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製品型CDPとクラウドプラットフォーム(GCPやAWS)の主な違い|料金・機能・特徴の比較

この記事では、目的や環境に合わせたCDP選びの参考となるべく、 製品型CDPとクラウドプラットフォームの費用や機能、特徴などの主な違いについて書いています。

当社UNCOVER TRUTHでは、さまざまなCDPにまつわるご相談をいただくようになりました。最近増えてきているご質問は「最初からCDPの導入ではなくGCP(Google)やAWS(Amazon)などのクラウドの活用で初期投資を抑える方法は実際のところどうなんですか?」といったご質問です。

本記事の対象の方のイメージとしては、マーケティングのDX推進を行っている中で、新しい顧客体験の仮説をPoCとして実験/検証に取り組むような企業になります。※PoC:Proof of Conceptの略で、新しい技術の実現性やアイディアの効果を確認するために行われる検証工程を指します。

生活者に対してアイデアの良し悪し(=仮説が受け入れられるか)を確認するにあたって、まずは初期投資を抑えてPoCを実施してみたいというお声をよく聞きます。これは、 先陣を切ってマーケティングDXの取り組みを進めていた企業が、全てうまくいっているわけではないことに起因していると考えています。

実際に、以前CDP導入を実施したものの、実際に売上向上に繋がったかわからない、気がついたらMAに初期設定したシナリオしか動かせていなくて、もはや高額なメールサーバ化している、などのご相談をいただく機会も増えてきました。

ですので、今回は、DXプロジェクトを推進する上で知っておきたい「製品型CDPとクラウドプラットフォームの主な違い」についてまとめてみました。

CDPに投資しやすい例と躊躇しやすい例

最初からCDPに投資しやすい代表例として「EC×店舗」や「Web申し込み×営業」のようなオンラインとオフラインを繋ぎ合わせてコミュニケーションを統合するためにCDPを活用するパターンであれば、ある程度世の中でも成功の型が見えてきている(事例が多い)のでCDPに投資しやすいと思います。

一方で「流通に依存する消費財メーカー/食品メーカー」のような購買行動に直接関与できないような業態の場合は、CDPやマーケティングツールを大規模に導入して成功をしているという事例がまだまだ少ないため、そのような業態の場合は大型投資に躊躇することが多いかもしれません。

この記事では、単純にミニマムコストでCDPを代替する手段はないのか?というニーズにこたえる内容ではなく、うまく行くならば徐々に大型投資して行くつもりといった「小さく産んで大きく育てる」ことを思考されている事業会社さまに向けて書いています。

製品型CDPとクラウドプラットフォームの主な違い(GCPのBigQuary想定)


CDP(データ蓄積型)GCP(BigQuary)
料金(初期構築)2000〜4000万円500〜2000万円
料金(月額)120〜180万円20〜30万円
金額変動要素データ量、実行クエリ数、ツール連携オプションなど(連携APIは有料のものが多くあります)データ量、実行クエリ数など
処理速度基本的に処理速度は早いが大規模データを処理する場合は遅くなる傾向が顕著にある。極めて早い
データ統合機能顧客IDの統合機能など整備されている。管理画面でIDの連携/突合などができるが、初期構築時はほとんどの場合、データ構成の設計を行うなどエンジニア作業が必須。エンジニア作業が必須。設計から構築までノウハウのある人材かパートナーが必要。管理画面はスクラッチ開発する。
データ活用MAやBIなどで活用するターゲットセグメントの抽出は管理画面からフィルタリング操作で抽出可能。ただしSQL言語を全く使用しないで運用しているケースはほとんどない。MAやBIなどで活用するターゲットセグメントの抽出は全てSQL言語などで手動で抽出する管理画面はスクラッチで開発する。
ツール連携機能MA/BI/接客ツールなどの施策実行ツールへの豊富なAPIを用意している。連携開発はエンジニア作業となり、ボタン一つで繋がるということはほとんどのケースではない(同一メーカーの連携の場合は簡易に連携が可能)各ベンダーとの要件定義から開発までエンジニアリソースは必要。運用時は連携がスムーズに設定できるコネクターやワークフローが提供され、データを連携する時間指定などにより施策の自動実行が可能となる。Google広告以外には基本的にはAPIは持ち合わせていないため、各種ツールとの連携はエンジニアによる連携開発が必要となる。また日次などでデータ連携を実行する際は自動化のための開発が必要となるデータ連携においても自動化や管理機能はスクラッチ開発する。
対象企業運用に乗ればマーケティングツールを扱えるスキルがあれば多くの作業は実施できる。トレーニングメニューなども各メーカーより有償で支援している。MA同様にCDPも専任体制が望ましい。ただしデータ項目の追加や連携ツールの追加などはシステム部門やシステムベンダーなどの支援が必要。SQLが書ける人材が常駐していることが望ましい。システム部門のエンジニアやパートナーの技術支援会社が必要。多様なデータソースや多様な施策実行ツールを取り扱う予定がない場合は費用を抑えられる。
その他(導入検討をする会社の決裁における実態)CDPメーカーは問い合わせ対応やセキュリティ保証など保守体制があるため大企業では採用しやすい。また導入事例を多数有するツールの場合、社内合意(決裁)を通しやすいという側面がある。システム部門が従来から取引をしている大手SIerなどでは構築実績が乏しいケースが多く、社内反発が出るケースが散見される。基幹システムをオンプレミス環境でシステムを内製環境に構築している場合、Googleの利用規約だけではリーガルを通せないことがある。

※料金は目安です。当社の担当する複数案件のボリュームゾーンで同等のデータ量を取り扱う場合の実績値から算出しています。金額の違いを把握できることを目的としているため、検討される場合は個別にお見積りをしてください。

ここまでお読みいただきありがとうございます。この記事では、 貴社の目的や環境に合わせたCDP選びの参考となるべく、 製品型CDPとクラウドプラットフォームの費用や機能、特徴などの主な違いについてまとめました。 今後の皆さまのCDP選定の参考となれば幸いです。

CDP選定について他の視点でも記事を書いていますので、こちらも併せてご覧ください。

別記事:CDPの費用対効果はどう算出するのか?|インフラとしてCDPを考える

別記事:CDPの費用対効果はどう算出するのか?|顧客のセグメント転換で考える

別記事:自社に適したCDPの選び方|種類と特徴

別記事:CDP導入にはいくらかかる?|項目と費用一覧付


この記事を書いた人

小畑 陽一
株式会社UNCOVER TRUTH
取締役COO(Chief Operating Officer)

music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会社UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。 ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)


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