頼のたびに個人が場当たり的に組むため、横断的な分析ができず、再現性も残らない。作っても作っても、組織にノウハウが積み上がらないのです。「分析用データの作成」とは、この“単発の繰り返し”から抜け出すための工程だと言えます。

解決の鍵は、再現できる「分析用データのまとまり」

アナリティクスエンジニアが行う「分析用データの作成」とは、依頼のたびに集計を組み直すのをやめ、分析要件に合わせて整えた“再利用できるデータのまとまり”をあらかじめ用意しておくことです。この、分析目的に沿って整えられたデータのまとまりを「データマート」と呼びます。一度きちんと作れば、以後は同じ手順で誰でも同じ数字を取り出せる――。DXAは、これを次の3つの取り組みで実現します。

① 分析要件の明確化と定義付け

最初に行うのは、「何を知りたいのか」をご担当者と徹底的にすり合わせることです。曖昧な依頼のまま作り始めれば、手戻りが生まれ、数字の解釈もぶれます。DXAは、すり合わせた内容を「要件定義書」として文書に起こします。作るものを言葉で固定しておくことが、後工程の再現性とスピードを支える土台になります。

② 再現性と効率性を重視したデータマート構築

要件定義書に基づき、同じ手順で何度でも同じ結果を再現できるデータマートの構築フローを設計・実装します。ポイントは「一度作って終わり」にしないことです。恒常的に使うデータであれば、定期的な自動更新の仕組みまで整える(この部分は貴社エンジニアサイドと連携して進めます)。これにより、依頼のたびの手作業がなくなり、いつでも最新の数字が同じ形で手に入る状態になります。

③ 品質の担保と標準化

作成したデータは、可読性・保守性・正確性の観点で品質を確認し、誰が引き継いでも扱える形に標準化します。既存の集計についても品質をチェックし、改善点を提案します。属人的に作り込まれた“触れないもの”を、担当者が代わっても説明・修正できる状態に変えていく――。これが、症状3のブラックボックス化を根本から防ぐ取り組みです。

この3つを担うのが、ビジネスとエンジニアの間に立つアナリティクスエンジニアです。ビジネスサイドの「知りたい」を要件に翻訳し、エンジニアサイドと連携して再現できる形に落とし込む。分析用データの作成は、単なるデータ加工ではなく、両者の橋渡しそのものなのです。

事例:単発の分析から「誰でも使える仕組み」へ(大手食品会社)

ある大手食品会社では、自社プロダクトのファンを増やす施策の効果を検証する手段がありませんでした。データは蓄積していたものの処理する知見がなく、活用できていない。データ作成を行っても単発的な分析にとどまり、横断したデータ分析ができていない状態でした。まさに、前半で挙げた「単発の繰り返し」に陥っていた例です。

DXAが行ったのは、データを整形し可視化するまでの一連のフローを設計し、定点でのレポート/BIとして作り込むことでした。単発の集計ではなく、「データの整形から可視化に至る流れ」そのものを仕組みとして設計したのがポイントです。

結果として、担当者でなくても誰もが気軽に必要な情報を取れるようになり、データを根拠に施策を検討できる状態が実現しました。分析用データを“仕組み”にすることが、そのまま意思決定のスピードにつながった一例です。

まとめ:分析用データは「作って終わり」ではなく「仕組みにする」

「見たい数字がすぐに出てこない」という停滞の多くは、分析用データが単発で作られ、再現性も信頼性も残らないことに起因します。解決の鍵は、分析要件を定義し、再現できるデータマートとして構築し、品質を標準化すること。作って終わりにせず“仕組み”にすることで、必要な数字が・すぐに・正しく・繰り返し手に入る状態が生まれます。

整えた分析用データは、次のプロセスである「③データの可視化」で、誰もが読み取れるダッシュボードへとつながっていきます。自社に当てはめて何から着手すべきか整理したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

▼次のコアプロセスの記事はこちら

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