消費財メーカー事例|CDPで行う顧客データの統合と行動分析

消費財メーカー事例|CDPで行う顧客データの統合と行動分析

更新日:2024/09/12

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はじめに

DX-Accelerator(通称:DXA)では、アナリティクスエンジニア常駐サービスを通じて、日頃から多くの企業様のデータ活用に関するお悩みを解決しています。

この記事では、データ活用で困っている企業様との具体的な取り組み事例を通じて、どのようにして問題を解決しているのかを紹介しています。私たちが提供するサービスの内容とその効果について、事例を交えながら解説します。

DX-Acceleratorのサービスについてはこちらの記事をご覧ください。

事例の概要

企業の取り組み

この企業様は生活関連製品の生産を手掛けています。販売においては、実店舗のみではなくECサイトや一部医療機関も採用しており、幅広い販売チャネルを持っています。また、会員制コミュニティサイトを運営しており、ユーザー自身が積極的な発信をすることが可能になっています。
現在はECサイトでの定期契約の維持率の改善や、コミュニティサイトのUI改善を目標としてデータの利活用を試みています。

そうした中、お客さまデータをより詳細に分析するためにCDPを導入しました。

課題

CDPツールの導入に合わせ、購買状況、ウェブログ、アンケート回答などを個々人と紐づけ、ユーザーを中心としたデータの分析を行いたいと考えていました。

購買実績やウェブログ、お客さまアンケートは個別で確認することができても、一人のお客さまの一貫した行動を追うことが難しかったからです。
しかし、CDPの導入によってあらゆる顧客行動とアンケートの紐づけが可能になりました。そこで、アンケート結果と顧客行動の関係について仮説検証を行い、より詳細な顧客分析をしたいと考えてました。

三つの問題

上記課題をクリアするにあたり、三つの問題を考えなければいけませんでした。

1.分析用データの定義確認(環境整備)
これまで顧客分析といえば、社内の各部署が個々で行っていました。また、細かい定義を定める文書も存在はしていませんでした。例えば”契約期間”という言葉を一つ取っても、それは初回契約から解約日までのことなのか、再契約後の現在日までのことなのか、明確な定義はありませんでした。

2.各種データの取得と統合
ECの購買データ、ウェブログ、コミュニティサイトの履歴(口コミやアンケート投稿など)といったように、様々な種類のデータがありました。これらが一人のお客さまの実績や行動として管理できるように処理・統合する必要がありました。

3.データ分析内製化のためのナレッジ共有
分析用データが完成したあとも、このデータは継続的に洗い替えたり、アップデートする必要がありました。しかし、SQLの知識も含めてスキルを持つ人材は限られていました。

DXAの取り組み

取り組み

1.分析用データの定義確認(環境整備)

  • 使用データの確認
    統合させる前のデータの中身の確認からしました。この時点で、データ統合を阻害する要因(Null,表記ゆれ,バグ)を検知して、処理プロセスの中に組み込んでいきました。

  • データの定義確認
    使用データを確認していく中で、どうしても単独の部署では解決できない定義決めの問題が発生します。例えば先ほども例に挙げたような、継続期間の定義もそうです。その場合は、このデータを使用する予見のある部署ですり合わせのミーティングを設定させていただき、事前にDXA側で調査した内容をもとに、あるべき定義へと落としていきました。

2.各種データの取得と統合

  • CDPに格納されたデータの抽出と統合
    ”分析用データの定義確認”ですり合わせた内容を踏まえて、指定された形で分析用データを作成しました。

  • 不足データへの対応
    CDPに連携されているデータに不足情報があったり、そもそも新たに格納しなければいけないテーブルがある場合、開発元のベンダーにコンタクトを取って、必要なデータが揃うように動いていました。

3.データ分析内製化のためのナレッジ共有

  • 開発ドキュメント作成
    以下を作成しました。
    1. テーブル定義書(各部署とすり合わた内容も含む)
    2. データフロー図(元データが加工処理されて分析データに至るまでの俯瞰図)
    3. SQLクエリ(解説あり)
  • データ抽出プロセスの手順書の作成
    もともとデータ分析の内製化を目標に据えていました、開発したデータ分析環境を誰にでも使ってもらえるように、SQL抽出の段階からスタートできるマニュアルを作成しました。

効果

DXAとしての価値提供

通常であればデータ人材がいない(不足している)中で、データ環境の棚卸から入り、要件をすり合わせた上でデータ分析環境を築いていくのは困難です。今回私たちDXAは以下の2点において価値をできたと感じています。

  • CDPに格納されたデータの統合と分析を可能にした
    これまで個別で可視化、分析していたようなデータを、一つの分析用データとして集約しました。ユーザIDを指定すれば、あるお客さまがECに訪問したり、コミュニティサイトで投稿をしたり、プレゼント企画に当選してから、その商品を実際に購入するようになった…といった行動を時系列で確認することができるようになりました。

  • データ活用の内製化のために寄与した
    分析要件に対し、社内各部署とすり合わせをするタイミングからドキュメントを起こしていきました。データフロー図やテーブル定義書、SQLクエリの解説など、通常であれば抜けがちな文書化についても貫徹し、再現性のある開発やナレッジ共有を実現しました。

苦労した点

開発上、苦労した点です。ただこれは今回の企業様に限らず、あらゆるデータ活用の現場で起きていることです。

  • 開発文書が存在しない(もしくは情報が不足している)
    データ基盤の開発にあたっては、外部ベンダーに依頼をして行うことがほとんどだと思います。私たちがよくお見掛けすることとして、データ環境に関する文書化が曖昧な点が挙げられます。設計書がないままでは、そもそも開発が進みません。
    今回のプロジェクトにおいても同様のことが起きておりました。開発に関わったベンダー様への確認や、社内特定の部署でしか知られていない定義を確認してまわり、ここにかなりの時間を割いています。

  • 定義自体が宙に浮いてしまっている
    これまで各部署が”なんとなく”で使用する定義もありました。ある特定の商品群を抽出するために、「●●の商品コードを指定すれば大体取れる」ということがありました。この”大体”が後々に分析のズレを起こすため、曖昧なままになっている定義は一つずつ潰していきました。

クライアント企業からの声

CDP導入で統合的にデータを見られるようになったことをきっかけに、詳細な顧客分析の取り組みが本格化しました。そのことに対して、社内でもよい評価を頂いているとのことです。

今後の展望

DXAとして、購買やサブスク契約数の増加などのアクションのきっかけになるアクションを見つけるサポートをしていきます。これまでは定期購買の申し込みや継続に着目していましたが、今回あらためて購買データをつまびらかにしたことで、実は解約の抑制や定期購買の復活も数値インパクトとして重要であることがわかってきました。引き続き、顧客分析の仮説検証、分析の内製化に貢献できるように取り組んでいきます。

データ活用でお困りの方へ

私たちDX-Accelerator事業では、データ活用についての様々なスキルを持った人材が常駐でデータ活用支援を行うサービスを提供しています。
当事業はローンチから約3年(24年9月時点)ですが、これまでに様々な業界・業種のお客さまのお手伝いをさせていただいております。

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