CDPから思想の実装へ!LTVを最大化するデータ活用【前編】

 CDPから思想の実装へ!LTVを最大化するデータ活用【前編】

更新日:2026/08/28

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はじめに

この記事でわかる3つのポイント

Before(課題)
数千万円規模のCDP(データ基盤)を導入したものの、現場の業務プロセスやデータ構造と乖離しており、活用されずに「社内で活用されずに眠っていた」状態。

Process(伴走)
キューサイ独自の事業思想「ウェルエイジング」とデータ設計の意図を深く理解するUNCOVER TRUTHの「DX-Accelerator(以後:DXAと呼称)」が2025年1月より参画し、データマートの本格活用を並走。

After(成果)
経営思想がデータ構造へと落とし込まれ、「ウェルタイム」の体験設計が始動。さらに、将来の内製化とAI活用を自律的に駆動させる「AIレディなデータ基盤」の確立へと歩みを進めている。

プロフィール紹介

小森谷 裕之 | Hiroyuki Komoriya

キューサイ株式会社
執行役員
営業戦略本部副本部長

小畑 陽一 | Yoichi Obata

株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO

立派な箱(CDP)はあったが、宝の持ち腐れとなっていた

インフォマ中心から「双方向の顧客接点」へのパラダイムシフト

小畑(UNCOVER TRUTH):小森谷さん、本日はよろしくお願いします。改めて、現在キューサイ様が直面している事業環境の変遷と、その中で小森谷さんが担われているミッションについて教えていただけますか?

小森谷氏(キューサイ):よろしくお願いします。キューサイと聞くと、多くの方は未だに「青汁の会社」というイメージを強く持たれていると思います。しかし現在、私たちは化粧品(コラリッチ等)や健康食品を中心に、多様な商品群を展開して成長を続けています。会社が次のフェーズへ進むにあたり、商品点数を増やし、顧客数を伸ばし、そして一人当たりのLTV(顧客生涯価値)を最大化していくことが、極めて重要な経営課題になっています。

私のミッションは、主に顧客接点におけるデジタル領域とデータ基盤の構築です。これまではテレビ通販やインフォマーシャル(広告)で獲得したお客様に対するCRMが主軸でしたが、現在はコンタクトセンターのKPI設計や、さらには現場の営業活動のデータ化まで、ほぼ全ての顧客接点に横串を通して関わっています。

小畑:認知を獲得して新規顧客を呼び込むフェーズから先、つまり「顧客のIDが取れた状態」以降のカスタマージャーニー全域を小森谷さんが管轄されているわけですね。しかもコンタクトセンターだけでなく、BtoBの法人営業の領域まで巻き込んでいる。デジタルとリアルの接点をシームレスに連動させるのは、口で言うほど簡単ではないはずです。

小森谷氏:おっしゃる通りです。例えば法人営業の領域では、Treasure AIの「Treasure AI Voice」を導入し、営業担当やラウンダーが店舗で交わした会話をすべて音声データとして取り込んでいます。これにより、営業が面倒な報告書を記入せずともSFAに活動が記録される仕組みを作りました。さらに重要なのは、その現場の声を「顧客の声(VOC)」としてマーケティングシステムに還元し、商品開発や流通向けの棚作りの訴求に活かしていく、という双方向の循環を生み出すことです。コンタクトセンターだけでなく、市場のリアルな声をデジタル基盤を通じて吸い上げる体制を目指しています。

日々の健康を作る「ザ・ケール(左上)」、大人の肌に寄り添う「コラリッチソア(右上)」、アクティブな毎日を応援する「ひざサポートコラーゲン(左下)」など、多様なニーズに応えるラインナップを展開。

さらに2026年4月には、40代からの女性向け新ブランド「f44(右下)」がスタート。エイジングの転換期となる44歳からの心身のゆらぎをケアし、忙しい「責任世代」が長く自分らしく活躍できるよう応援しています。

ツール導入止まりを防ぐ。CDP活用を阻む「組織」の壁

小畑:市場環境が激変する中で、顧客理解を中核に据えた戦略を推進されている。小森谷さんが着任され、CDPが見直されて本格的に活用され始める段階で私たちも参画させていただきましたが、当時はまだ今のような美しい循環を作るまでに、超えるべきタフな課題がたくさんあったのではないかと想像します。

小森谷氏:そうですね(笑)。ぶっちゃけてお話しすると、私が今の部署に入ったタイミングでは、数千万円規模の費用を投じて導入したはずのCDP(カスタマーデータプラットフォーム)という「立派な箱」はあったものの、社内ではほとんど使われていませんでした。それどころか、現場からは「従来のDWH(データウェアハウス)と何が違うんだ」「コストばかりかかって意味がないから、もう捨ててしまおう」という声すら上がっていたんです。まさに破棄寸前の状態でした。

