100社以上の企業相談に乗る中で見えた組織としてのデータ活用 3フェーズ

100社以上の企業相談に乗る中で見えた組織としてのデータ活用 3フェーズ

更新日:2024/02/22

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ご訪問いただきありがとうございます。
DX-Acceleratorの事業責任者、三原です。

今回は、日々多くのお客さまの相談に乗る私たちが、組織がデータ活用をするにあたって

「おそらくこの経過を辿るのではないか?」

という3つのフェーズをご紹介します。

組織としてデータ活用の進捗は様々で、スプレッドシートにありとあらゆる機能を付け加えて”表計算ソフト”の原型を留めないような改造をする危うい設計を組んでいる企業様もいれば、さっさとCDPと自動化に目を向けて、データインフラを管理・監視するデータマネジメント部門と、それを享受して使用する全社…といった構造的なデータ活用の民主化が完了している企業が存在するのも現実です。

あらゆる企業が後者のような変革を望む一方で、必ず通過しなければいけない障壁があります。この記事では、その障壁についてもセットでお話しをさせていただきます。

では、
どうして私たちがそんなお話をできるかというと、

①日ごろから多くのお客さまにご相談をいただく中で組織課題をお伺いできていること。
常駐支援というサービス形態を取っている関係上、現場にコミットするメンバーから組織内部のリアルな課題が届いていること。


この二点につきます。

具体的にお客さまからいただく課題は大小さまざまで、

「各部署の作成したデータテーブルとBIが乱立していてオーケストレーションできない」
「データに一番詳しいはずの情シスが、蓄積データの意味するものをわかっていない。文書もない」
「同じ企業の同じ指標なのに、ダッシュボード間で数値が違う」

といったことも、実際の大手企業様で起きていることです。この時点であなたの組織に近いものを感じて下さった場合、この記事は最後までお読みいただく価値があります。

他にもここでは挙げきれないほどの課題を、弊社メンバーとの定期的なやりとりの中でヒアリングしております。

日々、様々なお話をいただく中で気付いたことがあります。
それは、データ活用組織にはフェーズがあり、そのフェーズを飛び越える過程でエラーが起きているということです。

この記事の中では、DWHやCDPを導入した企業に見られるフェーズごとの状況を細かく解説したうえで、いま実際に困っているあなたの組織が、何を乗り越えなければいけないのかを展開します。

お取組みをする中でDXAが見てきたデータ活用の3フェーズ

まずは私たちDX-Accelerator(以降はDXA)が見てきた企業のデータ活用状況から、3つのフェーズをご紹介します。

3つのフェーズ

  1. フェーズ初期:乱立するテーブルとBI、データマネジメント部門の不在。
  2. フェーズ中期:データ活用の中央集権化、環境開発と社内教育にフル稼働。
  3. フェーズ後期:データインフラは管理された状態で、データ活用における民主化が完了。

以上は、私たちが捉えた組織としてのデータ活用フェーズです。これからそれぞれのフェーズとリアルな現状について解説をしますので、あなたの組織は今どこのポジションに位置しているかを意識しながらお読みください。

フェーズ初期:乱立するテーブルとBI、データマネジメント部門の不在。

まずはデータ活用の初期です。このフェーズの最大の特徴は、全社を通してデータ活用をオーケストレーションするデータマネジメント部のような管理者が不在(あっても機能していない)状態です。


DWHやCDPはあるが、全社横断の管理部門はいない。
GCPやAWS(場合によってはCDPツール)は導入されているが、取得したデータを全社横断して管理する機能、仕組みがありません。ではどこに白羽の矢が立つかつというとIT部です。

IT部への開発依頼が集中、そして遅延。
IT部、情シスは存在しますが、通常機能としての開発もある傍らで社内から矢継ぎ早に飛んでくる依頼対応もしなければいけないため、エンジニアがフル稼働状態となります。当然リソースに限界があるので、マーケ担当者が依頼した3週間後にデータが返ってくるといったことは実際の現場で起きています。

依頼内容が重いのかというとそういうわけではなく、実際に弊社メンバーが業務を肩代わりさせていただくようになったお客さまで、3週間かかっていた依頼が翌日には完了できる環境が整いました。データ活用のための棚卸をしたことも一つの要因としてありますが、絶対的にリソースが足りていないという状況です。

