マーケターとアナリティクスエンジニアが「データ活用」を協業するために

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更新日:2024/03/07

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DX-Accelerator部門(通称DXA)のアナリティクスエンジニアは、日々クライアント先で常駐しながらデータ活用を主軸としたDX促進を行っています。マーケターの皆様と仕事をする機会が多いですが、最近はアナリストやデータマネジメントを担当するデータエンジニアとの協業も増えてきました。

現場で感じる課題

データ活用の課題は十人十色

これまで様々な企業のデータ活用支援をしてきましたが、一口に「データ活用」と言っても、企業データ活用状況やシステムの移行フェーズは様々です。
当然のことながら、各企業内でのデータ活用に関する課題も多岐にわたります。

  • コミュニケーションコストにスピード感が見合わない
  • データが煩雑でエンジニアの手に負えない
  • 本来業務であるマーケティングに時間を割きたいのにレポート作成に膨大な時間を費やしている

皆さんもひとつは思い当たるものがあるのではないでしょうか。

クライアント先での実例①

実際に、あるクライアント先で相談を受けた際には、下記のような状況でした。

クライアント先の状況(AS IS)
 -社内でデータの民主化を進めよう!という動きがありデータ活用基盤が構築された
 -けれどもデータを抽出・加工できる人がおらず、結局毎回IT部門へ依頼することに
 -結果的に依頼をしてから3週間後にようやく集計データが届くという結果になってしまった

この企業内では誰かがデータ活用を嫌がって仕事を遅らせたとか、各部署同士が敵対していたとか、そのようなことはありませんでした。誰もがデータ活用を促進しようと考え企業としても投資していたにもかかわらず、データ活用が上手くいかなかったのです。

データ活用の課題は案外シンプル

実はその課題のほとんどはおよそ二つに集約されます。各企業の問題は様々ですが、その問題の根本原因を探ってみると意外とシンプルなことが多いのです。

構造的問題

まず一つ目が構造的問題です。

例えば先ほどの事例で言えば、ボトルネックになっていたのは「データを抽出・加工する人がいない」ことです。これは個々人の業務能力の問題ではなく、そもそもいるべきポジションに人が正しく配置されていないことが原因です。

このクライアント内に私たちが常駐し、下記のように体制を変更しました。

クライアント先の状況(TO BE)
 -マーケターの実施施策、その背景などを理解したエンジニアが常駐
 -体制を変更しコミュニケーションコストを下げることに成功。
 -依頼をしてから1時間とまでは言わずとも、1日後には集計データが形になっている状況を作り出す

自社の組織構造がデータ活用のユースケースをきちんと促進するものになっていますか?
データ活用を進める前に、ぜひ確認してみてください。

それでも上手くいかないのはなぜ?

情報の多面的な理解

ただし、組織構造を変えたからといって問題がすべて解決するわけではありません。
第二のキーワードは情報の多面的な理解です。

クライアント先での実例

ある企業では店舗展開を主軸としていた販売業務から、ECへの事業拡大を行っていました。今後O2Oを行うためにこの二つのデータを統合することを目指しており、私たちも支援のためにプロジェクトに参画しました。
データの内容について不明点があったのでIT部の方に詳細をお伺いしましたが、忙しくて応答に2週間かかるとのこと。マーケターは「店舗とECどちらのデータにもIDは入っていて、裏側のシステムで顧客を突合できると聞いています」と言っていますが、データを見る限り同じIDは存在しません

このデータについてよくよく調べてみると、あることが分かりました。
店舗のPOSデータとECの売上データにはそれぞれユーザーを識別するIDが存在していましたが、カラム名、IDの桁数、データ型に至るまでバラバラになっている、という事実です。

この事実にたどり着くためには、
 ・ビジネスが拡張された経緯とシステム増築時の暫定対応
 ・各システムのデータ出力形式
 ・データ内の値の要素分解
など多くの情報を統合することが必須でした。

事業背景と連携先システムの設定、そして実データの理解。ほぼ毎日コミュニケーションをとりながらこれらの内容を理解し、1週間近くの時間をかけてようやくデータの突合に移行できたのです。