小畑:「ツールは入れたが、誰も使いこなせない」というのは、多くの企業が陥る典型的な罠です。私たちはこれまで数多くのデータ基盤構築を支援してきましたが、ツールの機能自体に問題があるケースはほとんどありません。真の原因は、経営が描く「戦略」と、現場の「データ構造・オペレーション」の間にある深い溝を埋める人材や仕組みがないことにあります。

小森谷氏:まさにその通りでした。ただツールを置いておくだけでは、誰も動かない。そこで私は、本来あるべきデータドリブンな組織を作るために、私が入ったタイミングでCRMチームとECチームをマージし、「DX戦略部」という新たな組織を立ち上げました。データを使って何を実現するのか、もう一度足元から整理し直す覚悟を決めたんです。

事業思想を理解したパートナーとのデータ基盤構築

現場に入り込む「DXA」との伴走支援プロセス

小畑:そのデータ基盤をもう一度整理し直し、活用を本格化させていく2025年1月のタイミングから、私たちの常駐型伴走サービスである『DXA』を途中から導入いただきました。当時、パートナーとして私たちに求めていただいた役割は何だったのでしょうか。

小森谷氏:データ基盤を形にする上で一番の大前提は、我々の「ウェルエイジング」や「ウェルタイム」といった独自の事業思想と、それを将来的にAIやBIで活用するためのデータ設計の意図を、深く理解しているパートナーであることでした。UNCOVER TRUTHさんとは、実は前職からのお付き合いです。当時から、単なるツール提供やクエリ代行ではなく、事業課題を深く聞き込んだ上でデータ構造にまで踏み込んでくれる姿勢に助けられていました。その経験があったからこそ、キューサイに来て『思想を実装するパートナー』を探した時、迷わず声をかけたんです。

小畑:ありがとうございます。ツールを導入して終わりではなく、キューサイ様が描く独自の構想を、いかにデータマートとして設計し直すか。DXAのメンバーもその高い視座を共有し、週4日は御社に常駐しながら、金曜日は弊社のナレッジを自社に持ち帰ってアップデートする。ただ指示されたクエリを叩く「個の派遣」ではなく、御社の思想を実現するための「組織的な伴走支援」を心がけていました。

点在するデータをつなぎ合わせるマート構築のリアル

小森谷氏:そのスタンスが本当にありがたかったですね。社内としては2024年の2月頃から段階的にデータ基盤の整理に着手し、そこから現在に至るまで本当に地道にデータマートを構築していきました。(※DXAの参画は2025年1月)顧客接点のデータをしっかりと整理し直すことで、ようやく箱だけだった状態から、マーケターが武器として使える本物のデータ基盤へと生まれ変わり始めました。

「ウェルエイジング」の思想をデータで実装する

顧客の時間に寄り添う「ウェルタイム」という体験設計

小畑:1年間の実装を経て、データ基盤が整ったことで、キューサイ様が掲げる壮大な経営思想である「ウェルエイジング」の具体化へ一気に舵を切ることができましたね。

小森谷氏:はい。私たちの会社は「ウェルエイジング」という思想を掲げています。これは単なるアンチエイジングではなく、加齢に伴う変化(エイジングサイン)を自分自身で肯定的に受け止め、向き合っていくという生き方の提案です。身体を「器」、生活習慣を「中身」と捉えると、加齢によって器は縮んでいく。それなのに昔と同じ生活習慣(中身)を続けるから器から溢れ、膝の痛みや肌の不調として現れる。私たちは、その身体や生活習慣を整えるお手伝いをしたいと考えています。

小畑:その思想を、データや顧客体験にどう落とし込むかが腕の見せ所だったわけですね。

小森谷氏:その通りです。実は私が着任した当初、社内には自分を慈しむ時間を意味する「ウェルタイム」という言葉だけが存在し、サイト上ではあまり活用されていない状態でした。しかし、これこそが思想と体験を結びつける最大の鍵です。自分に向き合う時間は1ヶ月単位のこともあれば、ほんの数秒のこともある。この多様な「ウェルタイム」をデータで捉え、個別最適な体験を提供していく。この再定義を自社で進め、そこに紐づくデータ構造の整備を進めていきました。

──データ基盤という「武器」を手に入れたキューサイ。しかし、真の挑戦はここからだった。次なる舞台は、思想・体験・システムを統合し、経営のPLと現場を完全に同期させる独自構想「Growth OS」の構築へ。

そして、小森谷氏が予言する「BIが消滅する未来」と、共創パートナーに求める3つの条件とは? 物語は、さらに高度な未来構想へと展開する【後編】へと続く。

後編はこちら

CDP活用の先にある組織の未来。データ基盤構築と伴走支援【後編】

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