データマートやBIの乱立、共通の定義・フォーマットはない。
IT部、情シスの依頼回答が遅くなるとどうなるか。今度は各部門が自前でデータベースを操作、オリジナルのテーブルやダッシュボードを作り始めます。ベンダーを外注するというパターンもあります。各所で独自の定義とロジックが組みあがります。

ある程度の統制が取れていればよいのですが、私たちの所感としては、ここまで来るとIT部・情シスは「関せず…」という状態に陥ります。これが外注の場合、ベンダーからの引き継ぎが不十分な場合がとても多く、定義の不明なデータとテーブルが残り、完全なブラックボックス状態になります。この状況と、IT部・情シスの業務ひっ迫がバッティングすることで全社でデータ活用を通じた判断業務が遅滞します。

フェーズ中期:データ活用の中央集権化、環境開発と社内教育にフル稼働。

これまでデータハンドリングの取れていなかった状態から、全社横断でデータ活用のための指揮系統を握るデータマネジメント部が現れます。

横断型のデータマネジメント部によるデータ環境の管理。
全社横断的にデータ環境を管理する体制が機能します。言ってしまえばこれまで「好き放題」使うことのできたデータ環境を中央集権的に集約させ、データフロー全体の整備へと動きます。これまで通り、社内からの個別依頼はひっきりなしに飛んでくるので、データマネジメント部は常に業務ひっ迫という状態が起きます。

各部門ごとにデータリテラシーが芽吹き始めているが、ごく一部。
データ環境とドキュメントの整備が始まることで、社内の各部門でデータに対するリテラシーが芽吹きはじめます。しかしこれはまだまだ少数派です。多くの場合、社内にどういうデータがあるか分からず、要件も曖昧なままでデータマネジメント部に依頼が飛んできます。

個別開発、環境整備、社内教育でデータマネジメント部門がオーバーヒート。
当然このままでは組織としてデータ活用において健全な状態とはいえないため、社内への教育と啓蒙活動が始まります。しかし現状どうかというと、社内での仕組づくりが追い付かないことがほとんどです。
このタイミングで「業務ひっ迫の緩和と、”ゆくゆくは”インハウス化を…」という形で弊社にご相談をいただくケースがかなりを占めます。

フェーズ後期:データインフラは管理された状態で、データ活用における民主化が完了。

データ活用のためのインフラが完成していて、マーケティング強化のための組織や人員がスケールアップしやすい状態です。

データマネジメント部の管理・監視体制が完成。
各部門にデータ活用機能が解放され、データマネジメント部の主管はそれの管理と監視になります。

全社でインフラの整備と教育が完了、データマートやBIを各部門で扱える。
各部門が、一定の範囲でデータマートとBIツールを自由に扱うことができます。人によってはデータマネジメントが用意した中間テーブルを使用してSQLで新たなテーブルを作成して簡単なレポーティングまで行います。

コミュニケーションコストの低い開発依頼
これまで通り個別の依頼は来るものの、依頼内容も明確なので、コミュニケーションコストは以前ほどかからなくなります。現存するデータ素材の有無やデータ定義を理解したうえで、分析目的に対して解像度の高い依頼が発生します。

初期→中期→後期のそれぞれの障壁

あなたの組織はどの段階に位置付けられたでしょうか。「あ、これはうちだ…」といった項目がおそらく1つはあったかと思います。できればここで紹介した最終フェーズまで行きたいと誰しもが考えるはずです。

では今度は、フェーズ初期と中期にある組織が次のフェーズに進めるためには何を乗り越えなければいけないのか。その障壁をご紹介します。

初期→中期の障壁

この過程でハードルとなるのが、データマネジメント部の設置です。管理者側にまわる立場の部署なので、そこにいる人材には一番高いデータリテラシーが求められます。

データ環境のハンドリング
まずは社内で「好き放題」使われてしまっているデータ活用の環境を管理しにいく必要があります。この立場を既存のIT部や情シスが担うこともあれば、新たに部門を設置してオーケストレーションしいくこともあります。実際に弊社がお手伝いをさせていただいた企業様では両者のパターンが存在します。情シスが担っていくこともあれば、データ業務に精通したマーケティング部から派生して「データ戦略部」のような名称で組織細分するケースもあります。