データの多面性

これはほんの一例ですが、それほどまでにデータというものは一筋縄ではいかないのです。
アナリティクスエンジニアはスーパーマンではないので、チームにジョインしたからといって一発でこのようにデータの状況を打破できるわけではありません。(課題が明確な時にはすかさずデータ分析にえいやっと飛び込みたいのはやまやまですが……)
データ分析を着実に一歩ずつ前進させるためには、根気強さとともに広い視野が必要になります。

データの中に落とし込まれた情報はその企業の一側面にしかすぎず、私たちはそれ以外の様々な側面の情報をいろいろな方法で補いながら理解しています。

ここまでのおさらい

データ活用のために押さえておくべきポイント

  • 組織の構造的問題を解決する
  • 情報の多面的な理解を行う

今まで、世の中にはこの二つを両立するポジションには名前がなく、そもそも存在すらしていませんでした。
しかし、私たちDXAはこの新しい概念を担うアナリティクスエンジニアとして、この二つの問題を解決しながら様々なクライアントでのデータ活用支援に取り組んでいます。

まずはデータ活用の準備運動から

では私たちDXAのアナリティクスエンジニアがプロジェクトにジョインした際、まずやることは何でしょうか?それは6つの領域のリサーチ&キャッチアップです。これにより、多面的にデータを捉えることができます。
これはスポーツでいえば準備運動、料理でいえば下ごしらえに当たります。ここの準備のクオリティがのちのちの作業の質を高めます。

6つの領域

上から順に企業内の方々へのインタビューや組織内資料の読み込みが必要になります。
当然ですが企業のことやビジネスについては知らないことも多くあるため、たくさんのヒアリング、そしてクライアント企業から情報共有をいただくなど様々な面でのご協力が必要です。

一方で、下へいくほど専門性が上がるので、私たちのアナリティクスエンジニアとしての視点が活かされていきます。積み上げてきた技術だけでなく、これまでのプロジェクトで得た経験のすべてを総動員して理解を進めます。

情報の統合が最終ゴール

ひとつ知っておいていただきたいのは、「これらの項目は個々に独立しているわけではなく、相互にかかわりあっている」ということです。
例えば売上データはその企業特有のビジネスモデルによって蓄積される内容が定義されるし、店舗やECなどの事業拡大フェーズを理解することでデータの流れのクセが見えることもあります。
このような準備運動を経て、アナリティクスエンジニアはマーケターと目線を合わせていきます。

ここからがデータ活用の本番

ようやくここから、本格的なデータ活用の段階に入っていきます。スポーツでいえば試合、料理でいえば調理に入るわけです。
ここで重要なのは、マーケターとアナリティクスエンジニアとがおたがいの専門領域を掛け合わせることです。

実際の事例

実際に、クライアント先ではこんな会話がよく起こります。

DXA

以前話していた2カ月以内F2転換分析の結果出ました。

マーケター

ありがとうございます!
ところで、今回ってF2転換の定義どうしてましたっけ?

DXA

初回の定期購入日から2カ月以内に再購入をされた方をF2判定してます。

マーケター

了解!
うちはキャンペーン打ってからユーザーさんの行動が売り上げに直結するのがだいたい2カ月くらいかかるから、今月の数値の伸びは2カ月前のこの施策の影響が強そうだね。この結果をもって報告してみます。

アナリティクスエンジニアのデータ理解と、マーケターのビジネス理解。どちらが欠けても最終的な結果には到達できません。
専門領域のかけ合わせの先に、本来あるべきデータ活用が存在します。

専門領域は掛け合わせてなんぼ

データをこねて出た結果は意思決定の材料にはなりますが、それだけで意味をなすことはできません。
出てきた結果が有用なものか?なぜそのような結果が出たのか?を判断するのは人(マーケター)です。一方で、どのような過程を経たのかを整備する人(アナリティクスエンジニア)がいなければデータの判断を見誤る恐れがあります。

データ活用は一夜にしてならず

データ活用の道は長く険しいものです。
けれども、組織内構造を整え、広い視点を常に持ち続けることができれば長い道を一歩ずつ前進することができます。

実際に私たちは様々な業界でデータ活用のサポートをしてきました。マーケターと二人三脚のデータ分析はもちろんのこと、レイヤー構築やメタデータの整備など、エンジニアだからこそ持てる視点で提案を行って支援をしています。
これからデータ活用を推進したい!という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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