将来のデータマネジメントを担う部門、もしくは人材のリテラシーの習得。
データの民主化(誰もが簡単にアクセスして使いやすい状態)を実現するため、一旦全ての権限を集約するわけです。高度な知識のインプットが必要となってきます。具体的に何をインプットしなけれなばいけないかというと、データフローの上流から下流に至るまでの整備に必要な知識です。扱うデータの定義が誰もわからないということがあってはいけませんし、文書化までできた方が好ましいです。また、社内の各部署で乱立するデータにメスを入れる目も持たなければいけません。

現存するデータの棚卸
今あるデータを一度きれいに棚卸する必要があります。誰も定義のわからない生データ。背景がよくわからないまま作られた中間テーブル、その人に辞められたら誰も運用ができないダッシュボード。これは放置してはいけません。

「こういうデータを出してほしい」という依頼を出した時に、依頼先に「これとあれを使えばおそらくいけるはず…」という勘どころがない場合、危うい状況にあるとお考えください。

中期→後期の障壁

これまでデータマネジメント部だけが精通していた状況から、いよいよ全社でレベルアップを目指すフェーズです。ここで挙げられる課題は、ここまでに築いた知識・技術の文書化、標準化です。

全社でデータを活用するためのマニュアルの標準化
フェーズ中期までに蓄積した知識・技術を、マニュアルとして起こします。「今ここにあるデータは、どんなデータフローを経過して、どんなロジックのもとで生成されたのか?」「うちにおけるSQL利用のためのルール、BI利用のためのルール」…といった具合に、データマネジメント部門がハンドリングしているデータ活用環境を全社放流した時に困りそうなことをすべて文書化させます。

各部門が手前で作業するための扱いやすいデータ環境の整備
マニュアルが完成したら、そのマニュアルを見ながら実際に操作するデータ環境の整備です。各部門が分析のために必要なデータやBIを、階層構造で整理していきます。

中期までで築き上げたノウハウとマニュアルを使用した啓蒙活動と教育
最後に全社への教育に入ります。あなたの組織で定義した「データの民主化の範囲」を実現するためにインプットしなければいけないことは、このタイミングで組織に落とし込んでいきます。データ環境の整備も、個別依頼の開発も、マニュアル作成も、全てはこの教育のための準備です。

とはいえ、人的リソースという課題

ここまで、組織フェーズを進めるためには、障壁を乗り越えなければいけないという説明が完了しました。しかし、大前提の問題があります。人的リソースです。フェーズ初期と中期でご説明差し上げたように、データを扱う部門というのはいつでもひっ迫です。そんな中で仕組化が難しいことは容易に想像がつきます。では、足りないリソースを補うにはどうしたらいいのでしょうか。

データ人材の採用でしょうか?それも正解かもしれません。
ただ人材採用にはリスクもありますし、どんな人材を採用するかという定義付けも企業によってまちまちです。

弊社はここにもう一つの回答を用意します。それがDX-Accelerator(通称 DXA)です。
冒頭でも差し上げたように、弊社メンバーが常駐支援という形態で、データ活用のフェーズを進めたい企業様のお手伝いをさせていただくサービスです。
私たちの目線は、日々のデータ業務のお手伝いというよりは、それをどうやって組織として仕組まで発展させられるかに向いています。

ブラックボックス化したDWHがあれば、データフローの上流までさかのぼって可視化、文書化をしますし、誰もロジックのわからないBIがあればデータマートまで遡って解明をして定義書を起こしたりもします。場合によっては1対多での講義形式で、企業様に実装したデータ環境を使用する方法もノウハウとして共有いたします(要相談)。
採用について申し上げれば、まずは弊社サービスのご活用から初めていただき、データ人材の定義付けを完了させたうえで採用に乗り出すというアプローチもあるとすら考えています。

このように、DXAはイチ作業者の枠を超えて、「どうしたらこの業務が単一の人・組織への属人化を脱却できるか?」を念頭に置いて課題解決にあたらせていただきます。


当事業はローンチから約2年(24年2月時点)ですが、これまでに様々な業界・業種のお客さまのお手伝いをさせていただいております。

少しでも興味を持ってくださったり、すでにご相談をしたいことがある方はお気軽にご相談ください。現在のデータ活用フェーズがどこにあるかは関係ありません。まずはお話をしましょう。

もう少しサービスについて知りたい方はサービス紹介資料もご用意しています。

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